2023年度俳句のご応募は7月19日で〆切らせて頂きました。
8月19日の俳句記念日イベントでの各賞発表をお楽しみに!!!
また、2023年度俳句応募〆切以後、2024年度俳句の応募がもう始まっています。
奮ってご応募ください。
2023年度ご応募作品一覧
1夏雲の黒きを見ては懐かしむ
2夏の夜に友から届く便りかな
3天蓋となりし若菜に日の匂い
4菜の花や岬の風に酔うばかり
5十薬の群れて謎めく微光かな
6まろやかに時を育むとろろ汁
7更衣四肢のまぶしき交差点
8様々な 蝉のシャワーに 誘われて
9骨壷と生きる私と曼珠沙華
10八十の母の句集や春惜しむ
11夏草のバス停ポツン人気(ひとけ)なし
12初露を硯に落とし身を正す
13七夕や早や夕星の瞬きぬ
14スコーンと七夕竹の差す夜空
15七夕にガラス細工を磨きおり
16星祭り衝動買いの笹揺れて
17七夕や頑張りたいという願い
18鉛筆のころがってゐる敗戦日
19赤蜻蛉ビールケースに傘二本
20針箱に娘の釦小鳥来る
21赤とんぼ電話ボックスいつも空
22浜砂にまみれる幼児秋暑し
23日の落ちて影絵となりぬ吾亦紅
24風と来て目線を外す赤蜻蛉
25白黒の赤福新参青紅葉
26レジ袋いっぱいの柚子と友来る
27温(ぬく)いそば小さく泳ぐは柚子黄色
28ぶきっちょの刻む針柚子ほろ苦し
29柚子畑真昼の宇宙我は神
30柚子湯しか思いつかない秋俳句
31柚子の実のあばたも憎しデート前
32渡された手布よりふと柚子かおる
33柚子の香が箸を進める常夜鍋
34柚子の木が見守る家のすべり台
35照り紅葉手のひらかざし万華鏡
36紅葉(もみじ)色着てみようかなワンピース
37絵手紙に貼りし紅葉の一葉二葉(ひとはには)
38読みかけの文庫本にも紅葉散る
39ティーショット装う山が抱(いだ)きけり
40京高雄赤より緋(あか)い紅葉かな
41柚子湯しか思いつかない秋俳句
42影見上げ空の絵になる冬鴎
43北国の酒場わびしき冬鴎
44えびせんで船に群がる冬かもめ
45熱燗とスルメが似合う冬かもめ
46冬鴎空と波との間(あわい)翔ぶ
47波待ちのサーファーはるか冬鴎
48冬鴎テトラポットで昼休み
49ワイワイと落葉集めてBBQ(バーベキュー)
50キラキラと見ててあきない落葉川
51ドライブで落葉舞い上げ旅路行く
52濡れ落葉赤のブーツで踏みしめる
53履歴書の封筒抱き踏む落葉
54キャンパスに銀杏落葉の一本道
55落葉して光さんさん散歩道
56古着市色とりどりの落葉掃く
57ティーショットボールを隠す落葉かな
58公園に年寄集いて落ち葉掻き
59後朝(きぬぎぬ)の別れの朝に散る落ち葉
60履歴書の封筒抱き踏む落葉
61子犬らが落ち葉巻き上げかくれんぼ
62波の花しぶける断崖咲く留萌
63頬さすり袂(たもと)と交わす花言葉
64春はじめ句会はじめと日本酒と
65春はじめ桃色パフェに舌つづみ
66春始め穏やかな陽に春うらら
67春はじめはずむ心と足どり軽く
68春はじめこころときめくコスメたち
69春はじめつぼみもゆるむ陽のひかり
70春はじめポチの服も薄くなり
71着ぶくれのチワワ主人の腕の中
72着ぶくれて北ウィングの朝7時
73義士の日を生きる歴史の末端に
74着ぶくれの寝屋朝刊の音届く
75おやつには切腹最中義士の日や
76着ぶくれて身うごき鈍し試着室
77義士の日にケンカの仲裁町内会
78帰国便着ぶくれのまま鼾(いびき)かき
79義士の日の体育倉庫に太鼓一つ
80着ぶくれて満員電車がさらに密
81グラウンドの部員着ぶくれ朝練習
82雪中花ユンボの雪かき父の背
83冬灯どんな風にも生きられる
84合格を吾子と祈るや初詣
85初みくじきれいに結び吉とする
86水仙を生けて目玉焼作る朝
87初詣詣のはしご三っつまで
88風花や頬にちらちら時悲し
89冬暁新聞配るバイク音
90今年運双六進め願かける
91箱根路や一目を避ける冬桜
92春はじめつがいのカモの笑声
93白酒のごとくとろろと二度寝する
94盃にカルピス注いで(ついで)雛遊び
96白酒を舐めつつ愛でる孫娘
97「放課後は 女子会なの」と雛笑まう
98白酒をおいしく呑める齢(とし)になり
99桃花酒をギヤマンに注ぎ母思う
100盃(さかずき)にゆらゆら浮かぶ花を待つ
101八重桜枝の先にも君が咲く
102濡れ桜目出も触れでも(めでも、ふれでも)玲瓏と(レイロウと)
103夕映えに薄桜色(うすさくらいろ)鈍ゆきて(にびゆきて)
104切ないね桜吹雪は降り積もる
105空に龍尾っぽの先には相模湾
106箱根路に芽吹くけやきよ山笑う
107峰チラ見おにぎりほおばる山笑う
108花見橋車氣にして撮る桜
109陽炎や歪んで見える直線路
110花筏乗れば何処へ行けるかな
111濡れ桜雨のぼんぼりと満開に
112青空はキャンバスだよと咲く桜
113雨風に舞い落ちたるや花筵
114袴着せ見送る家族に桜吹く
115花冷えや人もまばらな目黒川
116舞う桜まだ散らないでと叫ぶ児ら
117頬笑うほのかな香り桜餅
118目黒川花びら浮かべてさらさらと
119大空に口ばし伸ばす鳥帰る
120散る桜さす傘描く花模様
121朝にボン青空に向って桜咲く
122老木に凛と咲いてる桜花
123雨風に舞い落ちたるや花筵
124桜貝月の砂漠に流れ着き
125小石かと蟹が蹴とばす桜貝
126帰る家まだある桜貝の詩
127蛙まだ見かけぬうちに目借時
128悔しさに砂浜白く桜貝
129砂浅し波に逆らう桜貝
130桜貝置き所無く海広し
131桜貝繰り返し聴く波の音
132貝寄せては返す浪静か
133城映す狛犬まなこねこやなぎ
134鈍行の揺れにまかせる目借時
135二駅を乗り越し気づく目借時
136濡れ縁の猫も舟こぐ目借時
137抽斗に遠き日の恋さくら貝
138乙姫の置き忘れかも桜貝
139砂を透き潮騒を聴く桜貝
140止まり木のインコ静かな目借時
141いつの間にこんなところに一人静
142小さき日のあの思い出に蓬摘む
143木漏れ日や鳥のきている猫柳
144星の降る渚に帰す桜貝
145上り待つ田中の駅の目借時
146桜貝出でし亡父のピース缶
147濡髪にカルキの臭ふ目借時
148朝の浜花貝未だ夢の色
149忍び寄る汚染知らずや桜貝
150さくら貝これは羽化した恋の羽
151このような心でいたい桜貝
152綿々と恋語る友目借時
153目借時ご不在通知が玄関に
154曳く波の光残せしさくら貝
155海の歌歌ひて帰るさくら貝
156寝ころべば海の匂ひや桜貝
157さざ波の絶えることなし桜貝
158曳く波の足跡消すや桜貝
159疵の互いに抱きしめ合ひぬ桜貝
160世の此岸生きて蛙の目借り時
161砂浜の文字の句点よ桜貝
162雨音に目閉づ蛙の目借時
163黒人の娘のふと拾ふ桜貝
164忘れ潮ひとつ残りし桜貝
165波打ちに波に揺らるる桜貝
166流さるるままに生き抜く桜貝
167横笛に指動かざる目借時
168住職の法話かすかに目借時
169春めきて鼻歌漏るる海女の小屋
170春めきて薩摩切子を二つ買う
171鳥帰る空紅色に染まるとき
172かげろへる原爆ドーム昼の黙
173軽やかに発車のチャイム春めけり
174ピンと立つ猫のしっぽや春めきぬ
175遠山の丸く見える日春めきぬ
176フリースに包まれ眠る春の風邪
177調弦の軽く揃いて春めきぬ
178小魚の跳ぬる波紋や春めきぬ
179鳥帰るシベリアまでの空遠く
180陽炎や軽トラに立つ古箪笥
181冒険といふは誰にも鳥帰る
182投げ竿の放物線や鳥雲に
183マシン吠ゆル・マンの陽炎引き裂きて
184碧天を戦火の郷へ鳥帰る
185鳥帰る故郷へ向かふ夜行バス
186餌ねだる猫の鳴き声春めけり
187障子戸の春めく光部屋に満つ
188春めきてろくろの土の良く喋る
189日当たりの斜めの庭も春めけり
190春風邪や窓から見る山遠し
191春めくやひかり膨らむ堰の水
192鍵盤に弾む指先春めけり
193陽炎の中より吾子が現わるる
194夕立雲遠くに聞くやゴロゴロと
195鳥帰る人なきコインランドリー
196捨つ郷や母の影さえかぎろひて
197つぎつぎと水面くずして鳥帰る
198一列に並びて北へ鳥帰る
199鈍色の空を二手に鳥帰る
200伊吹嶺の浮雲かすめ鳥帰る
201引き上ぐる浜の小船や鳥雲に
202陽炎に彷徨う少年探偵団
203陽炎いて貨物列車の浮いてくる
204軽やかに発車のチャイム春めけり
205春めきてシェフの帽子も背を伸ばし
206君のならくれてもいいよ春の風邪
207妻からのメールにハート春めける
207オリオンに向ひ帰宅や春めきて
208光さす千体仏や春めけり
209一人寝の夜のいつまでも春の風邪
210レトルトの匂いの粥と春の風邪
211春の風邪汽笛掠れしA列車
212春めくや浅瀬に遊ぶ鷺一羽
213春めいて草刈られゆく空の堀
214春めくや老若集うカフェテラス
215春めくや旅のプランを練り直す
216我が手よりスマホこぼれる目借り時
217言い訳は頭痛肩こり目借り時
218目借り時カメラオフして大あくび
219引き潮の宝探しや桜貝
220爪の色紅貝に染めコロナ明け
221波一つ立たぬ浄土や春の海
222春の川辿りてやがて春の海
223二胡の音のせて浜風春の海
224夕刻をさばと畝るや春の海
225我たちは陸の生きもの春の海
226風吹けば色を変えたる芝桜
227桜貝見つけて透かす宝物
228半世紀前の宝は桜貝
229風もなく落つる花びら名舞台
230イタリアは昼に檸檬酒目借時
231鶯も新入りなのかたどたどし
232朝3時田の草取りや目借時
233引く波の砂上に欠片桜貝
234陽を浴びて幼き頃に船を漕ぐ
235ゴールデンウイーク孫にせがまれイルカショー
236誰一人いない琵琶湖の小鮎釣り
237葉桜の下に群れ居る黒スーツ
238桜散る画を撮りたくて風を待つ
239目借時山夜連続野球づけ
240美容室雑誌読むなり目借時
241そうだよね返事しててもめかる時
242行ってきます新入社員のひと声
243走りつつ上着脱ぎつつ薄暑光
244アスファルト割って突き咲くれんげ草
245青空や子供の声と桜貝
246ミツバチが嬉々と躍りし藤の花
247肩に藤小首かしげて晴れ舞台
248風吹かれゆらゆら鳴らす藤の花
249降り注ぐ癒しの色の藤の花
250藤の昼そろりはぐれるデモの列
251藤の花毎年祖母を思い出す
252風一陣(いちじん)霞(かすみ)となれり藤の浪
253藤棚のトンネル抜けて別世界
254幻想の紫の滝藤の花
255昼下がり風に乗りくる竹落葉
256散策の屋敷の跡の別れ霜
257鍬を振る父の背眩し夏隣
258限界の里にひと竿鯉幟
259再会を約して別れ暮の春
260腕白が五分刈りにされ夏に入る
261つつじ連さんざめくよに笑い咲き
262下校時の背なの鞄に春あらし
263暁闇の着信音や冴え返る
264新聞の落ちる音せり明け易し
265永別の友へ卯の花腐しとは
266房州へ渡る舳先を卯波かな
267廃業の貼紙濡らす花の雨
268地に落ちるまでの命や春の雪
269志高く持ってね柏餅
270カタツムリ私もゆっくり生きている
271木の芽晴口角上げてカキクケコ
272新緑の道に挑むる留夫山(とめぶやま:長野県の山です)
273川を這う風生々し広島忌
274祭笛に胸の高鳴る古時計
275毎日が記念日77回目の夏
276無限大夢が広がる夏の雲
277終戦の年に生まれて原爆忌
278君が好んだままの長い髪洗ふ
279洋蘭の一鉢賜ふ齢祝い
280田植えすみ妻に従い汽車の旅
281病葉を流す眼下の通り雨
282紫陽花や傘をかしげてすれ違ふ
283行列のシーパラダイス夏間近
284其々に咲く花々は凛として
285野の花を抱えて笑顔の友来たる
286大甕のピンクの一輪雨催ひ
287著莪咲いて隣のベッドずっと空
288民宿の畳の穴や夏休み
289頬よせて掌と掌に移す初蛍
290冷めてゆく紅茶緑雨のカフェテラス
291加賀の旅緑雨に想ふ千代女の句
292緑雨とて花咲き賑わう足利の
293緑雨あさゴルフ中止のメッセージ
294傘ひとつ君と映画に行く緑雨
295お疲れの草木喜ぶ緑雨かな
296緑雨あと庭の草木がイキイキと
297爽やかに緑雨のあとを散歩する
298木々の葉や緑雨に打たれ艶を増し
299お日様と隠れん坊する木下闇
300南薫や紅い口元に艶ぼくろ
301風薫る新色のルージュ買ってみる
302下闇に配達バイク群れ集う
303叔父逝きて雲なき空に鳥帰る
304かげろふや塀の上なるあくび猫
305寝過ごして見知らぬ駅に野馬燃ゆる
306春めいてピンクのチャリで街駆ける
307春の風邪額に汗し検査する
308咳ひとつ人目気にする春の風邪
309旅心期待と不安で着ぶくれる
310着ぶくれの子らがお散歩リヤカーで
311重曹粉100均で買う義士の日や
312外套のナフタリンの香初時雨
313一葉忌をんなはつよくなりぬるや
314秋晴や川面にダイヤ散りばめて
315朝露を摘もうとする小さき指
316老母笑む昔語りの風の盆
317まっすぐな性分の子や風薫る
318朝顔の蔓を絡ませ天仰ぐ
319手のひねり返して進む風の盆
320ガラス瓶弾けて跳ねる水中花
321ガラス越し黒デメキンのにらめっこ
322小糠雨水面を走るあめんぼう
323故郷に一人居の母遠蛙
324亡夫(つま)を詠む母の句集は牡丹色
325露草や朝の光と瑠璃の色
326夜明け前落下繚乱サガリバナ
327土用東風暖簾くぐればお猪口酒
328畦道は燃えているよな曼珠沙華
329「案山子さん」幼き声の真顔あり
330渡月橋風囁いて山粧う
331富士山や裾の山々山眠る
332鳥の声誘(いざな)う沢の山滴る
333握り飯賑わう里の山笑う
334さくらんぼカクテルサワー浮かびおり
335紫陽花や艶めく人の色香り
336かくれんぼ光落ち来る木下闇
337嫁ぐ日の身を清めたる髪洗う
3383段のアイスクリーム舐めあっこ
339花月夜ひとかたまりの低気圧
340「放課後は女子会なの」と雛笑まう
341麦秋の波間を渡る風一迅
342熱帯夜猫との距離感冬恋し
343そこばくの痛み滲ませ冬の蝶
345春疾風抜歯台にて身をよじり
346送らるる野菜にしかと蛞蝓
347袈沙懸けの冷まじきまで手術痕
348泰山木これぞ正義といふ白さ
349群落の鈴蘭晴れの青き富士
350九人待ち昭和レトロの鰻店
351横顔の齢見らるる菖蒲園
352緋目高やいま産卵のファンタジー
353体温の低め正常水芭蕉
354夕立や流し切れなき事ひとつ
355語り部の口元のしわ終戦日
356 雪景色火鉢にスルメあらばしり
357朝顔の色水集めおままごと
358稲妻に怯えて子犬イスの下
359夏木立空へ空へと突き進む
360予定なしカーテン開ければ風薫る
361雛飾り願う娘(こ)の幸孫の幸
362菜の花のお浸し苦く箸休め
363足入れぬ日差しに負ける春こたつ
364捨て案山子焼きて血色の焔見ゆ
365でで虫 のゆくり角立て一筋に
366紫陽花の競ひたつ寺咲き乱れ
367片陰に入りて佇む老二人
368厳かに抹茶もてなす沙羅の寺
369深閑と寺苑の中の濃紫陽花
370十薬や闇に明るく解けていく
371七夕や竹のしなたるほど願い
372七夕や逢いたき心結びけり
373秒針の音やわらかや春隣り
374ティーショット飛んでく先は木下闇
375梅雨の日は長靴傘で児らはしゃぐ
376園庭の児らの1.2.3で跳ぶ蛙
377雨上がり今にも落ちそなカタツムリ
378川の香がほんのり苦い初香魚
379宵闇を迷路描いて舞う蛍
380雨蛙追いかける子を親が追い
381水鳥が掻き分け進む花筏
382三味線の唄の間合いに風薫る
383梅雨入りの名古屋で力士土俵入り
384ごまサバとごぼ天うどんめんたいこ
385もつ鍋にとんこつラーメン水炊きだ
386花貝を熊手の五線譜何処へ置こ
387夕陽へと風船朽ちぬ赤届け
388捨て子猫牙生ふ夜に星は無く
389薔薇の香やカールツァイスと星を追ふ
390下萌にあり私にはなき健気
391春めくや緑黄色の厨から
392立春の富士ゆるびたる昼下がり
393傘ひとつ君と散歩の緑雨かな
394夕靄の川面を渡る祭り笛
395父の日も知らずに父は鍬を振る
396短夜や枕辺に置く旅のメモ
397うなづいて言葉飲み込む冷し酒
398嫁ぐまで頬を寄せ合うさくらんぼ
399奥社まで言葉少なき木下闇
400筑波嶺へ鳥の飛び立ち麦の秋
401サングラス寂しがりやを隠しけり
402蒲公英や野を駆けめぐるホームラン
403魂に響く太鼓や初御空
404ナビにない角を曲がれば花茨
405とりあえずナマチュー二つ街薄暑
406綿肌着母に届ける夕薄暑
407紫陽花は土を喰らひて赤や青
408梅雨寒や中辛麺で汗をかき
409露集めティアラとなりぬ額紫陽花
410「おはよう」のボリューム上げて寒明ける
411少年のズボン短し寒明ける
412夕立や眼下の草木叩き去る
413炎昼をひたすら歩き街に入る
414散水の先に現る虹の橋
415豊穣を夜通し祈る風の盆
416琵琶の種飛ばし独りの道をゆく
417目の前にいるのに会話スマホLINE
418俳句の日バイクに乗って一句詠む
419生活に馴染み親しみ五七五
420何となく詠んだ俳句が評価され
421瘦せたのに気が緩みまた太り出す
422そうめんと冷やむぎ迷い結局そば
423畦塗るや村八方に水の音
424紙魚走る空の青さを知らぬまま
425ガラス器に今朝の色挿す七変化
426蕉翁の句碑に紫陽花影をさす
427束の間の日差し逃さず梅雨の蝶
428杉樽の染みに味噌の香蔵涼し
429鮎群れてそこに煌めき溢れをり
430人の世と少し隔てて青簾
431ふたのないおもちやのピアノ雨蛙
432風薫るソの音「笛を吹く少年」
433龍天に青いインクの置手紙
434頬杖の朝からずつと春炬燵
435逆縁の写真へポッキー桜餅
436駆けてくる子ら皆青葉の風となる
437初音聞くただ一行の日記かな
438幼子やトロフィーの如氷菓持ち
439番犬のぬつと顔出す木下闇
440自転車に跨る裾の薫る風
441木下闇崩れかかった祠あり
442扇風機押入れの中出番なし
443駅舎内子育て忙し夏ツバメ
444紫陽花や心変わりなメールあり
445おたまじゃくしバケツに五匹したり顔
446サイフォンのしずく長閑かに風薫る
447梅雨の日も長靴傘ではしゃぐ児ら
448葉の裏に足跡引いてカタツムリ
449牧草地飼葉の山に風薫る
450風薫る鬼押出しの親子かな
451木下闇抜けた先には太平洋
452木下闇村人見つけ道を聞く
453風薫る乳頭温泉水車かな
454紫陽花もピンクで小顔モテるのね
455薔薇抱えいざゆかん友のバースデー
456風薫るブラウスの袖ふくらませ
457木下闇戻しておくれ乙女の頃
458彼方から鳥鳴きかわし風薫る
459束ね髪解きて少女は髪洗ふ
460テンポあげトタン叩くや大夕立
460夕立の甍を叩く寺の町
461長靴のポケモン躍る夕立かな
462大夕立街の火照りを覚ましけり
463夕立の後から紫雲奔る
464雨上がり白雨の影を風が追う
465洗い髪まとめて風の頬撫でる
466髪洗い小さな木蔭に癒される
467大粒の夕立の降る今ここに
468夕立や音立て入る部屋暗し
469夕立や異人宿借る大手門
470夕立をせがむ蛙の声高し
471髪洗う水音清し夜の星
472髪洗う湯殿を包む夜の闇
473夕立の歩道に泡の立ちにけり
474夕立や吾子の自転車叩き去る
475夕立によく動きけり池の鯉
476旅人の風に梳かるる洗い髪
477講演を明日に控えて髪洗う
478風一陣風鈴さわぐ夜店かな
479ががんぼや「あなたはいいね」「ほっとする」
480桐の花咲かせてゐたる斜陽館
481ほうたるを蚊帳に放して闇分かつ
482洗い髪夜風に吹かれ回り道
483白雨去りいぶし瓦の底光り
484一列の黒豆戦士髪洗ふ
485夕立や右目の白き達磨居て
486薄明やメデューサ髪を洗ふ影
487藍甕に湧き立つあぶく白雨来る
488傘持たぬ人皆走る夕立かな
489夕立果てあらはれでたる虹の橋
490コンビニへ駆け込む子ども大夕立
491無骨なる指もて妻の髪洗ふ
492初デートあしたにひかへ髪洗ふ
493葉桜の蔭に川瀬の水光る
494バイオリンの弓締め直す昼薄暑
495夕薄暑匂ひ洩れ来る佃煮屋
496サックスの咽ぶ薄暑のジャズクラブ
497葉桜に透ける光を仰ぎけり
498葉桜の中に奏でる瀬音かな
499葉桜の中をゆるりと車椅子
500薫風や舳先に猫の座りおり
501貝塚の層は幾重や風薫る
502軋み行くトロッコ列車や風薫る
503二階より豆腐屋止むる夕薄暑
504配達を終へし自転車夕薄暑
505葉桜や詰襟開く初年生
506葉桜の隙間を埋むる空の青
507人影も絶えて堤の花は葉に
508あてもなく風に誘われ夏木立
509せせらぎの音生き生きと木下闇
510伊勢湾へ木曽揖斐長良風薫る
511熊野古道霊気ただよふ木下闇
512子供らの謎なぞ遊び木下闇
513風に折れし牡丹三本供花とす
514サッカーの球フワと浮き風薫る
515嬰泣きし涙なぞりて夏の風
516故里を遠望の丘風薫る
517みどり児の笑窪くっきり木下闇
518暗いほど外明るくて木下闇
519けん玉で遊ぶ子たちや風薫る
520作句する語彙の貧しき薄暑かな
521葉桜を描くキャンバス青き空
522娘が来ると豆飯を炊き待ちてをり
523葉桜の梢へ伸びる緑かな
524地下街を出でて地上の街薄暑
525葉桜やケルンに注ぐジン香る
526老幼が遊ぶ芝生の薄暑かな
527葉桜や嬰は保育園なれた頃
528夕立やみストーンヘンジの巨石かな
529雨粒のボツと落ち来て夕立かな
530地のにほひ甦る時夕立あと
531髪洗ふ湯のなつかしき夕べかな
532天窓にさす光なほ髪洗ふ
533ランニング遠回りする花月夜
534薄着して出かけて後悔花月夜
535窓開けて酔い花月夜ご満悦
536青白き君の横顔花月夜
537コロナ病み桜月夜の微熱かな
538新歓でLINE交換花月夜
539古希妻とそれあれこれの麩まんじゅう
540温暖化非常識かも絽か単衣
541噴水が噴き上げる如告げる恋
542父の日の父と一緒の地引網
543寝過ごして予定が変わり髪洗ふ
544気乗りせぬ来客なれど髪洗ふ
545世田線の窓から見える釣忍
546いつまでも一人息子や額の花
547屋根赤き空の向こうの夏の海
548大学生髪の色変へ夏休み
549今日遅いとメモ書きのあり葛桜
550夫と手を繋ぎて渡る夏の川
551湯宿の夜少女は黒き髪洗ふ
552介護度3母は週ニで髪洗う
553夕立去りむんむんと土匂ひ立ち
554恋の行方気づかれぬやう髪洗ふ
555紫陽花の寺から臨む由比ガ浜
556人生は酸ひも甘ひも海月なり
557抽斗の古びた名簿麦の秋
558夕立が洗い流した一ページ
559魔術師の呪文一変夕立(ゆだち)過ぐ
560スコールに追い立てられて喫茶店
561夕立に駆け込む店先見っけモン
562君が好んだままの長い髪洗ふ
563ごめんねの言葉に代えて髪洗う
564髪洗う昨日のことは忘れよう
565あの雲の下は夕立君の駅
566夕立に屋根捜しけりウォーキング
567夕立のドラ音響くトタン屋根
568老夫婦少ない毛並み髪洗う
569夕立や上がった砂場水たまり
570田植え終え水に映るは空のあお
571洞窟の中は暗闇夏のほか
572吹き渡る幾何学模様青田風
573洗い髪しずくがぽたり涙色
574少年の蛇口で洗う三分刈り
575梅香るこのひとときに想い馳せ
576天空の陽射し眩しい梅の園
577悠久の時を感じる梅の粒
578爽快な香り楽しむ梅漬けや
579梅来たり馴染み農家や有り難し
580爽やかな梅の香りの果肉かな
581梅香るみなべの里の青空や
582靴飛ばし占い競う子等の梅雨
583石蹴りの先の紫陽花青々と
584整列の植田に富士の笑顔かな
585夕立や子猫と一緒に軒の下
586気がつけば読みふける間に夕立や
587夕立や庭の潤い茎背伸び
588超ラッキーケーキ追加の雨宿り
589白雨過ぎ景色の狭間に光刺す
590急停止電車の窓から白雨だけ
591奥社まで言葉少なき木下闇
592走り梅雨思い出ばかり話す友
593風花を見上げ停戦祈る朝
594初詣今年を託しみくじ引く
595今年運双六すすめ願かける
596箱根路の人目避けるや冬桜
597馴初めを聞かされ溶けるかき氷
598小春日や犬が顔出すベビーカー
599メルカリへお暇を出すや革コート
600百円を入れて乾かす洗ひ髪
601正月の顔して来たり孫五人
602トリマーより犬にも来たり夏見舞
603令和には男もすなる日傘かな
604赤ん坊の一糸まとはぬ夏座敷
605邂逅はともに白髪やソーダ水
606畳目を頬に目覚むる昼寝の子
607刺しに来てお手討ちとなる藪蚊かな
608地下街へ日傘をたたむ柳腰
609ワンコイン入れて夜濯スマホ見る
610恐竜のフィギュア離さず昼寝の子
611掃除ロボ止むるものなし夏座敷
612メーデーの先頭を行くブルドッグ
613噛み合はぬ会話にマスク外しけり
614競馬紙を顔に棟梁三尺寝
615クロネコにつづきペリカン初荷来る
616すつぴんをマスクでかくす娘かな
617虫の音を髭で聴いてる野猫かな
618白シャツを息子に送り返事待つ
619アロハシャツ習い始めのウクレレと
620夏シャツに着替え鏡を右左
621アルバムを指さし微笑む開襟シャツ
622ポーズとる開襟シャツの女学生
623木下闇道なき先の滝の音
624アフタヌンティー女子会集う薫風
625四万十川シワの波間に鮎踊る
626土佐電に乗って食べ飲み初鰹
627風立ちぬ一際目立つ白牡丹
628山桜のぼり下りで観る景色
629登山客頭上に舞い散る山桜
630ふもとより空へと続く山桜
631いくたびも向かう吉野の山桜
632上り坂ひと息ついて山桜
633小山にも一樹りっぱに山桜
634散り敷きて花びら纏う山桜
635山桜啄むすずめ一羽二羽
636山桜麓から村ひと続き
637紅の天女降り立つやまざくら
638月涼し窓開け走る越後道
639万病を癒す草津の月涼し
640盃に浮かべ飲み干す夏の月
641夏の月寝苦しき夜に端座(たんざ)する
642月涼しゆれる黒髪下駄の音
643風おされ見上げた空に月涼し
645月涼し夜風に乗って聴くユーミン
646草刈りてお風呂上がりの月涼し
647月涼し見渡す海と佐渡ヶ島
648エアコンを止めて今宵の月凉し
649月涼し揺れる夜景のスターフェリー
650月涼し今日はゆっくり眠れそう
651青梅やいつまで続く反抗期
652夏の大三角形や梅雨明くる
653流鏑馬や射手の唇一文字
654白南風や寝ころぶ牛の尾は止まず
655かき氷マルシェ賑わふ散宿所
656この高さ凌霄葛揺るぎなし
657ご母堂の心配ばかりもも届く
658朝顔や紺のかすりの日本人
659紫陽花やお地蔵様のでかい奴
660露草しかない露草を手向ける
661知ってゆくごとに深まる恋と秋
662ビオロンの愁思コントラバスにまで
663タンゴからワルツで海へ二羽の蝶
664潮満ち何か産みそう春の月
665じゃこの眼の一つ一つに五月闇
666干しシャツのレゲエダンスや夏来たり
667縁側に生酒尽きて法師蝉
668父の影簾を捲り探す風
669寡黙なる惑星に似た梨をもぎ
670野天湯にぽつり朱を差す冬紅葉
671冬の浜造花の薔薇の赤一つ
672楊桃やピザに意外と合う不思議
673まな板にキラリスラリと秋刀魚かな
674寂しさを埋めて五色の紙風船
675夏が来て暑さをしのげるオンライン
676人生は日進月歩迷い道
67750代気持ちはされど20代
678梅雨明けを迎えたようなこの暑さ
679夏月や子を寄宿舎へ見送れり
680育てられ咲くほかはない花菖蒲
681どくだみや狭庭の隅の自己主張
682散水の先に浮かべる虹の橋
683バス停の先頭に立つ捕虫網
684砂浜や オイルの香り 焼ける恋
685恋ごころ 浴衣姿を 魅せつけて
686あの人に 逢えたのかしら 天の川
687ユーミンや 真夏の夜の夢 競馬場
688蕎麦すすり 鐘が鳴るなり 善光寺
689百年の 恋も黄昏 君の名は
690黄帽の子 夢でパンパン ランドセル
691全米に 薫風そよぐ 二刀流
692夕立晴れ 見上げた空に 虹かかり
693向日葵の ような笑顔ね わが孫や
694雨露やまず 世界に暗雲 晴れよ来い
695鮎おどる 尾瀬のせせらぎ 澄みわたり
696蒸せる夏妻との会話涼む夜
697蒸せる夏家康想う江戸の街
698俳句の日 秘めた想いを 言の葉に
699目に青葉 山せみしぐれ 駄々茶豆
700ふわふわの 雪にシュプール 君と僕
701認知症 されど忘れぬ 終戦日
702俳句の日 17文字の ラブレター
703雲海と 富士の高嶺の ご来光
704目で追いし ハラヒラリヒラ アゲハ蝶
705風に揺れ もう百日紅 咲き始め
706神社より ミンミンゼミの 誘う声
707門開けて 翔んでく姿 おお蝉よ
708深川の 柳の下に 海月かな
709空蝉や 日に日に増えて 騒がしく
710いつもより 騒ぐ小川に 海月あり
711岩風呂の湯けむり集め若返り
712膝詰し内緒話に白檀香
713夏の夜に夢を集める羽根枕
714たなごころ転がされたは菊の父(仏壇の父の事)
715父逝きぬ稲妻むなし休耕田
716墓参り墓石に父の母の顔
717威勢良き父の在りし日よ稲光り
718墓参の日告げたき事はひとつだけ
719稲妻が曝すや富士の沢崩れ
720マネキンのスマートな水着羨まし
721子燕や旅立ち前の舞い披露
722マイグラス大に変更暑気払い
723合言葉虎キチ「アレ!」の夏祭り
724赤金魚ワイングラスにドレス垂れ
725「ようこそ!」と金魚もてなす城下町
726つばめ去り嬉し寂しや今朝の車庫
727今朝もまた朝ドラ時間蝉時雨
728夏帽子垣根で主を待ちわびぬ
729そよ風に乗せてスキップ一年生
730チクタクと幾度の春や形見時計
731よう来たな!父の笑顔と盆帰省
732クワガタを追いし気づけば木のテッペン
733招き猫ウチワを持たせ節電し
734俳句の日芭蕉気取りで句をひねり
735乳飲み児の移り香甘く髪洗う
736田植え待つ代掻き後の水鏡
737テラス席はずむ女子会かき氷
73837度の日は玄関までの犬散歩
739花火大会火薬の匂う髪洗う
740短冊にミニーになりたい孫の夢
741バーベキュー炭の残り香髪洗う
742打ち水しマイナス2度の涼をとる
743発車ベルホーム彩る夏帽子
744短夜や北へ北へと貨車が行く
745滝壺へ難題捨てて帰りけり
746入り組んだ話を嫌う冷奴
747晩節の余白飾るや蝉時雨
748水平線 満天の星 多良間島
749鏡面の 如し水面の 十五夜よ
750今宵こそ 月が綺麗と 君に言ふ
751いざ佐渡へ 汽船の夏と 信濃川
752美意識と 大和言葉と 俳句の日
753凛として 澄み渡る空 月冴ゆる
754丸呑みにされて妖しき蛍かな
755ほうたるの語るに難きものがたり
756あやかしの淵へ誘ふ夕蛍
757ワンパクの兄貴の弱み稲光
758墓参り白髪混じりの三姉妹
759まづ脚の阿呆になりゆく阿波踊
760我が背ナに南無南無と翅揚羽蝶
761いい恋をして白靴の乱れざる
762禅寺の施餓鬼にいそぐ老夫婦
763団扇より「あら!」と見返る写楽の絵
764三様に山門抜ける青葉風
765白南風や妻が青色吐息かな
766我が影の鋼となりし炎天下
767菊坂の手押しポンプや昼の虫
768緑蔭の女生徒きつと恋のこと
769宵闇に 迷路描いて 舞うホタル
770保冷剤ネックレスにしてペダル漕ぐ(自転車)
771逃げ場なし見つけたオアシスミスト降る
772夕立に裾乱れるも凛として
773酌み交わす還暦の宴(えん)縁の夜(えんのよる)
774壁白き(かべしろき)海から目指す金沢城
775雨強し揺れる蓮華葉(レンゲは)つゆ集め
776恋す百合枝分かれても瓶で待つ
777山登り踏みしめる大地に朝日降る
778空に龍 尾っぽの先には 相模湾
779箱根路に 芽吹くけやきよ 山笑う
780峰チラ見 おにぎりほおばる 山笑う
781下駄に聞く踊り切るまで守ってね
782見えぬ星金銀砂子の菊花火
783赤椿雪乗る枝の白震え
784東雲よ電車の窓が額縁に
785夏がきて暑さしのげるオンライン
786午前二時稲妻叩く小窓かな
787稲光りセピアの写真に父と母
788幾万の死者眠る丘墓洗ふ
7894年ぶり子の笑い声夏まつり
790こんなにも好きになったの俳句の日
791「不可能」はつかはぬと決め俳句の日
792胸を張る百寿の翁俳句の日
793明易や歳時記広げ小半時
794ひとり旅ひと駅ごとの俳句の日
795タマが伸びつられ私も小春日や
796小春日やタマに取られし膝枕
797にらめっこしたら負けるよ雨蛙
798軽々と敵をうっちゃりカブト虫
799炎天を真一文字にスカイツリー
800炎天や片手で風を巻き起こし
801町カフェの 恋バナ咲かす メロンパフェ
802火照る肌 燃ゆる逢瀬に 滝しずく
803逢いたくて 綴る恋文 かじかむ手
804月涼し濡れる黒髪下駄の音
805太陽に負けず夢中で釣りをする
806規制なし戻った景色夏祭り
807お出かけは夕方からねと昼寝する
808懐かしい花ござ香り祖母思う
809墓参り行こう行こうも供養かな
810音無の湖面に咲くや夏花火
811金鯱の燃ゆるが如く夏の城
812シロップが梅にしみこみ極上味
813固唾をのみ海亀待てり梅雨の月
814一心に紬縫ふ母夏浅し
815灯台の螺旋階段雲の峰
816炎天やガツツポーズの三塁打
817滑り台独り占めして銀やんま
818万緑に野球少年の声響く
819病室に手を振る女(ひと)や蝉時雨
820只見線手をふる人や夏の雲
821わっぱ飯会津の味や雲の峰
822深緑揃えて乗車夏帽子
823トンネルの合図の汽笛又涼し
824五位鷺の悠々泳ぐ青田原
825軽トラに子を載せ送る新学期
826河豚よりも君の毒舌強かりし
827お月見や白き団子のピラミッド
828寒き夜や一人鍋の蓋おどる
829ノリノリで風と踊るや奴凧
830ここだけのことと夜咄盛り上がり
831先生へ恋にうつつの夜学かな
832若見えのマスク効果に感謝かな
833見栄外聞気にせず妻の着ぶくれぬ
834生身魂主治医女性にほくそ笑む
835パートにも賞与社長の太つ腹
836照れながら彼女できたと帰省の子
837こんなとこに妻のへそくり冷蔵庫
838下戸の妻ひと口欲しと今年酒
839これくらいの幸せでいい桜餅
840しぐるるやカバン頭に駅出口
841好きな子へ輪ゴム飛ばしし昭和の日
842先づメール開きて仕事始めかな
843不都合な話に妻の咳一つ
844掘割をむらさきに染め花菖蒲
845母の忌の庭を彩る四葩かな
846「おやすみ」と雛に声かけ寝にゆきぬ
847魚跳ねて水輪広ごる春の池
848いつせいに飛び立つすずめ春の雷
849渋柿のミイラと化して干されけり
850山門にマスクして立つ鬼二月
851霧立ちて白き闇なる背戸の畑
852しつらへの野点に憩ふ花衣
853美しく老いて銀髪春ショール
854裕次郎ゆかりの小樽にしん雲
855石庭の美しき箒目風光る
856潮騒の聞こゆる宿や明易し
857緑蔭にきみの場所空け待ちにけり
858秋の浜寄せくる波の音ばかり
859子どもの日柱の疵の一つ増え
860雪解水飛ばして回る水車かな
861老いの身の行く末問はず夕端居
862期待のせ緞帳上がる初芝居
863鈍行へ乗り継ぐ駅の余寒かな
864菜の花や白バイ土手に見え隠れ
865五冊目の介護ノートと年迎ふ
866百歳まで生きるつもりや冬至粥
867銀幕のスターほほえむ新暦
868職辞して骨の髄まで朝寝かな
869青天へ法螺鳴り渡り滝開き
870満天に星のおはじき冴ゆる夜
871山の湯の色なき風や川の音
872小粒きてやがて大粒花の雨
873足出して壺より蛸の月見かな
874「お母さん冥福ですか」と墓洗ふ
875エアコンに守られ過ごす老いの夏
876ことしから母も加わり茄子の馬
877玻璃の戸に縋り動かず冬の蠅
878初みくじ箱の闇より吉と出づ
879筵ごと巻いて家まで花の塵
880建売の幟はためく若葉晴
881老の杖皆に後れて青き踏む
882囀のやむとき愛のかなふとき
883鳥小屋のこぼれ餌つつく冬雀
884薄氷踏む怖怖と踏むそろと踏む
885朝市の売る人買ふ人息白し
886公園の遊具みな濡れ花の雨
887甲子園母校敗退終戦忌
888予備校生予習復習夏期講座
889二死満塁直球勝負積乱雲
890炎天下只今思考停止中
891夏休兄弟喧嘩両成敗
892大夕焼東京新宿摩天楼
893稲光りセピアの写真に父と母
894父逝くや稲妻むなし休耕田
895朝顔に友の名をつけ日記帳
896素粒子の微かな重さ涼新た
897娘の髪すいて結びて夏の朝
898夫の話す苦労話しや夏燈し
899口開けて息する犬や半夏生
900かちわりや今日も巨人が負け越して
901アマゾンの映画見続け夏果つる
902消印は故郷佐世保の夏見舞い
903稲妻や猫の耳のピンとして
904墓参り父の笑顔の見えてきて
905売り子寝て浅蜊潮吹く舌も出す
906影碧く筍堀の息を継ぐ
907こどもの日チキンライスに四葉立て
908葉桜の根元に埋めし子の乳歯
909青葡萄ぷるりと陽の児胎動す
910郷捨つるバス停ありし木下闇
911明日見せぬ闇に花火の咲き誇る
912花火散り大人の顔に戻る子等
913稲妻や赤城を下るワルキューレ
914老師弾く革命暫し白雨呼ぶ
915焼き秋刀魚炎と煙白飯と
916燕去る飛跡美し傷の如
917河童忌や影は非凡な奴ばかり
918飯盒の湯気の追い駆く鰯雲
919険路抜け霙にヒュッテの灯が滲む
920星蒼く沖汁の湯気そっと吹く
921黒き影舗道に落とす白日傘
922焼けのこる肌の白さや蝉時雨
923かなづちが砂に穴掘る海水浴
924一天の全くなくて梅雨豪雨
925流木の打ち上げらて梅雨出水
926おにぎりの旨さ梅干し婆のもの
927風鈴や寝心地誘う小昼かな
928勇ましく迸るシャツ汗の玉
929打ち水の匂いたっぷりラーメン屋
930勇壮な山笠担ぐ男衆
931お揃いの男二人の春ショール
932昼顔や口どけのいい嘘は好き
933紙の裏まだ夏だった頃の文字
934都会からにおいが消えていく寒さ
935戦争を知らぬぼくにも敗戦日
936しあわせはむらさき色の天の川
937菊日和一人ひとりは佳き人よ
938国と国が戦争して国破れ
939くずげるまでに見でおぎで大文字
940菫ほどの高さで考える人になる
941ラムネ飲む昭和の音を転がして
942終戦日母の遺品のもんぺかな
943ドローンにも映る富士山風薫る
944富士山やたんぽぽの絮空の旅
945風入れる遺品に富士の写真集
946芝桜樹海の先の富士の冴え
947五月富士触れたきものに伏流水
948富士山の春の夕焼け旅終る
949ビル谷間朧に見ゆる富士姿
950待つことはさながら夜釣の時のよう
951冷酒を話の口火切りながら
952繰り言を包む両手に天道虫
953青き稚魚隠れて眠る桜貝
954スペアリブ大地を踏んで黒ビール
955性悪な俺とおまえと朧月
956弔鐘の消え入る空や赤とんぼ
957こんなはずじゃなかったなんて去年今年
958富士講の御師は酒好き女好き
959梅雨寒や教会の椅子堅かりき
960朝梅雨を置いてみどり葉蚕愛で
961鮎食す箸先の動き静かなり
962麦三本吾子の不思議の成果なか
963ざわざわと身を太らせ繭となる
964紫蘇の葉の赤に染まりし塩加減
965一人居の声がこだます福は内
966農機具へ団子お供え十三夜
967木犀の香りや父と旅に出て
968夏の夜賭け麻雀に時忘れ
969夕涼み麻の下着で将棋指す
970七日目の蝉は大声壁止まり
971兵子の血その一滴は向日葵油
972熱中症水杯は杖となる
973雲一つ吞み込むほどの鯉のぼり
974夕暮れの静けさ戻る花御堂
975踏切の内のたんぽぽ色一点
976浅利汁あれよあれよの物価高
977晴天の新緑揺れるバスの旅
978十薬の砂利道続く空家なり
979玉子かけさっとかけ込む新学期
980犬と来て万緑の中ハンバーガー
981隣家よりドアのきしみや梅雨の朝
982蚊帳を吊り六畳一間の戦後かな
983昭和はるか谷内六郎の秋
984美ら海を海月のごとく揺れる髪
985短夜は夢も短かし逢えぬ人
986伊賀焼へ笹百合挿して夏点前
987春爛漫祖母も恋する大谷君
988短夜や万葉仮名の恋は孤悲
989我が父の西行きし日に春の風
990風花や夫の手やさし拾い足
991春の風モンローウォークのチワワ
992芭蕉布や海の香りと老女の手
993夕立晴じゅくじゅくズック水の音
994過疎村のソーラーパネル飛花落花
995葱坊主ナビ道なりと云うけれど
996空耳やおいでおいでと五月闇
997夏木立一年ぶんの深呼吸
998水無月の防犯カメラ謎めけり
999若桜知覧の文の涙あと
1000花冷えや分去れの地の君とわれ
1001黒揚羽行きつ戻りつ黙の舞
1002笑栗の実のみ描き出す絵筆かな
1003冬蝶や陽だまりの中影うすし
1004桜散る花びらダンスハラハラと
1005雨上がり水玉光るツツジかな
1006猫がいた水仙香るその場所に
1007母燕どの子にあげる虫咥う
1008足取りを灯籠照らす恋の道
1009物事の軍配は西胡瓜りもむ
1010さざ波の子らを目で追う夏休み
1011画用紙のゆれる音色や釣り忍
1012ふんぎりはとおについてるがまがえる
1013蜻蛉くる遠近法を水平に
1014母の日は嫁にも電話ありがとう
1015鎖骨から夏の始まる十五歳
1016やっと来た素顔見せ合うこどもの日
1017世界地図なぞりてスーダン夏に入る
1018粽食ぶ柱に傷はないけれど
1019いざこざも滅茶に混ぜこみ夏カレー
1020ジャンボ玉追いかけはしゃぐ夏の空
1021父の日は今日一日の威厳なり
1022転居してここから新た梅雨晴間
1023夏の空真一文字に飛行雲
1024なんどでも咲かせたきかな返り花
1025もちろんと身も食べ尽くす蜆汁
1026初鰹相田みつをの書が笑う
1027玉入れの合図こだます鰯雲
1028駅ピアノ外は五月の風奏で
1029ウクライナへ続くひまわり投句箱
1030昭和より平成遠き蛍狩
1031ボールペン一本あれば山笑う
1032女偏にしがらみあって梅雨の蝶
1033五七五のこころの扉海開き
1034半額や十年ぶりの夏帽子
1035待ちわびて十二単の花の青
1036百千鳥白き穂高と釜トンネル
1037さるすべり路地いちめんの金平糖
1038もろこしを包む戦禍の新聞紙
1039風光るシャツ一枚の洗いたて
1040ジリジリのメンズ日傘に影もらう
1041こたつから耳澄ませ待つ母の鍋
1042涼めでる絹うちわの青と白
1043楊梅やピザに意外と合う不思議
1044寂しさを埋めて五色の紙風船
1045まな板にキラリスラリと秋刀魚かな
1046タマが伸びつられ私も小春日や
1047小春日やタマに取られし膝枕
1048にらめっこしたら負けるよ雨蛙
1049軽々と敵をうっちゃりカブト虫
1050炎天を真一文字にスカイツリー
1051炎天や片手で風を巻き起こし
1052さりげなくキミの短冊探しけり
1053天高し齢(よわい)五十の再就職
1054浮き游ぎ宇宙(そら)に届くや鰯雲
1055鉢植えのキミを押し行く花野かな
1056争いは絶え間なくとも良夜かな
1057考える葦であろうか終戦忌
1058願いごと同じであれや流れ星
1059転んでもすぐ立ち上がる運動会
1060ぎんなんや落ちていたって粒揃い
1061冬将軍待ってましたと鍋奉行
1062食えぬなら潰してしまえ松ぼくり
1063冬将軍いつでも来いと鍋奉行
1064かなかなや脱力奏法なる余生
1065運動会転んでもすぐ立ち上がり
1066病葉を蹴っては独り遊びとす
1067転ぶことしみじみ淋し鰯雲
1068桜湯のかそけくゆらぐ香りかな
1069街若葉ドレスアップの犬の顔
1070日向ぼこ友いつだって聞き役に
1071稲光ビルの谷間に走り去る
1072稲妻や家の中まで光の尾
1073「主は誰?」我がドアミラーの夏帽子
1074宵の口稲妻襲う繁華街
1075盆帰り駅名変わりて半世紀
1076稲妻は遠くの闇で走りおり
1077鎌を手に草ぼうぼうの墓掃除
1078舞踏会ドレスアップの土佐金魚
1079揚げ花火夜空に浮かぶ闇舞台
1080八ヶ岳稜線跨ぐ登山の日
1081サングラスかけて夜廻歌舞伎町
沢山のご応募ありがとうございました。