2022年度俳句記念日ご応募作品

2022年度8/19俳句記念日大会のご応募は7月19日に〆切終了いたしました。

沢山のご応募ありがとうございました。8月19日イベント会場にて受賞発表!

 

 

2022年度8・19俳句記念日への俳句のご応募はこちら

https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/6fbMaRTVW7w7FtHu/

 

 

2022年度ご応募作品一覧

 

1五七五指を折りつつ生ビール     

2初猛暑ビール片手にパン食べたい   

3上野さん俳句といえば貴子さん    

4納豆と冷コー愉しむ晩メシ後     

5夏の怪日経パソコン米谷さん     

6シェア完了俳句親しむ夏の夜や    

7夏の夢 stay home の コロナ禍で   

8コロナ禍に感動よんだオリンピック  

9銀ブラで不要不急のバッハさん    

10ワレワレハ宇宙人だよ扇風機     

11夏の夜ペガサス跨(またが)りピンクレンジャー    

12夏休み君と過ごした恋一夜      

13共感を呼ぶ俳句書くメディカツで   

14夏が過ぎ やがて長い冬が 白い風   

15花火より 貴方の横顔 見つめちゃう  

16元気でる 貴方の笑顔 ヒマワリね   

17メディカツを 皆で楽しむ 熱帯夜   

18夏休みかき氷食べ蝉の声          

19浮かばない 季語が全く 浮かばない    

20青い空 入道雲が もくもくと         

21メディカツをビール片手に楽しむよ   

22夏の夜 ライブ見ながら アイスなう 

23待ち合わせ 浴衣姿の 君眩し   

24ベランダの朝顔笑う雨上がり     

25朝顔の鉢植え抱え通学路       

26暁の路地につぼみの朝顔段      

27大輪の朝顔にささやく四年生     

28ヒロインが日替りに咲く朝の顔    

29競技場空から観てるいわし雲    

30鰯雲野球少女の赤マスク 

31部活後のガリガリくんと鰯雲    

32一気飲み冷えたジョッキのいわし雲  

33十六夜や来ぬ人想い髪ほどく    

34十六夜におさななじみに告げる恋   

35返信を猶予(いざよ)う五十路(いそじ)の25時  

36背に隠す花束揺れて十六夜(じゅうろくや) 

37十六夜やくじら座の背で遊ぶ月    

38十六夜や離れゆく月闇しづか        

39十六夜に影と酒盛りベランダ族       

40思春期の子と真夜中に栗をむく    

41病棟に病み人ばかり十六夜      

42十六夜やリモート越しの君を待つ   

43十六夜が雲のヴェールで聖母顔 

44病棟を出づればあつさり実南天   

45捨つるもの纏めて寂し桐一葉     

46萩の花散るを受けとむ澱み水     

47紅萩に隠れしあとはおままごと    

48雁渡る飛べない鳥は其のままに    

49メトロ出で風の中なる今日の月    

50水音の寂し暮らしや雁鳴きて     

51画仙紙にビオーネ滲みし絵が届く   

52雁渡る見上げる人の地の遠く     

53無花果のジャムを煮詰める厨の香    

54斜光さす牧師館には葡萄棚       

55もうつくつくほうしの声も聞こえない  

56日めくりは初日のまんま銀連休    

57黒葡萄孫の小さき手持て余し     

58葡萄の実夢中でかじる鳥寄り目    

59まなざしは真白き皿のマスカット   

60朝顔の照れし顔して葉の影に     

61爽やかや鮮魚洗わず捌く父      

62ぶどう粒食べ方であなた知りにけり  

63降る雨の文目模様や広重忌      

64雁のごと寄り添いちちはは金婚式   

65調理師に剥かれし葡萄つややかに   

66秋の灯や推理小説一気読み      

67待ちわびた秋の灯ともる飲み屋街    

68秋の灯を共に過ごして10年目        

69秋灯りひとすじ照らす積んどく本    

70傷つけし人ちらほらと秋灯       

71十五夜の真円ながめて子に寄り添う     

72月明り一人静かに上を見る          

73毎夜点く豆電球やけふの月         

74雲母摺(きらずり)の欠けたる月は雲隠れ  

75別離の友よスカイツリーの月清か      

76手を握る親子の空に秋の月         

77三日月に隠れた真実見え隠れ        

78祖母ととく障子の糊のやはらかさ

79 親戚の集える和気や白障子

80冬障子祖父のお鈴を聞き流し     

81相撲とり障子破れて大目玉

82白ひかり快適つかの間障子貼り

83障子貼るノウハウ祖父と共に去り

84障子入れ小さき仏間の亡父かな

85障子戸や未だに祖母をよく知らず

86母逝きて破れたままの障子かな      

87障子穴差し込む日差し遊ぶ猫

88貼り替えた障子突き出る孫の指

89夕陽差し障子なければ真夏かな

90昼下がり捲るページに小鳥来る

91さあさあと陽を浴ぶ小鳥来る傍に

92大勢の枯葉が踊る木枯らしに

93木枯らしにポケットの手をにぎりあう

94小鳥来る雲なき空と教誨師  

95落ち込みの呟き一つ小鳥来る

96木枯らしに肩を寄せ合う影二つ

97時計塔峙つ(そばだつ)水辺に小鳥来る

98小鳥来る時は違えど同じ塀

99過疎の村しわくちゃばかりの吊るし柿

100時止まる寒木の群れ奥四万湖  

101星一つ真上にありぬ冬木立     

102チカチカと電飾まとう冬木立    

103冬木立夜には星が集まって     

104風と陽と冬木立から注がれて    

105いつの日か見返すページ冬木立   

106ひんやりと冬木立から刺す落ち陽  

107青空に黒のステッチ冬木立 

108木枯らしに濃き青春の息放つ   

109青空に伸びゆく枝を切る余寒    

110凩に針刺す冷気みぞれ雨      

111凩や内にほとほとシチュー煮ゆ   

112木枯らし躍るマーケットいよ賑わえり    

113凩に浮きて木の葉の地に擦れる    

114懐かしみ凩の夜にかりん買ふ

115図書館に哲学の在り冬ざれて

116冬ざれの青苔被る鯉の口

117クリスマスケーキ早朝コンビニに

118ケーキ欲しダイエットでもクリスマス

119頓痴気ソング書店に流るる聖夜かな

120冬ざれの獣道にも日当たりて

121冬ざるる四阿風の吹き抜けり

122聖樹なるからくりあつけらかんと朝

123飾られて路面電車のクリスマス

124飾りなき教会今朝のクリスマス

125冬ざれや櫓にのぼる影一つ

126冬ざれにブランコのなほ揺れのこり

127老犬が喧騒に吠え聖夜かな

128救急のサイレン響く街聖夜

129巴里聖夜マダムとなりしひとおほし

130ふところに白樺抱いて山眠る

131湯けむりに夕陽落として山眠る

132一年の無沙汰を詫びて賀状書く

133生きている証のごとく書く賀状

134人の影なくて古寺虎落笛

135クリスマス100均に買うプレゼント

136冬ざれの棚田の畦を風走る

137綿虫やニシン漬けはよ漬けなくちゃ

138夫とゆきし馬籠の宿に初雪や

139初雪や屋根すべり落つ音かろし

140冬ざれの森に巣箱の黄が残り

141繰り返すエチュード聖夜は更けゆきて

142冬ざれを突かんと犀の子駆け始む

143ココア掌に翼の灯数ふ聖夜かな

144冬ざれて残るは蒼穹ばかりなり

145冬ざれて透明度増す赤信号

146高速に早や灯のともり冬ざるる

147冬ざれの帰路の長きに眠りおり

148子がありて親のはりきるクリスマス

149乳飲み子の薄目開け閉め冬ざるる

150冬ざれの湖に昏れゆく浮御堂

151冬ざるる村に一つの床屋かな

152冬ざれて怒涛逆巻く日本海

153エアメール開ければメリークリスマス

154宅配のピザを加へてクリスマス 

155秋深しパン屋めぐりのスケジュール

156暮れの道正義のように細い月

157冴ゆる星今日には今日の歌うたう

158夕暮や今年の菊に気付きけり

159蜻蛉に朝の散歩を追い抜かれ

160訪ひしライブ盛況秋晴るる

161冬の地の一つになれと祈りけり

162往く道は亀の歩みで初冬来

163宗旨なく唯寝るだけの親鸞忌

164短日を転がるやうなバスの帰路

165バス停に派手なセーター寄り合えり

166細くも小菊花びら重ねおり

167いつかの和いつしかの和や待降節

168銀杏数多生えるも散るも美しき

169銀杏つづく鏡合わせの並木道

170散紅葉他生の縁の重なりぬ

171聖夜近し音の煌めくハンドベル

172冬暖か修理の傘を受けとりに

173集う皆着膨れておるフリマの日

174アイドルの花道送る冬の夜

175蜜柑剥く自棄に静かな夜の音

176その終わり始まりとなる枯芙蓉

177寄り道の見上げる先に柚子たわわ

178散り終えし銀杏の前に銀杏散る

179アイヌの詩生きたる熊の冬ごもり

180石蕗の花すべてが分からなくていい

181一家共の時が聖樹の星となる

182あたりきにサンタは来ずの聖夜明け

183去る年に私の駄句も読まれしか

184新しい星が生まれる冬銀河

185窓の桟掃いて迎える淑気かな

186遠ざかる子のをり風の子となりぬ

187今日逝きし人あり冬の雲重し

188風の中風奔り行く冬田かな

189子らの声ひびき淑気の満る島

190街騒の声の入りくる白障子

191テレビ消し七草粥の卓揃う    

192七草の歌うたいつつ粥つくる   

193去年迄(こぞまで)の過ぎにし縁や七日粥 

194余所(よそ)が食ふ七草粥の旨さうな 

195妻と子の健康願う七草粥 

196すずなりの母の黄の実雪かんむり

197道玄坂恋文横丁聖夜(イブ)果てぬ     

198達郎聴き来るはずきっと聖夜(イブ)だから 

199図書館に哲学の在り冬ざれぬ        

200電飾の街冬ざるる銀座裏          

201冬ざるる山野に入りて松迎へ        

202煮込み用ワインを味見いざ聖夜       

203風呂敷に包むお歳暮一升瓶         

204純喫茶扉ささくれ冬ざるる         

205冬ざれて中州のカラス尾羽抜け       

206病み居らば祈りにすがる聖夜星 

207寒の水濯ぐ寝間着は世を継いで      

208寒の水いつもの薬喉を過ぐ         

209淑気立つ袂に風の入り来る            

210日の昇る一分前の淑気かな    

211句作して寒の水汲む夜深し    

212稜線を遠に望みて寒九晴       

213庭に咲くものを活ければ淑気満つ    

214春の雪しんしんと降る静寂かな    

215金粉の浮かぶ盃年始             

216欲しいまま昼夜を問はず寝正月    

217むき出しの小鳥の足の寒々し    

218細胞に染み入るような寒の水    

219父母の家床の間の花淑気満つ    

220寒の水小鳥プルッと身震いし    

221孫と子が両脇支え初詣      

222寒の水たたえし大豆仕込む味噌   

223女正月ものみな光る露天風呂    

224味噌づくり寒九の水がよりどころ

225体内へごごごと落ちゆく寒の水

226淑気永遠に蒼き地球のオゾン層

227黄金の間に淑気ウイーンニューイヤー 

228今年父母遺影並びて淑気満つ     

229バス待つ子少しはなれた日だまりで

230手袋はリュックの底かバスを待つ

231寒の水おんなの指は荒しまま

232朧月まとう雲は裾模様       

233恋し君懐かし重なる朧月かな

234湯上がりの家路ぽかぽか朧月    

235「会いたい」が既読スルーの朧月

236雑炊にたまご一つのおぼろ月    

237裾乱れ隠した膝に朧月       

238朧月形見を羽織り香()を纏う(まとう)

239悴む(かじかむ)手朧月夜の玉子酒    

240丑三つのお化け優しき朧月       

241ご時世のひとりカラオケ朧月    

242灰色のビルの谷間に梅の朱     

243同じ向き並んで食べる恵方巻    

244早春の澄んだ青空富士の白     

245早春をスリッパ履きで家事仕事   

246石ころに早春の陽の差す道辺    

247早春に八卦見たずね路地裏へ    

248早春の陽に暖まる散歩道      

249早春の雨にたくまし梅つぼみ    

 

250卒業歌謳い終われば独りなり    

251招待状卒業しますあなたから    

252卒業歌「心豊かにたくましく」   

253還暦の息子を置いて母卒業            

254卒業後制服で行く夢の国      

255卒業と言葉でまとめる恋心     

256せめてもの卒業写真はマスク無し  

257また会おう卒業式から五十年    

258障子越し心変わりを卒業と     

259守衛夫に頭を下げて卒業す     

260卒業が眩しく見える帰り道     

261君の膝明日は卒業社会人      

262父として涙は見せぬ卒業式     

263父の目に涙が光る卒業式             

264気の利いた言葉が出ない卒業式      

265卒園児せんせいすきと握手して   

266コロナ世代変わる卒業変わらぬ想い 

267熟年で夫婦の縁を卒業す

268ひなあられ娘はすでに嫁に行き

269折り紙の小さき箱に雛あられ

270子は無くて母の買い来し雛あられ

271ひなあられ一口食べれば涙味

272子供らの笑顔溢れるひなあられ

273雛あられ日差す窓辺に夢の色     

274啓蟄やもういいかいと鳩時計

275おもしろや今年の春も我独り

276風光るソーダ水を一気飲み

277風光る竹林の竹つんと伸び

278円空や悟りて春の仏かな

279雪止みて夜気磨きたる街灯り 

280クロッカス髪を切ろうか伸ばそうか

281薄氷や靴の散らばる書道塾

282冬隣朽ちゆく壁の「ボンカレー」

283吹き渡る風は短調破芭蕉 

284温め酒子らに語りし傘地蔵

285桜散る面会禁止解けぬまま     

286テキストを照らす車窓の花あかり  

287花びらを子らに散らしてビデオ撮る 

288車いす老いた妻の背花ひとつ    

289ようやくの花も束の間酒は無し   

290花花と広がる景色にもう一駅    

291君に花僕の胸にも君が咲く     

292振り返る頬に優しい花吹雪     

293停戦を願い見上げる花曇      

294咲いて散り散って咲く花輪舞曲   

295余寒なほ眉間に皺の阿修羅像     

296赤子はやはじめの一歩水温む     

297枕木を数えてわたる雪解風      

298戸口より笑ひこぼるる雛の家     

299椿落つ上り電車の始発駅       

300雪解けて吾子の靴下現るる      

301轟々と光広ぐる雪解川        

302連覇への襷を晒す雪解川       

303余寒なほ体育館の保護者会      

304水温む鍵の振れゐるランドセル    

305さびしくて鈴転がして鳴く子猫    

306落椿拾い集めて手水鉢        

307紅つばき模したるみやび京和菓子   

308廃屋を護りて咲くや藪椿        

309箱出でて頬の冷たき女雛かな      

310椿落つ猫驚きて尾を立てり       

311ふる里の無人の駅の余寒かな      

312余寒とて美しき言葉やビル狭間     

313雪解河わたる客車に人は無く      

314友禅を透かし雪どけ水ながる      

315駅逓の雪解の水に鯉ゆらぐ       

316雪解水ふわり越え来る転校生      

317霊山の嶺より落つる雪解水       

318顔洗ふ無骨なる手に水温む       

319一日を大事に大事に椿咲く       

320せせらぎの調べ軽やか雪解水      

321蓮池の鯉の揺らぎや水温む       

322五日ほどジョギング休み水温む     

323友禅を透かし雪どけ水ながる      

324雛飾る母娘三代昼下がり        

325よく見れば玄関脇に雪間草       

326椿落つ小川の水に日の反射       

327三味線の指しなやかに水温む      

328立春の大雪山の光かな         

329仏間までピンクの香りヒヤシンス    

330地震に覚め支度の時の余寒かな     

331雪解川往くに存分なる日差し      

332雪解川所々に鄙びた草浸る       

333野仏の欠けし目鼻や余寒なほ      

334寸借の厠に残る寒さかな        

335冷えきったサンドイッチの余寒かな   

336屋根よりの雪解のしずく早鐘に     

337余寒ありひと日をぎゆつと縮こまり   

338触れ合う手ともに冷たき余寒かな

339餌ねだる雀親子の遅日かな        

340ショッキングピンクのツツジを待ち受けに 

341翼得て宙を自由にしゃぼん玉      

342花冷にカラーのきつく老牧師      

343当直の夜は花冷肩すくむ        

344老木に生き生きと咲く八重桜      

345二輪車をズラッと並ばせ紅つつじ    

346ゆるやかにひしめきゆるる八重桜    

347「母の日に」衝動買いの背中押し    

348シルエット日射しに透かす青楓(あおもみじ) 

349花冷に二胡の蛇皮震るふる       

350晩酌に今日も残りのホタルイカ     

351花散らし傘ごしの距離もどかしい    

352平安朝語る講師の暮遅し        

353蛙の子ホテイアオイの隠れ宿     

354遅き日や暦楽しむ教習所       

355手をつなぐ幼の恋やチューリップ   

356花曇り敬語抜けない間柄       

357足利の大棚藤に水面揺れ       

358本箱は夫の手作り春うらら      

359川沿いの講習蛙の目借り時      

360花冷えにこれが最後とおでん炊く   

361狂ほしき風のかたちの雪柳      

362定年を迎えし友よ春惜しむ      

363花冷に二連パールの揺れかすか 

364二年目の俳句日記や風光る    

365夫偲ぶ没後四年の後の雛

366日傘うち温水に立つ花菖蒲       

367健やか児菖蒲葉巻いて湯気の中     

368花菖蒲袖を広げた艶姿(あですがた)   

369手足伸び泳ぐかの湯屋菖蒲の日     

370渡し場に寅さんの影花菖蒲       

371久々の遠出にはしゃぐ子どもの日    

372スーパーで葉菖蒲見かけ銭湯へ     

373熱い風呂網に入った菖蒲の葉      

374龍になれ菖蒲の香る湯浴みの子     

375菖蒲湯を出でて冷たき瓶牛乳      

376ハンカチで額(ひたい)おさえる菖蒲園  

377高架下江戸の名残の菖蒲園       

378思い出すはしゃぐ菖蒲湯子供時代  

379見えぬ敵菖蒲刀で切る五歳     

380肩越しにひやり風知る絹団扇     

381わっしょいと祭り団扇も背で跳ねて  

382湯上がりはコーヒー牛乳菖蒲の日

383君逝きし夏の終わりの星数え

384一人で生きる四年目の夏終わる

385亡夫(つま)が好みし蛍烏賊で独酌

386棟上げや振舞い酒に初鰹      

387崖上り籐の浪打つ移住の地     

388遅き春北ウィングで待ち合わせ   

389心地良き居場所はここと黄水仙   

390行く春や厨事する有難さ      

391石鹸玉みんな一緒にいたいのに   

392馬鹿馬鹿と馬鹿ふりつもる四月馬鹿 

393「ひまわり」のピアノの調べ鳥雲に 

394托鉢の僧の説話や昼蛙       

395夕暮れの庭を整へ白牡丹      

396白夜行許されざるを往くふたり   

397蛍とまる白き手首の自傷痕     

398素麺をすする踊り子薔薇のタトゥー 

399毒親と鬼子で過ごす母の日を    

400立ち尽すその足元を灼く午後は   

401薫風や遺志を尊び海に帰す     

402青蛙逆さまのこと言う大人     

403翠玉の緑の深き母の日や      

404五月闇まことにもって嘆かわしい  

405知床の北方四島 遠霞       

406等々力渓谷セメント歩道著莪    

407鳥雲に戦火のない星 青い星    

408“ウィズコロナ”弾むこころの夏帽子 

409藤房の緞帳ゆらぐ里景色      

410大空をキャンパスにして春の雲   

411山一つ懐深き根津神社       

412春光に誘い出されて万歩計     

413菜の花やどこでも止まる縄電車   

414嫉妬心いっきに漁きて木瓜の花   

415ポケットに洗われているダンゴ虫  

416ひと雨に暑さを連れし花菖蒲    

417場の距離は心の距離と赤トンボ   

418朝ごとに猫の寄り合い梅雨来たる   

419苦しさを歌口ずさむ母の夏     

420新米の小袋並ぶ核家族       

421勿忘草母と散歩の車椅子      

422寒鮒の当る一ミリ竿は孤に     

423恋文を下駄箱に入れ卒業す     

424朝八時「午後の紅茶」は四月馬鹿  

425雷走る少女Aと少女B       

426代理母を終えし女のこどもの日   

427梅雨寒やミソジニストのキャバ通い 

428じゃがの花ちあきなおみの純情と  

429唾棄したし日常・わたし・熱帯夜  

430夕暮の静まり返る甘茶仏 

431紅梅や池に映りし鳩一羽      

432踏切のカンカンカンと春の宵    

433箱入りのロールケーキや梅祭    

434木蓮や子たちの声の真ん中に    

435授業には桜蕊降る落ちこぼれ    

436啄木忌訛り響かぬ上野かな     

437花の果アインシュタインの後悔   

438どんな子が好きと聞かれて春キャベツ

439間奏のタクト任せる糸柳      

440夏来るヤングケアラー助けたし   

441咲くことを辞めた桜の安らかや   

442弔いは敵も味方も熊谷草      

443星月夜座敷童子の気配かな     

444譲られし壺の無言や閑古鳥     

445桐一葉乗せて介護のバス発車    

446鰡はねて朝日にきらと銀の腹    

447小春日や一歩に迷ふ男坂      

448インタビュー受くビル影の雪女   

449湯気立てて昭和名残の理髪店    

450新学期スカート襞の心意氣     

451北上の緑果なく啄木忌       

452野遊の子等それぞれに西茜     

453木漏れ日にひそかに一人静かな   

454道の駅巢に溢れおり燕の子     

455立姿辰巳芸者か芍薬        

456草餅や笑い絶え無い大家族     

457春一番もやもやごとの相談所    

458北枕慌てて直す朧月        

459桜蕊鐘の余韻に浸り降る      

460父の忌日に咲きそめし乙女椿

461滴りや寄れば弾める子らの声

462紫陽花のしずくに朝日眩しかり

463衿足しにUV帽子のつば翳り    

464旧友と酌み交わす(くみかわす)夜の明け早し 

465衣更えその手進まぬ母思う       

466単衣かな花くもりに汗滲む        

467花冷のショールに重なる愛大小(あいだいしょう) 

468薄着して花冷の期待初デート      

469牡丹雪陽の幻か待つ人か       

470川沿いをふわりと散歩夕永し     

471忍ぶ仲遅日恨めしネオン待つ    

472花の文込めたる詫びを胸に抱き   

473霜柱今朝も暖取る卵焼き 

474あじさいの花が行き交う通学路

475あじさいが待ってましたと雨に笑う

476あじさいにしずく滴る帰り路

477バーベキューしたい気持ちと走り梅雨

478走り梅雨ハンカチ乗せてビル駆ける

479水彩の色塗り重ね走り梅雨

480晴れてても荷物が増える走り梅雨

481走り梅雨晴れ間の空にかかる虹

482走り梅雨既読のつかぬ夕間暮れ

483走り梅雨ぬか床やわし手にやさし

484ニュー合羽いまかいまかと走り梅雨

485走り梅雨予備の予定も考えて

486江戸っ子に走り梅雨だよよーいドン

487書肆巡り文豪たちと梅雨ごもり

488傘持たずデートの向かう走り梅雨

489幼子の長靴デビュー走り梅雨

490走り梅雨晴らすメジャーの二刀流

491走り梅雨相々傘の高校生

492走り梅雨窓たたく音ハーブティー

493走り梅雨白いヒールの急ぎ足

494雑草が伸びゆく畑走り梅雨

495目が合いてくちびる艶かし金魚

496キラキラとウロコ艶かし金魚

497狭き水悠々と舞う紅キャリコ

498我もまた小さき鉢の紅金魚

499何処からかウグイス美声誇らしげ

500滝に出てマイナスイオン全身に

501永劫に尽きる事なく滝の水

502蚕豆や若者踊るヒップホップ

503青梅やだまって自室へ反抗期

504過ぐ人のみな無口なり五月闇

505一陣の風にたわむれ蕎麦の花

506石佛に願掛け登山帽正す

507参道に絶えし人影梅雨寒し

508バス停の先を陣取る捕虫網

509湯の宿の庭にもみじの点描画

510父の声火垂る袋の花の名は

511側溝の水の濁りや夏落葉

512腕白を五分刈りにする海開き

513琵琶の種飛ばし独りの巣へ戻る

514一礼し少年の夏早や終わる

515マンションの庭にとどろく草刈機

516テレワーク西日射し込む四畳半

517悪友と話が弾む泥鰌鍋

518一つ散りひとつ咲き初む夏椿

519蓮の花池一面の点描画

520店頭に夏野菜置く小間物屋

521秋桜越しの写真に話かけ

522あなたのいない四度目の秋孤独

523ケーブルの離合の線路谷若葉

524薔薇の香る園に人待つ白ベンチ

525膝に穴あきしジーパン夏の旅

526夏浜にかもめ睨みしバーベキュー

527一枚は早や萍の田となりぬ

528出航の銅鑼手にする枇杷の箱

529水無月や鎖骨に一つある黒子

530蟹の子や姥捨て山の話聞き

531遠足の列のよろこぶ象の鼻

532村十戸みな縁つづき燕の子

533筑波嶺へ鳥の飛び立ち麦の秋

534参道の嬰児抱き上げ樟若葉

535心太これから登る天守閣

536看護師の眩しき白衣梅雨曇り

537五線紙の三連符躍り秋の雲

538短夜のドライヤー急くこともなく 

539短夜の深きに沈むレトロチカ   

540夏帽子つばの先向く水平線    

541親切に過ぎる叔母の屋薔薇の角

542住処より遠き公園薔薇に雨

543明易し窓の賑ふ鳥の声        

544モーツアルト聞かせる窓のパセリ鉢

545空ばかり何時も見ている夏帽子

546夕づつの風に吹かれて缶ビール

547事のはは身を貫きて雲の峰

548短夜が包み込む夢あさき夢   

549爆撃が続く彼の地の夜短か

550アラームと未読のLINE明易し

551朝散歩熱射遮る夏帽子

552床に投げイヤイヤする子夏帽子

553夏帽子視線の先に野球帽     

554思いあぐね寝付かれぬまま短夜明け

555かそけしやYesと動く夏帽子

556決戦の日は今日となり短夜明け

557二巡目の洗濯物を干す猛暑

558「ちちのひか」とつぶやいている次男坊

559三つ編が一人加勢の水鉄砲

560蛍袋なにをきいても無言の子

561文士らの髭と桐下駄カンカン帽

562明易し強き眸の絵の女

563短夜や襟を正して朝帰り      

564真っすぐに広がる景色青田風

565雨上がり和菓子のような青楓

566乱れ舞う寿命短し姫蛍

567大桟橋思い思いの夏帽子

568神水で神様からのエコヒイキ    

569梅雨晴のレイキ体験躰とぶ     

570浅草寺梅雨散歩から直会へ     

571転職を告げた家路の夕立晴れ

572夕立を浴びて帰ろう外回り

573夕立の濡れた道路が涼しけり

574夕立や散歩の犬と急ぐ帰路

575夕立晴長靴スキップ水たまり

576凛として夕立あとのハイヒール

577夕立でびしょ濡れ服が冷却に

578驟雨去って煌めくホテルシャングリラ

579風押され早歩き雲夕立に

580路地裏は夕餉の匂い夕立後

581夕立やアスファルトから湯気ふわり

582驟雨去り草の匂いとアスファルト

583ともしびに仄(ほの)かに揺るる室(むろ)の独活(うど)   

584大壁泉かすめ飛びきる夏燕      

585蘭鋳は病気なのかと幼な問ふ     

586ミサ終へてシスターつどふ夏木立     

587挿管のまま夏なほ臥せりキーウの子   

588宵蛍ひとつ野墓へ誘へり       

589闇青し自販機にゐる雨蛙

590夏雲に抱かれ眠らん劔岳

591今年こそ「はくたか」で行く盂蘭盆会

592向日葵も我も俯く投票日

593母の服繕っている終戦忌

594空蝉や去り行く人の置手紙

595民宿は蚊帳の匂ひ波の音        

596エアキャビン五分の旅路夕焼空

597片陰にままごと遊びワンデイケー

598谷川の涼を連れ添い流れけり

599一礼の鳥居の先は夏祭

600森を抜け水しぶきキラ滝の音 

601虹出でて滝壺に神降臨す 

602雨脚も紫陽花だけは嬉しそう 

603公園に子らの歓声梅雨晴れ間

604突き出でし小岩の滝に打たれをり 

605水風呂に浸かりし苗の背比べ 

606滝しぶき小猿打たれて大はしゃぎ 

607ピーマンを食べさせたくてみじん切り

608新米に仕送り添える宅急便 

609ごめんねと海苔で伝えるお弁当  

610遠花火赤い電話があった頃

611園児らのでんぐり返りに緑さす

612夏富士の下山の後の露天風呂

613潮騒の向う側からサングラス 

614名刹の葉擦れの音と滝しぶき 

615音階を繰るごと動く金魚玉 

616雪解道アイスを食べて仲直り

617十六夜やくじらの背で遊ぶ月

618傷つけし人ちらほらと秋灯り  

619滝行者眼(まなこ)閉じ一人の世界 

620滝しぶきロッキー山脈景霞む

621金魚売り子ども時代の一場面 

622金魚鉢覗く視線に金魚跳ね 

623ビニールの夜店の金魚そっと持つ

624飽きぬ子のじつとながむる金魚池 

625瀧音に全ての音を消されけり

626青梅やいつまで続く反抗期 

627昼下がり金魚もとろりと昼寝かな

628一瞬に滝真っ逆さまに落ちにけり

629薄紙を透かして見ゆる金魚かな

630金魚池日かげにキラキラあぶく玉

631金魚鉢ガラス越しのにらめっこ

632金魚鉢まなこに映る赤衣

633山の滝しぶきの向こうはパステル画

634赤や黒ドレスなびかす金魚かな

635結いあげの耳元で泳ぐ子琉金(こりゅうきん)

636軒下に泳ぐ金魚の音涼し

637短夜や話つきぬは老姉妹

638歌声はもんぺ姿の早乙女か

639コンビニの軒に巣作る夏ツバメ

640カンカン帽気取って歩く隣人

641京の寺紫陽花の花花手水

642めざむれば母の無き世のさくらかな

643箱出でて女雛ほほ染む日の光

644緑立つ俳句の道も一歩から

645冬雲や愛と云う名のファンタジー

646ずる休みかもしれなくて冬日和

647愛らしき嘴たずさえて鳥帰る

648天ぷらの水菜に愛が滲みている

649無職だが立派そうにしてみる仏生会

650一秒に一つ笛鳴る花祭

651脳育つ碁石は光る春の午後

652仙人掌の花うぬぼれの吾も咲こう

653パン好きのパンの記念日チェリーパン

654暖かやキムチの口になる昼餉

655心理とは読み解くものか薔薇垣

656新緑を迎うワクチン生き延びぬ

657走り梅雨居宅に降られ午後一人

658明易を頼りに夜を乗り切れり

659紫陽花に世界の滲む午前かな

660淡雪羹白は二百色あるといふ

661四葩に露ジュエリーのごと光りをり

662夏至来たる珈琲フロートおうちカフェ

663我悩む悩み無さげなバナナ食う

664滝ひとつ過去の孤独を覚えたり

665こころざし特に無けれど滝仰ぐ

666作り滝ここで一回休みとす

667落つるたび生まれ新たな滝となる

668滝浴びる脇に来たりていま一人

669掬ひ来し三年目なる金魚かな     

670枯滝やぽろぽろ零れ行く記憶  

671断崖を吹き上ぐ風や滝枯るる 

672蘭鋳の泳ぐ最上階の夜

673三日だけ誰か金魚を預かって

674泳いでも泳いでも金魚水の檻      

675金魚の眼水に溶けゆき鉢の中

676店先の空金魚鉢五円玉    

677武家屋敷「金魚」声高に過ぎにけり

678滝壺に飲まる小舟やナイヤガラ

679白水となりて落ちくる瀑布かな    

680滝壺へ難題捨てて帰りけり

681ガラス器の中が金魚の小宇宙

682母と子が金魚掬いに袖ぬらし

683遠泳に望み捨てぬや土佐金魚

684白扇のわづかに開き走り滝

685三匹の尾鰭ふれあふ金魚かな

686みどり児の初座りして夕立やむ

687薔薇を切ってオレンジの香に満たされぬ

688野湯浴みや何故に励むか滝の音

689欠伸して強がるポイの金魚かな

690地の底に降り来る滝よ我に入れ

691眼を見張る鉢の金魚や大謀議

692荒滝に抗う岩のまろさかな

693鎮座する猿に箕面の滝しぶき

694遠足の子らの小さき背に瀑布

695浮かぶ藻に遊んでくれろと金魚かな

696どの名でも呼ぶと泡出す金魚かな

697子らと見る遠山の滝那智の滝

698嫁となり仰ぐオシンコシン滝       

699大滝のてつぺんの空ゆがむかな

700五合目のひらけ滝の音きよら

701ビール腹気にする夫と金魚かな

702満腹がわかつておらぬ金魚たち

703変異株木香バラの乱れから

704梅一輪こんな日だったプロポーズ

705せせらぎの届く高さや猫柳

706水無月の風青くして摩崖仏      

707クレマチス木戸に巻き付き好き勝手

708長椅子に飛沫楽しむ滝見茶屋

709神官の袴あをあを滝開き

710見つめれば眼剥き見返す出目金魚

711水換へに応へて金魚ひと泳ぎ

712掬はれて金魚三匹電車乗る

713岐阜城へ長き階段春の蝶

714常夏の気分を過ごす熱帯夜

715熱帯夜部屋の四方は宙に溶け

716熱帯夜一体となれケチャ・ダンス

717熱帯夜われに俳魔は憑かぬかな

718熱帯夜彼方の星と引き合いて

719今朝も又朝ドラジャックの蝉バトル

720友ガキの遠くなりなり盆帰り

721若き衆ロックと演歌の盆踊り

722雲の峰越えて東へ夢馳せる

723断捨離を惜しむ蜩泣き止まぬ

724一斉に笑ふ向日葵村起こし

725夏の曇時折友の顔に似て

726大観も手も届かぬと富士の山      

727盃にひとひらが舞う李白の詩      

728夏めくや子らが蛇口は上向きし     

729オムライス上達しましたエビデンス   

730梅雨晴れ間手づくりランチテレワーク

731花桃や指呼の合間に安達太良嶺

732七夕の願ひを覗くママとパパ

733茶の花へふはり近寄る黒き蝶

734初句会傘寿の女よくしゃべる

735ひまわりも笑顔振りまく819  

736夏の宵歳時記抱えひとひねり

737墓参り迎えてくれる蟬時雨

738路地裏やタワーのような立葵

739ウクライナ停戦願う送り梅雨

740おもしろや今年の春も我ひとり

741囀やミルクキャラメル甘きこと

742朝顔やまず一番に水をやり

743紫陽花のブーケ美し披露宴                                                             

744歩行器に西日当たるや鐘の音

745青空に歩行器押すや薔薇の花

746いちおしの帆立の貝や悦に入る

747誕生日薔薇の花買う母の顔

748浮草の金魚一匹頭出し

749歩行器を押してや散歩薔薇の花

750歩行器に助けられたる初詣

751秀作の打ち上げ花火俳句の日

752俳句の日喋るリズムも五七五

753竹林で茶の湯も涼し報国寺

754ゆみパンが講師の力を発揮する 

755夕立の中を走りてメディカツへ 

756山笠と音楽の風吹く丘へ

757夏の夜久々の参加メディ活へ 

758夕食後眠ってしまって出遅れた

759渦巻きの香り漂う夕涼み   

760戻り梅雨蝉も出端をくじかれる

761扇子の手たおやかな指誰の指 

762暑い外眺めて氷菓あ、いいっすね

763庭先のメダカに涼を求め寄る 

764生ビール枝豆最高!一人酒  

765凛とした蓮の姿に見返り美人 

766俳句の日年に一度の同窓会  

767冷奴スルリと逃げてカツオ跳ぶ 

768三茶にて俳句と人とシャワーのよう 

769サボテンは ヤクルト代わり 腸活に  

770大雨で キュウリやナスが 育ちすぎ 

771遅れた分 時間を取り戻せ 鳩ポッポ  

772育ちすぎは 私のお腹と 母が言う  

773日傘から陽射し眩い散歩道    

774夏花火今年も観れずに涙落つ   

775体重が増えて薬も増えました   

776若き日の暴飲暴食悔いて泣く   

777燕の子親を呼ぶ声癒やし声    

778風涼し暑さを忘れ俳句読む    

779ドラゴンズ今年もやっぱりドベゴンズ 

780雨の日にカエルが朝風呂ビオトープ 

781大声で唄いたい燃えよドラゴンズ  

782スイーツの代わりに食べたいさくらんぼ 

783やりにくいパソコン「A」のキー外れ

784家中に睨みを利かす鏡餅  

785流星を集めて君の首飾り

786菩提樹の葉擦れ鳴らして南風吹く

787鈴蘭や風のさそひの頻りなく    

788無人販売筍じかに値を書かれ

789メーデーや村に一揆の処刑跡         

790植樹祭小さき背にも小さき荷

791がしやがしやと薬缶に氷畔炎天   

792日輪のおよぶ限りのラベンダー   

793梅雨明や最中の皮の音に張り    

794立泳ぎの少女大きく手を振つて   

795せせらぎの闇の瞬き初蛍 

796石蹴りの枠を描き足す路地の夏

797裸の子泣く子笑う子居眠る子 

798村十戸みな縁つづき燕の子

799初恋の甘い想い出あの夏と

800幻想の闇夜の星よ蛍狩り

801椅子三つ並べ入学式終える

802一つ散りひとつ膨らむ夏椿

803新聞の落ちる音せり明け早し

804するめ烏賊焼ける頃合い冷し酒

805白竜となりて奔れる滝の水

806父の日や美酒を並べて江戸切子

807七夕やごーしちごーで願いごと

808あの人と逢えたのかしら天の川

809手付かずの絵日記嘆く始業式

810ありし日のせみのぬけがらなつかしむ

811青葉ゆれ水だまゆるり右左       

812虫食いの青葉に思う命あり       

813ハーモニー五色に散りばめ青葉の城   

814雨あがり日差しをさける青葉かな    

815青葉から木漏れ日探す山の道      

816白球に思い寄せるも青葉なし      

817青葉燃ゆやまの命に心が躍る      

818球児たち青菜のようなはつらつさ    

819青空にみどり青葉の色映える      

820紫陽花の色褪せ今朝の憂鬱かな

821指先にページはりつく熱帯夜

822旅立ちへ風待つたんぽぽ身をよじり

823風受けて飛んで楽しや夏帽子

824カタツムリ屈む子の背も丸くなり

825夏の海退職したよと言ってみる

826薔薇の香に歩みの止まる曲がり角

827向日葵のような笑顔ね我が孫や

828蝉時雨負けじと子らのはしゃぎ声

829うちの子の絵日記なぜか五七調

830B級がミシュラン凌ぐ祭り屋台

831恋蛍浴衣姿を魅せつけて

832亡き父の最期のひとくち棒アイス

833蜩や長の別れのビブラート   

834朝顔の漏斗の底の蟻一匹

835ひぐらしに背中押される家路かな

836朝顔のラッパ鳴らして夜が明ける

837朝顔の緑のカーテンそよぐ風

838宿題はあさがおの観察と絵日記

839あさがおの鉢をかかえて下校の子

840幼き日あさがおの花ジュース屋さん

841蜩や悲恋の本がよく似合う

842ひぐらしと母が呼んでる「ごはんだよ」

843朝顔の不思議つるは左巻きか

844風鈴やうたた寝誘うワインかな 

845天ノ川小舟浮かべて釣る夢よ

846恒例の怪談話チケット買ふ

847雲の峰幼馴染みの声がする

848金魚売り着いて歩いた少年期

848素麺を逃がして笑う子等の声

849七夕に健気な願いああ平和

850宿題の朝顔咲かず犬元気  

851蜩や姉を見送る停留所

852白靴やホップステップジャンプして

853百年の梁子燕の昨日今日

854冷ややっこ薬味はどれに悩む朝 

855夏の夜ジャズのビートにはしご酒

856蜩や鳴き声悲し熊野道

857夏帯や解いてくつろぐ里の家

858朝顔や上へ上へと巻きたがる

859今朝も又朝ドラジャックの蝉バトル

860友ガキの遠くなるなり盆帰り

861若き衆ロックと演歌の盆踊り

862雲の峰越えて東へ夢馳せる

863断捨離を惜しむ蜩泣き止まぬ

864一斉に笑ふ向日葵村起こし

865夏の曇時折友の顔に似て

866公園に我独りいや茅蜩も 

867白雲に響くジージー昼寝詩(ひるねうた) 

868参道でやれ深呼吸杉並木

869朝顔のつる絡まりぬ小指のように

870イケメンの姉さん被り炎天下 

871夏の草更地征してワンチーム

872霧雨が心を救う夏散歩

873蜩や早き夕餉の山の宿   

874蜩や遊び疲れし子の帰る

875蜩や共鳴したる森の神

876朝顔や町家二階の物干場

877朝顔や団十郎の中野もありて

878猛暑後にゲリラとコロナ猛威振る

879夏休み学級閉鎖で長くなる

880梅雨明けて猛暑の後に梅雨の空

881蝉の声いつになったら聞けるやら

882暑い夏コロナで行けない海水浴

883鮮やかな九年越し種朝顔よ(九年越しだね)

884チョコミント口に頬張り涼しかな(チョコミントはアイスです)

885夏休みドーンと開花夢の中(夢の中でしか花火が中止で見れない)

886猛暑ゆえ猫もエアコンイビキかく(気持ちよく寝ている猫が突然イビキをかきだした)

887かき氷やっぱりここは苺かな(自分は苺が大好きです)

888ノラネコも手に顎のせるバルコニー

889ハンモック子ども心に戻る猫

890並び見る庭の夏の灯双子ねこ

891祖母の家孫らもてなす籠枕

892男装の少女服脱ぐ夏芝居

893箱庭の現実よりも長い日々

894父母今も生きてるここちソーダ水

895母探す赤子泣く汗腹の声

896身を賭して羅漢仏師の汗清く

897床面積なるべく広げ涼む猫

898外科医へと子を負ひ走る炎天下   

899漆黒の闇は失せたり渋谷夏

900神宮の杜の深さや水芭蕉

901開け放つ窓に舞い込む青嵐

902湯上りの風がもの言ふ夕端居

903菖蒲田の水流れゆく渋谷川

904杜深し神宮橋の青葉闇

905南天の花の錆ゆく寂光土

906時の日の五時の時報よ鳥の声

907居心地はこっちが宜し浮いて来い

908車椅子涼しき月に抱かるる

910リメイクは母の夏帯旅鞄

911一列に列を乱さず蟻の列

912絵馬は鳴る狐火の灯か木下闇

913レコードの瑕懐かしき火蛾の夜

914列島は猛暑のニース四十度

915ソーダ―水溢れ泡吹く声も吹く

916膝ついて夏草むしる日の出前

917窓際に雑草活けた夏座敷

918切れ切れの夢紡いで三尺寝

919朝焼けや静寂の森氣を放ち

920ママ見てよボクの朝顔初日記 

921鮎踊る尾瀬のせせらぎ澄み渡り

922提灯に無き友想う祇園鉾 

923ショートスティ妻への愛のチョット捨て

924涸梅雨に雷様も立つ瀬なし   

925よーいとせ掛け声割竹祇園月鉾

926神おわす棒振り演者祇園山笠

927マンションの7階に居り蛙聞く

928祇園祭鮮やかに辻廻しけり 

929万雷の拍手湧きたる鉾廻し

930頭越しカメラ掲げる鉾廻し

931川床涼みだらりの帯の唄と舞

932堰落ちる音の涼やか夏の川

933落柿舎の青柿豊か雨上がり

934吹き来たる風の涼しき糺の森

935栂ノ尾の涼風浴びつ茶を喫す

936角に立ち良き顔見せて百合の花

937逝きし子の遊ぶ姿や走馬灯

938要人を悼む鳳凰夏の雲

939踏切の音に負けじと蝉の声  

940朝顔のどちら行きたしつるの先

941前方を走る車に夏の雲 

942想い出をそろりと覗き花火かな

943吾以外蝉ばかりなり郷の森

944猛暑とて背筋凍らす怪談師  

945風鈴と氷削る音茶屋の涼

946想い人黄泉から手を振る蜃気楼  

947波の花しぶける断崖咲く留萌

948頬さすり袂(たもと)と交わす花言葉

949若き姪の御霊迎える盆提灯 

950叢は蚤避けスプレー犬散歩

951アガパンサス妖精みちくさ道しるべ

952今年酒この居間はただ主(あるじ)待つ

953時々場所超え冷房の人形館

954ワタシココ翻訳アプリの世に仔猫

955日めくりは初日のまんま銀連休

956出囃子に驟雨横切る落語カフェ

957カラフルに「ものづくり市」毛糸帽

958緑道にいこい鳩のるベレー帽

959土筆摘む音の儚さ胞子舞う

960さらりきらり裏通りにも吹き流し

961向日葵も笑顔振りまく819(はちいちく) 

962夏の宵解いてくつろぐ里の家

963墓参り迎えてくれる蝉時雨

964路地裏のタワーのような立葵

965バンククシーの後ろ姿よ走り梅雨

966ぬかる沼汚れなき花蓮の花

967アイライン素顔隠すや夏マスク

968出目金や赤黒ドレス舞踏会

969夏祭りコロナ禍会えず遠い女(ひと)

970大涌谷旅の途中の雲の峰

971三色のシロップかかるかき氷

972盆踊り愛しき君の艶姿

973魚咥えみえを切りたる鵜飼かな

974鵜飼果つ戻りの艫に並びし鵜

975篝火に鵜の浮き沈み浮かび起ち

976花野道ハモニカの音透き通る

977富士の峯青く光れる花野かな

978干見世に探る漱石三部作

979薬喰い仲良きことは美しく  

980ドア開くまでの灼熱二秒半 

981頂上の価値はここにもかき氷

982アクリルに幻想となる夜店の灯

983人の射的人の型抜き見る夜店

984夜店立つ成長した友ふと見かけ

985いにしえの吾子と見紛う夜店の灯

986みな写メり見知らぬ人と浴す虹

987花も木も海も雫となる香水

988人類の記憶抱いて月の舟

989冬うらら蕎麦と洋服売る店と

990馬鈴薯植う家族の笑顔思ひつつ

991棕櫚の花見守る道になりにけり

992まず一輪やがてぽんぽん桔梗花

993白球に思いをのせて入道雲  

994友思う過去のあやまち流るる汗

995土用丑食欲そそる焦げる香よ 

996俳句の日千句で選句激戦区

997町呑みし過去には触れず冬の川 

998編笠に思い委ねて風の盆

999忘れ潮雲も残して夏の果

1000雲の峰里へ回帰の一両車

1001永別の友へ卯の花腐しとは

1002釣り人が急ぎ片づけ夕立雲  

1003仕事でも長く過ごしたクーラーくん

1004夏祭り戻る景色にマスクあり

1005瞼(まぶた)閉じ口紅受ける七五三    

1006木肌這う(きはだはう)色付く蔦(つた)に紅夕陽

1007おかげさま、やまとことばに、縁が咲く

1008濡れた下駄脱ぎ散らかして蚊帳の中  

1009笹舟にコロンとこいし(恋、小石)貴方追う

1010リラックスグリーンのバイク晩夏光 

1011ツーリング付かず離れず星涼し

1012喜雨一過つながる人を思う空

10132000年前のタネ咲く大賀ハス

1014片蔭にスマホカクニンしてる笑み

1015藍浴衣グローバル科の授業にも

1016蓮池のハト手に乗せて八幡宮

1017家中に洗い立ての白夏の宵

1018正直に話しすっきり夕涼み

1019ハーブティー2杯目やさし虹二重

1020五月空玉子サンドが大好きで 

1021夕立や軒下借りてスマホ列

1022涼しげに赤かぶがいるモーニング

1023舞扇忍ぶ面影十三夜

1024三日月に身を委ねたし酔い

1025コロナ禍や三食昼寝丸茄子  

1026今宵こそ流星群を摑みとる

1027つれづれを女の電話秋の昼

1028梅雨寒や決まらぬままに夕支度

1029踊りより周囲気になる薄明り

1030二枚舌使はず終はる四月馬鹿   

1031ボールペンポトリと落とす目借時

1032目が合ひしばかりに仔猫うちの子に

1033社会的距離でいそしむ潮干狩

1034三世代揃ひ晩餐こどもの日  

1035相席の香水ほのと終電車

1036百円を入れて乾かす洗ひ髪

1037AIつて誰のことやと生身魂

1038小春日や犬が顔出すベビーカー

1039メルカリへお暇を出すや革コート

1040冬の夜や星のおしやべり聞こえさう

1041海水浴波より高く競う子ら  

1042スイカ食べ飛べばお腹がちゃぷんちゃぷん

1043なぜここに?団扇ちょこんと食器棚

1044日焼けして母娘でパックにらめっこ

1045向日葵さん二階から見てこんにちわ

1046虹かかり結婚式のサプライズ

1047友作るシソ味噌香る一品に   

1048夏の夜火燃ゆる動画で缶ビール

1049夏嵐買い出し急ぐ人の群れ

1050リスペクト見上げてごらん星涼し

1051夏の夜コルトレーンに包まれて

1052四万十の蛍の乱舞忘れまじ     

1053虹立つや思わず背骨のばしけり

1054みはるかす大往生の花大根

1055十薬や吾が身ひきしめたる白さ

1056卯の花の毀んばかり泣き濡れて

1057一隅に蛍袋の咲く闇夜         

1058狂いゆく「ひまわり」のごと彼の夏へ

1059三代の紅花紬虹の橋

1060だるま藤房ふさふさと子守唄

1061薫風や力士幟に跳ね太鼓      

1062入日射す根方くずるる大牡丹    

1063日を浴びて背筋を伸ばす立ち葵

1064吹き寄りて百畳ほどに花筏

1065車椅子肩にひとひら散り桜

1066花種を蒔き終え渋茶妻偲ぶ

1067二グラムの蛍に迷ふ恋の道    

1068子規庵の帰りはココア星今宵

1069ミシュランの星などなくて鰻食む

1070向日葵やゼレンスキーの髭のびて

1071葉月八月帰化植物をちやほやす

1072相撲取り障子破れて大目玉

 

 

 

沢山のご応募有難うございました。