2023年度俳句記念日ご応募作品

 

2023年度俳句のご応募は7月19日で〆切らせて頂きました。

 8月19日の俳句記念日イベントでの各賞発表をお楽しみに!!!

 

また、2023年度俳句応募〆切以後、2024年度俳句の応募がもう始まっています。
奮ってご応募ください。

 

 

2023年度8・19俳句記念日への俳句のご応募はこちら

https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/6fbMaRTVW7w7FtHu/

2023年度ご応募作品一覧

 

1夏雲の黒きを見ては懐かしむ

2夏の夜に友から届く便りかな

3天蓋となりし若菜に日の匂い   

4菜の花や岬の風に酔うばかり

5十薬の群れて謎めく微光かな

6まろやかに時を育むとろろ汁

7更衣四肢のまぶしき交差点

8様々な 蝉のシャワーに 誘われて

9骨壷と生きる私と曼珠沙華

10八十の母の句集や春惜しむ

11夏草のバス停ポツン人気(ひとけ)なし

12初露を硯に落とし身を正す

13七夕や早や夕星の瞬きぬ

14スコーンと七夕竹の差す夜空

15七夕にガラス細工を磨きおり

16星祭り衝動買いの笹揺れて

17七夕や頑張りたいという願い

18鉛筆のころがってゐる敗戦日   

19赤蜻蛉ビールケースに傘二本  

20針箱に娘の釦小鳥来る

21赤とんぼ電話ボックスいつも空   

22浜砂にまみれる幼児秋暑し

23日の落ちて影絵となりぬ吾亦紅

24風と来て目線を外す赤蜻蛉

25白黒の赤福新参青紅葉

26レジ袋いっぱいの柚子と友来る       

27温(ぬく)いそば小さく泳ぐは柚子黄色   

28ぶきっちょの刻む針柚子ほろ苦し      

29柚子畑真昼の宇宙我は神          

30柚子湯しか思いつかない秋俳句       

31柚子の実のあばたも憎しデート前      

32渡された手布よりふと柚子かおる      

33柚子の香が箸を進める常夜鍋        

34柚子の木が見守る家のすべり台 

35照り紅葉手のひらかざし万華鏡         

36紅葉(もみじ)色着てみようかなワンピース   

37絵手紙に貼りし紅葉の一葉二葉(ひとはには) 

38読みかけの文庫本にも紅葉散る         

39ティーショット装う山が抱(いだ)きけり   

40京高雄赤より緋(あか)い紅葉かな       

41柚子湯しか思いつかない秋俳句

42影見上げ空の絵になる冬鴎          

43北国の酒場わびしき冬鴎           

44えびせんで船に群がる冬かもめ        

45熱燗とスルメが似合う冬かもめ        

46冬鴎空と波との間(あわい)翔ぶ       

47波待ちのサーファーはるか冬鴎        

48冬鴎テトラポットで昼休み

49ワイワイと落葉集めてBBQ(バーベキュー) 

50キラキラと見ててあきない落葉川

51ドライブで落葉舞い上げ旅路行く

52濡れ落葉赤のブーツで踏みしめる

53履歴書の封筒抱き踏む落葉

54キャンパスに銀杏落葉の一本道

55落葉して光さんさん散歩道

56古着市色とりどりの落葉掃く

57ティーショットボールを隠す落葉かな

58公園に年寄集いて落ち葉掻き

59後朝(きぬぎぬ)の別れの朝に散る落ち葉

60履歴書の封筒抱き踏む落葉

61子犬らが落ち葉巻き上げかくれんぼ

62波の花しぶける断崖咲く留萌

63頬さすり袂(たもと)と交わす花言葉

64春はじめ句会はじめと日本酒と

65春はじめ桃色パフェに舌つづみ

66春始め穏やかな陽に春うらら

67春はじめはずむ心と足どり軽く

68春はじめこころときめくコスメたち

69春はじめつぼみもゆるむ陽のひかり

70春はじめポチの服も薄くなり

71着ぶくれのチワワ主人の腕の中      

72着ぶくれて北ウィングの朝7時      

73義士の日を生きる歴史の末端に      

74着ぶくれの寝屋朝刊の音届く       

75おやつには切腹最中義士の日や      

76着ぶくれて身うごき鈍し試着室      

77義士の日にケンカの仲裁町内会      

78帰国便着ぶくれのまま鼾(いびき)かき  

79義士の日の体育倉庫に太鼓一つ      

80着ぶくれて満員電車がさらに密      

81グラウンドの部員着ぶくれ朝練習     

82雪中花ユンボの雪かき父の背       

83冬灯どんな風にも生きられる       

84合格を吾子と祈るや初詣         

85初みくじきれいに結び吉とする      

86水仙を生けて目玉焼作る朝        

87初詣詣のはしご三っつまで       

88風花や頬にちらちら時悲し       

89冬暁新聞配るバイク音           

90今年運双六進め願かける          

91箱根路や一目を避ける冬桜

92春はじめつがいのカモの笑声

93白酒のごとくとろろと二度寝する

94盃にカルピス注いで(ついで)雛遊び

96白酒を舐めつつ愛でる孫娘 

97「放課後は 女子会なの」と雛笑まう  

98白酒をおいしく呑める齢(とし)になり 

99桃花酒をギヤマンに注ぎ母思う

100盃(さかずき)にゆらゆら浮かぶ花を待つ

101八重桜枝の先にも君が咲く

102濡れ桜目出も触れでも(めでも、ふれでも)玲瓏と(レイロウと)

103夕映えに薄桜色(うすさくらいろ)鈍ゆきて(にびゆきて)

104切ないね桜吹雪は降り積もる

105空に龍尾っぽの先には相模湾

106箱根路に芽吹くけやきよ山笑う

107峰チラ見おにぎりほおばる山笑う

108花見橋車氣にして撮る桜

109陽炎や歪んで見える直線路

110花筏乗れば何処へ行けるかな

111濡れ桜雨のぼんぼりと満開に

112青空はキャンバスだよと咲く桜

113雨風に舞い落ちたるや花筵

114袴着せ見送る家族に桜吹く

115花冷えや人もまばらな目黒川

116舞う桜まだ散らないでと叫ぶ児ら

117頬笑うほのかな香り桜餅

118目黒川花びら浮かべてさらさらと

119大空に口ばし伸ばす鳥帰る

120散る桜さす傘描く花模様

121朝にボン青空に向って桜咲く

122老木に凛と咲いてる桜花

123雨風に舞い落ちたるや花筵

124桜貝月の砂漠に流れ着き

125小石かと蟹が蹴とばす桜貝

126帰る家まだある桜貝の詩

127蛙まだ見かけぬうちに目借時

128悔しさに砂浜白く桜貝

129砂浅し波に逆らう桜貝

130桜貝置き所無く海広し

131桜貝繰り返し聴く波の音

132貝寄せては返す浪静か

133城映す狛犬まなこねこやなぎ

134鈍行の揺れにまかせる目借時

135二駅を乗り越し気づく目借時

136濡れ縁の猫も舟こぐ目借時

137抽斗に遠き日の恋さくら貝

138乙姫の置き忘れかも桜貝

139砂を透き潮騒を聴く桜貝

140止まり木のインコ静かな目借時

141いつの間にこんなところに一人静

142小さき日のあの思い出に蓬摘む

143木漏れ日や鳥のきている猫柳

144星の降る渚に帰す桜貝

145上り待つ田中の駅の目借時

146桜貝出でし亡父のピース缶

147濡髪にカルキの臭ふ目借時

148朝の浜花貝未だ夢の色

149忍び寄る汚染知らずや桜貝

150さくら貝これは羽化した恋の羽

151このような心でいたい桜貝

152綿々と恋語る友目借時

153目借時ご不在通知が玄関に

154曳く波の光残せしさくら貝

155海の歌歌ひて帰るさくら貝

156寝ころべば海の匂ひや桜貝

157さざ波の絶えることなし桜貝

158曳く波の足跡消すや桜貝

159疵の互いに抱きしめ合ひぬ桜貝

160世の此岸生きて蛙の目借り時

161砂浜の文字の句点よ桜貝

162雨音に目閉づ蛙の目借時

163黒人の娘のふと拾ふ桜貝

164忘れ潮ひとつ残りし桜貝

165波打ちに波に揺らるる桜貝

166流さるるままに生き抜く桜貝

167横笛に指動かざる目借時

168住職の法話かすかに目借時

169春めきて鼻歌漏るる海女の小屋      

170春めきて薩摩切子を二つ買う       

171鳥帰る空紅色に染まるとき        

172かげろへる原爆ドーム昼の黙       

173軽やかに発車のチャイム春めけり     

174ピンと立つ猫のしっぽや春めきぬ     

175遠山の丸く見える日春めきぬ       

176フリースに包まれ眠る春の風邪      

177調弦の軽く揃いて春めきぬ        

178小魚の跳ぬる波紋や春めきぬ       

179鳥帰るシベリアまでの空遠く       

180陽炎や軽トラに立つ古箪笥        

181冒険といふは誰にも鳥帰る        

182投げ竿の放物線や鳥雲に         

183マシン吠ゆル・マンの陽炎引き裂きて   

184碧天を戦火の郷へ鳥帰る         

185鳥帰る故郷へ向かふ夜行バス       

186餌ねだる猫の鳴き声春めけり       

187障子戸の春めく光部屋に満つ       

188春めきてろくろの土の良く喋る      

189日当たりの斜めの庭も春めけり      

190春風邪や窓から見る山遠し        

191春めくやひかり膨らむ堰の水       

192鍵盤に弾む指先春めけり         

193陽炎の中より吾子が現わるる       

194夕立雲遠くに聞くやゴロゴロと             

195鳥帰る人なきコインランドリー      

196捨つ郷や母の影さえかぎろひて      

197つぎつぎと水面くずして鳥帰る      

198一列に並びて北へ鳥帰る         

199鈍色の空を二手に鳥帰る         

200伊吹嶺の浮雲かすめ鳥帰る        

201引き上ぐる浜の小船や鳥雲に       

202陽炎に彷徨う少年探偵団         

203陽炎いて貨物列車の浮いてくる      

204軽やかに発車のチャイム春めけり     

205春めきてシェフの帽子も背を伸ばし    

206君のならくれてもいいよ春の風邪     

207妻からのメールにハート春めける     

207オリオンに向ひ帰宅や春めきて      

208光さす千体仏や春めけり         

209一人寝の夜のいつまでも春の風邪     

210レトルトの匂いの粥と春の風邪      

211春の風邪汽笛掠れしA列車        

212春めくや浅瀬に遊ぶ鷺一羽        

213春めいて草刈られゆく空の堀       

214春めくや老若集うカフェテラス      

215春めくや旅のプランを練り直す      

 216我が手よりスマホこぼれる目借り時    

217言い訳は頭痛肩こり目借り時       

218目借り時カメラオフして大あくび     

219引き潮の宝探しや桜貝          

220爪の色紅貝に染めコロナ明け       

221波一つ立たぬ浄土や春の海        

222春の川辿りてやがて春の海        

223二胡の音のせて浜風春の海        

224夕刻をさばと畝るや春の海        

225我たちは陸の生きもの春の海       

226風吹けば色を変えたる芝桜        

227桜貝見つけて透かす宝物         

228半世紀前の宝は桜貝           

229風もなく落つる花びら名舞台       

230イタリアは昼に檸檬酒目借時       

231鶯も新入りなのかたどたどし       

232朝3時田の草取りや目借時        

233引く波の砂上に欠片桜貝         

234陽を浴びて幼き頃に船を漕ぐ       

235ゴールデンウイーク孫にせがまれイルカショー 

236誰一人いない琵琶湖の小鮎釣り       

237葉桜の下に群れ居る黒スーツ       

238桜散る画を撮りたくて風を待つ      

239目借時山夜連続野球づけ         

240美容室雑誌読むなり目借時        

241そうだよね返事しててもめかる時     

242行ってきます新入社員のひと声      

243走りつつ上着脱ぎつつ薄暑光       

244アスファルト割って突き咲くれんげ草   

245青空や子供の声と桜貝

246ミツバチが嬉々と躍りし藤の花

247肩に藤小首かしげて晴れ舞台

248風吹かれゆらゆら鳴らす藤の花

249降り注ぐ癒しの色の藤の花

250藤の昼そろりはぐれるデモの列

251藤の花毎年祖母を思い出す

252風一陣(いちじん)霞(かすみ)となれり藤の浪

253藤棚のトンネル抜けて別世界

254幻想の紫の滝藤の花

255昼下がり風に乗りくる竹落葉 

256散策の屋敷の跡の別れ霜

257鍬を振る父の背眩し夏隣

258限界の里にひと竿鯉幟

259再会を約して別れ暮の春 

260腕白が五分刈りにされ夏に入る

261つつじ連さんざめくよに笑い咲き

262下校時の背なの鞄に春あらし

263暁闇の着信音や冴え返る

264新聞の落ちる音せり明け易し

265永別の友へ卯の花腐しとは

266房州へ渡る舳先を卯波かな

267廃業の貼紙濡らす花の雨

268地に落ちるまでの命や春の雪

269志高く持ってね柏餅

270カタツムリ私もゆっくり生きている

271木の芽晴口角上げてカキクケコ 

272新緑の道に挑むる留夫山(とめぶやま:長野県の山です)

273川を這う風生々し広島忌 

274祭笛に胸の高鳴る古時計 

275毎日が記念日77回目の夏

276無限大夢が広がる夏の雲

277終戦の年に生まれて原爆忌

278君が好んだままの長い髪洗ふ

279洋蘭の一鉢賜ふ齢祝い

280田植えすみ妻に従い汽車の旅

281病葉を流す眼下の通り雨

282紫陽花や傘をかしげてすれ違ふ

283行列のシーパラダイス夏間近

284其々に咲く花々は凛として

285野の花を抱えて笑顔の友来たる

286大甕のピンクの一輪雨催ひ

287著莪咲いて隣のベッドずっと空

288民宿の畳の穴や夏休み 

289頬よせて掌と掌に移す初蛍

290冷めてゆく紅茶緑雨のカフェテラス

291加賀の旅緑雨に想ふ千代女の句

292緑雨とて花咲き賑わう足利の

293緑雨あさゴルフ中止のメッセージ

294傘ひとつ君と映画に行く緑雨 

295お疲れの草木喜ぶ緑雨かな

296緑雨あと庭の草木がイキイキと

297爽やかに緑雨のあとを散歩する 

298木々の葉や緑雨に打たれ艶を増し

299お日様と隠れん坊する木下闇

300南薫や紅い口元に艶ぼくろ

301風薫る新色のルージュ買ってみる

302下闇に配達バイク群れ集う

303叔父逝きて雲なき空に鳥帰る

304かげろふや塀の上なるあくび猫

305寝過ごして見知らぬ駅に野馬燃ゆる

306春めいてピンクのチャリで街駆ける

307春の風邪額に汗し検査する

308咳ひとつ人目気にする春の風邪

309旅心期待と不安で着ぶくれる

310着ぶくれの子らがお散歩リヤカーで

311重曹粉100均で買う義士の日や

312外套のナフタリンの香初時雨

313一葉忌をんなはつよくなりぬるや

314秋晴や川面にダイヤ散りばめて

315朝露を摘もうとする小さき指

316老母笑む昔語りの風の盆

317まっすぐな性分の子や風薫る

318朝顔の蔓を絡ませ天仰ぐ

319手のひねり返して進む風の盆

320ガラス瓶弾けて跳ねる水中花

321ガラス越し黒デメキンのにらめっこ

322小糠雨水面を走るあめんぼう

323故郷に一人居の母遠蛙

324亡夫(つま)を詠む母の句集は牡丹色

325露草や朝の光と瑠璃の色        

326夜明け前落下繚乱サガリバナ      

327土用東風暖簾くぐればお猪口酒     

328畦道は燃えているよな曼珠沙華     

329「案山子さん」幼き声の真顔あり     

330渡月橋風囁いて山粧う         

331富士山や裾の山々山眠る        

332鳥の声誘(いざな)う沢の山滴る    

333握り飯賑わう里の山笑う        

334さくらんぼカクテルサワー浮かびおり  

335紫陽花や艶めく人の色香り       

336かくれんぼ光落ち来る木下闇      

337嫁ぐ日の身を清めたる髪洗う      

3383段のアイスクリーム舐めあっこ

339花月夜ひとかたまりの低気圧

340「放課後は女子会なの」と雛笑まう

341麦秋の波間を渡る風一迅

342熱帯夜猫との距離感冬恋し

343そこばくの痛み滲ませ冬の蝶

345春疾風抜歯台にて身をよじり

346送らるる野菜にしかと蛞蝓

347袈沙懸けの冷まじきまで手術痕

348泰山木これぞ正義といふ白さ

349群落の鈴蘭晴れの青き富士        

350九人待ち昭和レトロの鰻店       

351横顔の齢見らるる菖蒲園          

352緋目高やいま産卵のファンタジー      

353体温の低め正常水芭蕉

354夕立や流し切れなき事ひとつ

355語り部の口元のしわ終戦日

356 雪景色火鉢にスルメあらばしり

357朝顔の色水集めおままごと

358稲妻に怯えて子犬イスの下

359夏木立空へ空へと突き進む

360予定なしカーテン開ければ風薫る

361雛飾り願う娘(こ)の幸孫の幸

362菜の花のお浸し苦く箸休め

363足入れぬ日差しに負ける春こたつ

364捨て案山子焼きて血色の焔見ゆ

365でで虫 のゆくり角立て一筋に

366紫陽花の競ひたつ寺咲き乱れ

367片陰に入りて佇む老二人

368厳かに抹茶もてなす沙羅の寺

369深閑と寺苑の中の濃紫陽花

370十薬や闇に明るく解けていく

371七夕や竹のしなたるほど願い

372七夕や逢いたき心結びけり

373秒針の音やわらかや春隣り 

374ティーショット飛んでく先は木下闇

375梅雨の日は長靴傘で児らはしゃぐ

376園庭の児らの1.2.3で跳ぶ蛙

377雨上がり今にも落ちそなカタツムリ

378川の香がほんのり苦い初香魚

379宵闇を迷路描いて舞う蛍

380雨蛙追いかける子を親が追い

381水鳥が掻き分け進む花筏

382三味線の唄の間合いに風薫る

383梅雨入りの名古屋で力士土俵入り

384ごまサバとごぼ天うどんめんたいこ

385もつ鍋にとんこつラーメン水炊きだ

386花貝を熊手の五線譜何処へ置こ

387夕陽へと風船朽ちぬ赤届け

388捨て子猫牙生ふ夜に星は無く

389薔薇の香やカールツァイスと星を追ふ

390下萌にあり私にはなき健気

391春めくや緑黄色の厨から

392立春の富士ゆるびたる昼下がり 

393傘ひとつ君と散歩の緑雨かな

394夕靄の川面を渡る祭り笛

395父の日も知らずに父は鍬を振る

396短夜や枕辺に置く旅のメモ

397うなづいて言葉飲み込む冷し酒

398嫁ぐまで頬を寄せ合うさくらんぼ

399奥社まで言葉少なき木下闇

400筑波嶺へ鳥の飛び立ち麦の秋

401サングラス寂しがりやを隠しけり

402蒲公英や野を駆けめぐるホームラン

403魂に響く太鼓や初御空

404ナビにない角を曲がれば花茨

405とりあえずナマチュー二つ街薄暑

406綿肌着母に届ける夕薄暑

407紫陽花は土を喰らひて赤や青

408梅雨寒や中辛麺で汗をかき

409露集めティアラとなりぬ額紫陽花

410「おはよう」のボリューム上げて寒明ける

411少年のズボン短し寒明ける

412夕立や眼下の草木叩き去る

413炎昼をひたすら歩き街に入る

414散水の先に現る虹の橋

415豊穣を夜通し祈る風の盆

416琵琶の種飛ばし独りの道をゆく

417目の前にいるのに会話スマホLINE

418俳句の日バイクに乗って一句詠む

419生活に馴染み親しみ五七五

420何となく詠んだ俳句が評価され

421瘦せたのに気が緩みまた太り出す

422そうめんと冷やむぎ迷い結局そば

423畦塗るや村八方に水の音     

424紙魚走る空の青さを知らぬまま   

425ガラス器に今朝の色挿す七変化    

426蕉翁の句碑に紫陽花影をさす     

427束の間の日差し逃さず梅雨の蝶

428杉樽の染みに味噌の香蔵涼し

429鮎群れてそこに煌めき溢れをり

430人の世と少し隔てて青簾

431ふたのないおもちやのピアノ雨蛙

432風薫るソの音「笛を吹く少年」

433龍天に青いインクの置手紙

434頬杖の朝からずつと春炬燵

435逆縁の写真へポッキー桜餅

436駆けてくる子ら皆青葉の風となる

437初音聞くただ一行の日記かな

438幼子やトロフィーの如氷菓持ち

439番犬のぬつと顔出す木下闇

440自転車に跨る裾の薫る風

441木下闇崩れかかった祠あり

442扇風機押入れの中出番なし

443駅舎内子育て忙し夏ツバメ

444紫陽花や心変わりなメールあり

445おたまじゃくしバケツに五匹したり顔

446サイフォンのしずく長閑かに風薫る

447梅雨の日も長靴傘ではしゃぐ児ら

448葉の裏に足跡引いてカタツムリ

449牧草地飼葉の山に風薫る

450風薫る鬼押出しの親子かな

451木下闇抜けた先には太平洋

452木下闇村人見つけ道を聞く

453風薫る乳頭温泉水車かな

454紫陽花もピンクで小顔モテるのね

455薔薇抱えいざゆかん友のバースデー

456風薫るブラウスの袖ふくらませ

457木下闇戻しておくれ乙女の頃

458彼方から鳥鳴きかわし風薫る

459束ね髪解きて少女は髪洗ふ

460テンポあげトタン叩くや大夕立

460夕立の甍を叩く寺の町

461長靴のポケモン躍る夕立かな

462大夕立街の火照りを覚ましけり

463夕立の後から紫雲奔る

464雨上がり白雨の影を風が追う

465洗い髪まとめて風の頬撫でる

466髪洗い小さな木蔭に癒される

467大粒の夕立の降る今ここに

468夕立や音立て入る部屋暗し

469夕立や異人宿借る大手門

470夕立をせがむ蛙の声高し

471髪洗う水音清し夜の星

472髪洗う湯殿を包む夜の闇

473夕立の歩道に泡の立ちにけり

474夕立や吾子の自転車叩き去る

475夕立によく動きけり池の鯉

476旅人の風に梳かるる洗い髪

477講演を明日に控えて髪洗う

478風一陣風鈴さわぐ夜店かな

479ががんぼや「あなたはいいね」「ほっとする」

480桐の花咲かせてゐたる斜陽館

481ほうたるを蚊帳に放して闇分かつ

482洗い髪夜風に吹かれ回り道

483白雨去りいぶし瓦の底光り

484一列の黒豆戦士髪洗ふ

485夕立や右目の白き達磨居て

486薄明やメデューサ髪を洗ふ影

487藍甕に湧き立つあぶく白雨来る

488傘持たぬ人皆走る夕立かな

489夕立果てあらはれでたる虹の橋

490コンビニへ駆け込む子ども大夕立

491無骨なる指もて妻の髪洗ふ

492初デートあしたにひかへ髪洗ふ

493葉桜の蔭に川瀬の水光る        

494バイオリンの弓締め直す昼薄暑     

495夕薄暑匂ひ洩れ来る佃煮屋       

496サックスの咽ぶ薄暑のジャズクラブ   

497葉桜に透ける光を仰ぎけり       

498葉桜の中に奏でる瀬音かな       

499葉桜の中をゆるりと車椅子       

500薫風や舳先に猫の座りおり       

501貝塚の層は幾重や風薫る        

502軋み行くトロッコ列車や風薫る     

503二階より豆腐屋止むる夕薄暑      

504配達を終へし自転車夕薄暑       

505葉桜や詰襟開く初年生         

506葉桜の隙間を埋むる空の青       

507人影も絶えて堤の花は葉に       

508あてもなく風に誘われ夏木立      

509せせらぎの音生き生きと木下闇     

510伊勢湾へ木曽揖斐長良風薫る      

511熊野古道霊気ただよふ木下闇      

512子供らの謎なぞ遊び木下闇       

513風に折れし牡丹三本供花とす      

514サッカーの球フワと浮き風薫る     

515嬰泣きし涙なぞりて夏の風       

516故里を遠望の丘風薫る         

517みどり児の笑窪くっきり木下闇     

518暗いほど外明るくて木下闇       

519けん玉で遊ぶ子たちや風薫る      

520作句する語彙の貧しき薄暑かな     

521葉桜を描くキャンバス青き空      

522娘が来ると豆飯を炊き待ちてをり    

523葉桜の梢へ伸びる緑かな        

524地下街を出でて地上の街薄暑      

525葉桜やケルンに注ぐジン香る      

526老幼が遊ぶ芝生の薄暑かな       

527葉桜や嬰は保育園なれた頃       

528夕立やみストーンヘンジの巨石かな

529雨粒のボツと落ち来て夕立かな

530地のにほひ甦る時夕立あと

531髪洗ふ湯のなつかしき夕べかな

532天窓にさす光なほ髪洗ふ

533ランニング遠回りする花月夜      

534薄着して出かけて後悔花月夜      

535窓開けて酔い花月夜ご満悦       

536青白き君の横顔花月夜         

537コロナ病み桜月夜の微熱かな      

538新歓でLINE交換花月夜        

539古希妻とそれあれこれの麩まんじゅう 

540温暖化非常識かも絽か単衣 

541噴水が噴き上げる如告げる恋        

542父の日の父と一緒の地引網         

543寝過ごして予定が変わり髪洗ふ          

544気乗りせぬ来客なれど髪洗ふ         

545世田線の窓から見える釣忍          

546いつまでも一人息子や額の花         

547屋根赤き空の向こうの夏の海          

548大学生髪の色変へ夏休み          

549今日遅いとメモ書きのあり葛桜          

550夫と手を繋ぎて渡る夏の川          

551湯宿の夜少女は黒き髪洗ふ           

552介護度3母は週ニで髪洗う          

553夕立去りむんむんと土匂ひ立ち          

554恋の行方気づかれぬやう髪洗ふ          

555紫陽花の寺から臨む由比ガ浜          

556人生は酸ひも甘ひも海月なり         

557抽斗の古びた名簿麦の秋          

558夕立が洗い流した一ページ          

559魔術師の呪文一変夕立(ゆだち)過ぐ          

560スコールに追い立てられて喫茶店          

561夕立に駆け込む店先見っけモン          

562君が好んだままの長い髪洗ふ         

563ごめんねの言葉に代えて髪洗う          

564髪洗う昨日のことは忘れよう          

565あの雲の下は夕立君の駅          

566夕立に屋根捜しけりウォーキング          

567夕立のドラ音響くトタン屋根          

568老夫婦少ない毛並み髪洗う          

569夕立や上がった砂場水たまり          

570田植え終え水に映るは空のあお          

571洞窟の中は暗闇夏のほか          

572吹き渡る幾何学模様青田風       

573洗い髪しずくがぽたり涙色       

574少年の蛇口で洗う三分刈り 

575梅香るこのひとときに想い馳せ

576天空の陽射し眩しい梅の園

577悠久の時を感じる梅の粒

578爽快な香り楽しむ梅漬けや

579梅来たり馴染み農家や有り難し

580爽やかな梅の香りの果肉かな

581梅香るみなべの里の青空や

582靴飛ばし占い競う子等の梅雨

583石蹴りの先の紫陽花青々と

584整列の植田に富士の笑顔かな

585夕立や子猫と一緒に軒の下

586気がつけば読みふける間に夕立や

587夕立や庭の潤い茎背伸び

588超ラッキーケーキ追加の雨宿り

589白雨過ぎ景色の狭間に光刺す

590急停止電車の窓から白雨だけ

591奥社まで言葉少なき木下闇

592走り梅雨思い出ばかり話す友

593風花を見上げ停戦祈る朝

594初詣今年を託しみくじ引く     

595今年運双六すすめ願かける     

596箱根路の人目避けるや冬桜

597馴初めを聞かされ溶けるかき氷

598小春日や犬が顔出すベビーカー

599メルカリへお暇を出すや革コート

600百円を入れて乾かす洗ひ髪

601正月の顔して来たり孫五人

602トリマーより犬にも来たり夏見舞

603令和には男もすなる日傘かな

604赤ん坊の一糸まとはぬ夏座敷

605邂逅はともに白髪やソーダ水 

606畳目を頬に目覚むる昼寝の子

607刺しに来てお手討ちとなる藪蚊かな

608地下街へ日傘をたたむ柳腰

609ワンコイン入れて夜濯スマホ見る 

610恐竜のフィギュア離さず昼寝の子

611掃除ロボ止むるものなし夏座敷

612メーデーの先頭を行くブルドッグ

613噛み合はぬ会話にマスク外しけり

614競馬紙を顔に棟梁三尺寝

615クロネコにつづきペリカン初荷来る

616すつぴんをマスクでかくす娘かな

617虫の音を髭で聴いてる野猫かな

618白シャツを息子に送り返事待つ      

619アロハシャツ習い始めのウクレレと     

620夏シャツに着替え鏡を右左          

621アルバムを指さし微笑む開襟シャツ      

622ポーズとる開襟シャツの女学生        

623木下闇道なき先の滝の音         

624アフタヌンティー女子会集う薫風         

625四万十川シワの波間に鮎踊る          

626土佐電に乗って食べ飲み初鰹       

627風立ちぬ一際目立つ白牡丹        

628山桜のぼり下りで観る景色        

629登山客頭上に舞い散る山桜        

630ふもとより空へと続く山桜        

631いくたびも向かう吉野の山桜          

632上り坂ひと息ついて山桜         

633小山にも一樹りっぱに山桜       

634散り敷きて花びら纏う山桜      

635山桜啄むすずめ一羽二羽         

636山桜麓から村ひと続き        

637紅の天女降り立つやまざくら

638月涼し窓開け走る越後道

639万病を癒す草津の月涼し

640盃に浮かべ飲み干す夏の月

641夏の月寝苦しき夜に端座(たんざ)する

642月涼しゆれる黒髪下駄の音

643風おされ見上げた空に月涼し

645月涼し夜風に乗って聴くユーミン

646草刈りてお風呂上がりの月涼し

647月涼し見渡す海と佐渡ヶ島

648エアコンを止めて今宵の月凉し

649月涼し揺れる夜景のスターフェリー

650月涼し今日はゆっくり眠れそう

651青梅やいつまで続く反抗期

652夏の大三角形や梅雨明くる 

653流鏑馬や射手の唇一文字

654白南風や寝ころぶ牛の尾は止まず

655かき氷マルシェ賑わふ散宿所

656この高さ凌霄葛揺るぎなし

657ご母堂の心配ばかりもも届く

658朝顔や紺のかすりの日本人

659紫陽花やお地蔵様のでかい奴

660露草しかない露草を手向ける

661知ってゆくごとに深まる恋と秋

662ビオロンの愁思コントラバスにまで

663タンゴからワルツで海へ二羽の蝶

664潮満ち何か産みそう春の月

665じゃこの眼の一つ一つに五月闇

666干しシャツのレゲエダンスや夏来たり

667縁側に生酒尽きて法師蝉

668父の影簾を捲り探す風

669寡黙なる惑星に似た梨をもぎ

670野天湯にぽつり朱を差す冬紅葉

671冬の浜造花の薔薇の赤一つ

672楊桃やピザに意外と合う不思議

673まな板にキラリスラリと秋刀魚かな

674寂しさを埋めて五色の紙風船 

675夏が来て暑さをしのげるオンライン

676人生は日進月歩迷い道

67750代気持ちはされど20代

678梅雨明けを迎えたようなこの暑さ

679夏月や子を寄宿舎へ見送れり

680育てられ咲くほかはない花菖蒲

681どくだみや狭庭の隅の自己主張

682散水の先に浮かべる虹の橋

683バス停の先頭に立つ捕虫網

684砂浜や オイルの香り 焼ける恋

685恋ごころ 浴衣姿を 魅せつけて

686あの人に 逢えたのかしら 天の川

687ユーミンや 真夏の夜の夢 競馬場

688蕎麦すすり 鐘が鳴るなり 善光寺

689百年の 恋も黄昏 君の名は

690黄帽の子 夢でパンパン ランドセル

691全米に 薫風そよぐ 二刀流

692夕立晴れ 見上げた空に 虹かかり

693向日葵の ような笑顔ね わが孫や

694雨露やまず 世界に暗雲 晴れよ来い

695鮎おどる 尾瀬のせせらぎ 澄みわたり

696蒸せる夏妻との会話涼む夜

697蒸せる夏家康想う江戸の街

698俳句の日 秘めた想いを 言の葉に

699目に青葉 山せみしぐれ 駄々茶豆

700ふわふわの 雪にシュプール 君と僕

701認知症 されど忘れぬ 終戦日

702俳句の日 17文字の ラブレター

703雲海と 富士の高嶺の ご来光

704目で追いし ハラヒラリヒラ アゲハ蝶

705風に揺れ もう百日紅 咲き始め

706神社より ミンミンゼミの 誘う声

707門開けて 翔んでく姿 おお蝉よ

708深川の 柳の下に 海月かな

709空蝉や 日に日に増えて 騒がしく

710いつもより 騒ぐ小川に 海月あり

711岩風呂の湯けむり集め若返り

712膝詰し内緒話に白檀香

713夏の夜に夢を集める羽根枕

714たなごころ転がされたは菊の父(仏壇の父の事)

715父逝きぬ稲妻むなし休耕田

716墓参り墓石に父の母の顔

717威勢良き父の在りし日よ稲光り

718墓参の日告げたき事はひとつだけ

719稲妻が曝すや富士の沢崩れ

720マネキンのスマートな水着羨まし

721子燕や旅立ち前の舞い披露

722マイグラス大に変更暑気払い

723合言葉虎キチ「アレ!」の夏祭り

724赤金魚ワイングラスにドレス垂れ

725「ようこそ!」と金魚もてなす城下町

726つばめ去り嬉し寂しや今朝の車庫

727今朝もまた朝ドラ時間蝉時雨

728夏帽子垣根で主を待ちわびぬ

729そよ風に乗せてスキップ一年生

730チクタクと幾度の春や形見時計

731よう来たな!父の笑顔と盆帰省    

732クワガタを追いし気づけば木のテッペン

733招き猫ウチワを持たせ節電し          

734俳句の日芭蕉気取りで句をひねり

735乳飲み児の移り香甘く髪洗う    

736田植え待つ代掻き後の水鏡     

737テラス席はずむ女子会かき氷    

73837度の日は玄関までの犬散歩    

739花火大会火薬の匂う髪洗う     

740短冊にミニーになりたい孫の夢   

741バーベキュー炭の残り香髪洗う   

742打ち水しマイナス2度の涼をとる

743発車ベルホーム彩る夏帽子

744短夜や北へ北へと貨車が行く

745滝壺へ難題捨てて帰りけり

746入り組んだ話を嫌う冷奴

747晩節の余白飾るや蝉時雨

748水平線 満天の星 多良間島

749鏡面の 如し水面の 十五夜よ

750今宵こそ 月が綺麗と 君に言ふ

751いざ佐渡へ 汽船の夏と 信濃川

752美意識と 大和言葉と 俳句の日

753凛として 澄み渡る空 月冴ゆる

754丸呑みにされて妖しき蛍かな

755ほうたるの語るに難きものがたり

756あやかしの淵へ誘ふ夕蛍

757ワンパクの兄貴の弱み稲光 

758墓参り白髪混じりの三姉妹

759まづ脚の阿呆になりゆく阿波踊

760我が背ナに南無南無と翅揚羽蝶

761いい恋をして白靴の乱れざる

762禅寺の施餓鬼にいそぐ老夫婦

763団扇より「あら!」と見返る写楽の絵

764三様に山門抜ける青葉風

765白南風や妻が青色吐息かな

766我が影の鋼となりし炎天下

767菊坂の手押しポンプや昼の虫

768緑蔭の女生徒きつと恋のこと

769宵闇に 迷路描いて 舞うホタル

770保冷剤ネックレスにしてペダル漕ぐ(自転車)

771逃げ場なし見つけたオアシスミスト降る

772夕立に裾乱れるも凛として

773酌み交わす還暦の宴(えん)縁の夜(えんのよる)

774壁白き(かべしろき)海から目指す金沢城

775雨強し揺れる蓮華葉(レンゲは)つゆ集め

776恋す百合枝分かれても瓶で待つ

777山登り踏みしめる大地に朝日降る

778空に龍  尾っぽの先には 相模湾

779箱根路に 芽吹くけやきよ 山笑う

780峰チラ見  おにぎりほおばる 山笑う 

781下駄に聞く踊り切るまで守ってね    

782見えぬ星金銀砂子の菊花火       

783赤椿雪乗る枝の白震え          

784東雲よ電車の窓が額縁に 

785夏がきて暑さしのげるオンライン

786午前二時稲妻叩く小窓かな        

787稲光りセピアの写真に父と母       

788幾万の死者眠る丘墓洗ふ 

7894年ぶり子の笑い声夏まつり

790こんなにも好きになったの俳句の日 

791「不可能」はつかはぬと決め俳句の日  

792胸を張る百寿の翁俳句の日       

793明易や歳時記広げ小半時          

794ひとり旅ひと駅ごとの俳句の日 

795タマが伸びつられ私も小春日や    

796小春日やタマに取られし膝枕     

797にらめっこしたら負けるよ雨蛙    

798軽々と敵をうっちゃりカブト虫    

799炎天を真一文字にスカイツリー    

800炎天や片手で風を巻き起こし 

801町カフェの 恋バナ咲かす メロンパフェ 

802火照る肌 燃ゆる逢瀬に 滝しずく     

803逢いたくて 綴る恋文 かじかむ手

804月涼し濡れる黒髪下駄の音

805太陽に負けず夢中で釣りをする

806規制なし戻った景色夏祭り

807お出かけは夕方からねと昼寝する

808懐かしい花ござ香り祖母思う

809墓参り行こう行こうも供養かな

810音無の湖面に咲くや夏花火

811金鯱の燃ゆるが如く夏の城

812シロップが梅にしみこみ極上味

813固唾をのみ海亀待てり梅雨の月

814一心に紬縫ふ母夏浅し

815灯台の螺旋階段雲の峰

816炎天やガツツポーズの三塁打

817滑り台独り占めして銀やんま

818万緑に野球少年の声響く

 

819病室に手を振る女(ひと)や蝉時雨

820只見線手をふる人や夏の雲

821わっぱ飯会津の味や雲の峰

822深緑揃えて乗車夏帽子

823トンネルの合図の汽笛又涼し

824五位鷺の悠々泳ぐ青田原

825軽トラに子を載せ送る新学期

826河豚よりも君の毒舌強かりし

827お月見や白き団子のピラミッド

828寒き夜や一人鍋の蓋おどる

829ノリノリで風と踊るや奴凧

830ここだけのことと夜咄盛り上がり

831先生へ恋にうつつの夜学かな

832若見えのマスク効果に感謝かな

833見栄外聞気にせず妻の着ぶくれぬ

834生身魂主治医女性にほくそ笑む

835パートにも賞与社長の太つ腹

836照れながら彼女できたと帰省の子

837こんなとこに妻のへそくり冷蔵庫

838下戸の妻ひと口欲しと今年酒

839これくらいの幸せでいい桜餅

840しぐるるやカバン頭に駅出口

841好きな子へ輪ゴム飛ばしし昭和の日

842先づメール開きて仕事始めかな

843不都合な話に妻の咳一つ 

844掘割をむらさきに染め花菖蒲

845母の忌の庭を彩る四葩かな

846「おやすみ」と雛に声かけ寝にゆきぬ

847魚跳ねて水輪広ごる春の池

848いつせいに飛び立つすずめ春の雷

849渋柿のミイラと化して干されけり

850山門にマスクして立つ鬼二月

851霧立ちて白き闇なる背戸の畑

852しつらへの野点に憩ふ花衣 

853美しく老いて銀髪春ショール 

854裕次郎ゆかりの小樽にしん雲 

855石庭の美しき箒目風光る

856潮騒の聞こゆる宿や明易し

857緑蔭にきみの場所空け待ちにけり

858秋の浜寄せくる波の音ばかり

859子どもの日柱の疵の一つ増え

860雪解水飛ばして回る水車かな

861老いの身の行く末問はず夕端居 

862期待のせ緞帳上がる初芝居

863鈍行へ乗り継ぐ駅の余寒かな

864菜の花や白バイ土手に見え隠れ

865五冊目の介護ノートと年迎ふ

866百歳まで生きるつもりや冬至粥

867銀幕のスターほほえむ新暦

868職辞して骨の髄まで朝寝かな

869青天へ法螺鳴り渡り滝開き

870満天に星のおはじき冴ゆる夜 

871山の湯の色なき風や川の音

872小粒きてやがて大粒花の雨 

873足出して壺より蛸の月見かな

874「お母さん冥福ですか」と墓洗ふ

875エアコンに守られ過ごす老いの夏

876ことしから母も加わり茄子の馬

877玻璃の戸に縋り動かず冬の蠅

878初みくじ箱の闇より吉と出づ

879筵ごと巻いて家まで花の塵

880建売の幟はためく若葉晴 

881老の杖皆に後れて青き踏む

882囀のやむとき愛のかなふとき

883鳥小屋のこぼれ餌つつく冬雀

884薄氷踏む怖怖と踏むそろと踏む

885朝市の売る人買ふ人息白し

886公園の遊具みな濡れ花の雨

887甲子園母校敗退終戦忌 

888予備校生予習復習夏期講座 

889二死満塁直球勝負積乱雲 

890炎天下只今思考停止中 

891夏休兄弟喧嘩両成敗 

892大夕焼東京新宿摩天楼

893稲光りセピアの写真に父と母

894父逝くや稲妻むなし休耕田

895朝顔に友の名をつけ日記帳

896素粒子の微かな重さ涼新た

897娘の髪すいて結びて夏の朝

898夫の話す苦労話しや夏燈し

899口開けて息する犬や半夏生

900かちわりや今日も巨人が負け越して

901アマゾンの映画見続け夏果つる

902消印は故郷佐世保の夏見舞い

903稲妻や猫の耳のピンとして

904墓参り父の笑顔の見えてきて

905売り子寝て浅蜊潮吹く舌も出す

906影碧く筍堀の息を継ぐ

907こどもの日チキンライスに四葉立て

908葉桜の根元に埋めし子の乳歯

909青葡萄ぷるりと陽の児胎動す

910郷捨つるバス停ありし木下闇

911明日見せぬ闇に花火の咲き誇る

912花火散り大人の顔に戻る子等

913稲妻や赤城を下るワルキューレ

914老師弾く革命暫し白雨呼ぶ

915焼き秋刀魚炎と煙白飯と

916燕去る飛跡美し傷の如

917河童忌や影は非凡な奴ばかり

918飯盒の湯気の追い駆く鰯雲

919険路抜け霙にヒュッテの灯が滲む

920星蒼く沖汁の湯気そっと吹く

921黒き影舗道に落とす白日傘

922焼けのこる肌の白さや蝉時雨

923かなづちが砂に穴掘る海水浴

924一天の全くなくて梅雨豪雨

925流木の打ち上げらて梅雨出水

926おにぎりの旨さ梅干し婆のもの

927風鈴や寝心地誘う小昼かな

928勇ましく迸るシャツ汗の玉

929打ち水の匂いたっぷりラーメン屋

930勇壮な山笠担ぐ男衆

931お揃いの男二人の春ショール

932昼顔や口どけのいい嘘は好き

933紙の裏まだ夏だった頃の文字

934都会からにおいが消えていく寒さ

935戦争を知らぬぼくにも敗戦日

936しあわせはむらさき色の天の川

937菊日和一人ひとりは佳き人よ

938国と国が戦争して国破れ

939くずげるまでに見でおぎで大文字

940菫ほどの高さで考える人になる

941ラムネ飲む昭和の音を転がして

942終戦日母の遺品のもんぺかな

943ドローンにも映る富士山風薫る

944富士山やたんぽぽの絮空の旅

945風入れる遺品に富士の写真集

946芝桜樹海の先の富士の冴え

947五月富士触れたきものに伏流水

948富士山の春の夕焼け旅終る

949ビル谷間朧に見ゆる富士姿

950待つことはさながら夜釣の時のよう  

951冷酒を話の口火切りながら      

952繰り言を包む両手に天道虫      

953青き稚魚隠れて眠る桜貝       

954スペアリブ大地を踏んで黒ビール  

955性悪な俺とおまえと朧月      

956弔鐘の消え入る空や赤とんぼ    

957こんなはずじゃなかったなんて去年今年  

958富士講の御師は酒好き女好き          

959梅雨寒や教会の椅子堅かりき      

960朝梅雨を置いてみどり葉蚕愛で     

961鮎食す箸先の動き静かなり       

962麦三本吾子の不思議の成果なか              

963ざわざわと身を太らせ繭となる                       

964紫蘇の葉の赤に染まりし塩加減     

965一人居の声がこだます福は内      

966農機具へ団子お供え十三夜       

967木犀の香りや父と旅に出て

968夏の夜賭け麻雀に時忘れ

969夕涼み麻の下着で将棋指す

970七日目の蝉は大声壁止まり

971兵子の血その一滴は向日葵油

972熱中症水杯は杖となる

973雲一つ吞み込むほどの鯉のぼり

974夕暮れの静けさ戻る花御堂

975踏切の内のたんぽぽ色一点

976浅利汁あれよあれよの物価高

977晴天の新緑揺れるバスの旅

978十薬の砂利道続く空家なり

979玉子かけさっとかけ込む新学期  

980犬と来て万緑の中ハンバーガー  

981隣家よりドアのきしみや梅雨の朝 

982蚊帳を吊り六畳一間の戦後かな  

983昭和はるか谷内六郎の秋 

984美ら海を海月のごとく揺れる髪

985短夜は夢も短かし逢えぬ人

986伊賀焼へ笹百合挿して夏点前

987春爛漫祖母も恋する大谷君

988短夜や万葉仮名の恋は孤悲

989我が父の西行きし日に春の風

990風花や夫の手やさし拾い足

991春の風モンローウォークのチワワ

992芭蕉布や海の香りと老女の手

993夕立晴じゅくじゅくズック水の音

994過疎村のソーラーパネル飛花落花 

995葱坊主ナビ道なりと云うけれど

996空耳やおいでおいでと五月闇

997夏木立一年ぶんの深呼吸

998水無月の防犯カメラ謎めけり

999若桜知覧の文の涙あと

1000花冷えや分去れの地の君とわれ

1001黒揚羽行きつ戻りつ黙の舞

1002笑栗の実のみ描き出す絵筆かな

1003冬蝶や陽だまりの中影うすし

1004桜散る花びらダンスハラハラと

1005雨上がり水玉光るツツジかな

1006猫がいた水仙香るその場所に

1007母燕どの子にあげる虫咥う

1008足取りを灯籠照らす恋の道

1009物事の軍配は西胡瓜りもむ

1010さざ波の子らを目で追う夏休み

1011画用紙のゆれる音色や釣り忍

1012ふんぎりはとおについてるがまがえる

1013蜻蛉くる遠近法を水平に

1014母の日は嫁にも電話ありがとう

1015鎖骨から夏の始まる十五歳

1016やっと来た素顔見せ合うこどもの日

1017世界地図なぞりてスーダン夏に入る

1018粽食ぶ柱に傷はないけれど

1019いざこざも滅茶に混ぜこみ夏カレー

1020ジャンボ玉追いかけはしゃぐ夏の空

1021父の日は今日一日の威厳なり

1022転居してここから新た梅雨晴間 

1023夏の空真一文字に飛行雲

1024なんどでも咲かせたきかな返り花

1025もちろんと身も食べ尽くす蜆汁

1026初鰹相田みつをの書が笑う

1027玉入れの合図こだます鰯雲

1028駅ピアノ外は五月の風奏で

1029ウクライナへ続くひまわり投句箱

1030昭和より平成遠き蛍狩

1031ボールペン一本あれば山笑う

1032女偏にしがらみあって梅雨の蝶

1033五七五のこころの扉海開き

1034半額や十年ぶりの夏帽子

1035待ちわびて十二単の花の青

1036百千鳥白き穂高と釜トンネル

1037さるすべり路地いちめんの金平糖

1038もろこしを包む戦禍の新聞紙

1039風光るシャツ一枚の洗いたて

1040ジリジリのメンズ日傘に影もらう   

1041こたつから耳澄ませ待つ母の鍋     

1042涼めでる絹うちわの青と白  

1043楊梅やピザに意外と合う不思議     

1044寂しさを埋めて五色の紙風船           

1045まな板にキラリスラリと秋刀魚かな      

1046タマが伸びつられ私も小春日や        

1047小春日やタマに取られし膝枕        

1048にらめっこしたら負けるよ雨蛙         

1049軽々と敵をうっちゃりカブト虫                 

1050炎天を真一文字にスカイツリー       

1051炎天や片手で風を巻き起こし       

1052さりげなくキミの短冊探しけり      

1053天高し齢(よわい)五十の再就職       

1054浮き游ぎ宇宙(そら)に届くや鰯雲     

1055鉢植えのキミを押し行く花野かな      

1056争いは絶え間なくとも良夜かな      

1057考える葦であろうか終戦忌        

1058願いごと同じであれや流れ星       

1059転んでもすぐ立ち上がる運動会        

1060ぎんなんや落ちていたって粒揃い      

1061冬将軍待ってましたと鍋奉行             

1062食えぬなら潰してしまえ松ぼくり

1063冬将軍いつでも来いと鍋奉行     

1064かなかなや脱力奏法なる余生     

1065運動会転んでもすぐ立ち上がり

1066病葉を蹴っては独り遊びとす

1067転ぶことしみじみ淋し鰯雲

1068桜湯のかそけくゆらぐ香りかな

1069街若葉ドレスアップの犬の顔

1070日向ぼこ友いつだって聞き役に

1071稲光ビルの谷間に走り去る

1072稲妻や家の中まで光の尾

1073「主は誰?」我がドアミラーの夏帽子

1074宵の口稲妻襲う繁華街

1075盆帰り駅名変わりて半世紀

1076稲妻は遠くの闇で走りおり

1077鎌を手に草ぼうぼうの墓掃除

1078舞踏会ドレスアップの土佐金魚

1079揚げ花火夜空に浮かぶ闇舞台

1080八ヶ岳稜線跨ぐ登山の日

1081サングラスかけて夜廻歌舞伎町

 

沢山のご応募ありがとうございました。