7月31日〆切により2021年度のご応募は締め切らせて頂きました。(7月31日以降は2022年度としてご応募下さい!)
2021年度8.19俳句記念日大会開催に当たり俳句の募集開始!
2020年度は目標達成というこれまで7回連続の応募総数突破を実現致しました!!!
2021年度は第8回となります。
皆様からの記念日俳句を今からすでにお待ちしておりま~~~す。
★俳句ご応募はこちらのフォームから
https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/LkxxeXcf748K7e1m/
2021年度8/19俳句記念日応募句一覧
1老桜リーダーシップの咲き誇り
2自粛せよ飲めや歌えの花見会
3二週間輝き誇る老い桜
4花散りて命守れよ人も樹も
5校庭に子等と鶯コラボして
6背伸びして五月の風に飛ぶ帽子
7背の高さ残る竹の子サバイバル
8青竹の皮剥ける音聴こえたり
9鶯の声に誘われウォーキング
10ウォーキング鶯呼んだ道へ行く
11気合い入れコロナサラバと暑気払い
12青竹や天まで届けサバイバル
13青竹や皮脱ぎ捨てて伸びる朝
14オンライングラス傾け暑気払い
15我が愛で強く育てよ兜虫
162年振り我が家の車庫につばめ舞う
17梅雨晴れや三密避けてハーモニカ
18蝉時雨エールに聴こえウォーキング
19蝉時雨聞く度変わる香春岳
20盆帰りスモッグに霞む香春岳
21紫陽花を好きな母在り今もなを
22月明かり楽しむ夜は酒の友
23お月見で心ワクワクすすむ食
24秋暑し耐えて大物狙う釣り
25一枚の大風呂敷に秋包む
26旋回に揺れて着陸霧晴間
27林立すビルの谷間に虫の声
28名月とお猪口の酒を比べけり
29秋深しきつねをやめて月見そば
30絵本見た子が満月にこんばんは
31なつかしい大学芋の古い店
32ラップから黄緑ひかるマスカット
33風呂の湯気ぷかりぷかりと柚子二つ
34きのこめしレモンの皮でかおり立ち
35時寂し聖樹並べば癒されて
36しばいぬが枯れ葉を追ってくるくるり
37くつしたをこたつの中に忘れた子
38あの人はこない気がする聖樹前
39枯れ葉みち赤しばいぬのかくれみの
40手をかざし夕日を避けて枯葉見る
41人まばら聖樹のあかり首さむし
42クリスマス心配りの聖なる夜
43師走の候想いを馳せる豊かさへ
44師走の候心華やぐたしなみで
45初空月たしなみひとつ笑みふたつ
46一面の菜の花の前つないだ手
47菜畑を 駆け抜けてゆく ディーゼル車
48ミツバチが菜花の上で舞うダンス
49菜の花で思い出す日の田舎道
50菜の花のおひたし食べる酒の夜
51菜の花で心が弾む晴れ散歩
52足跡が威風堂々雪の道
53大津波祈る僧侶に雪刺さる
54息凍る手袋見ればむつのはな
55 街騒ぐ気づきもしない六花の日
56待ち時間コートに咲いたむつの花
57雪遊び赤いてのひら花のよう
58かんもどりさくらがちらりはるはまだ
59寒ぶりを食したくなる寒戻り
60寒戻りサクラも映える神社かな
61かんの戻りトレンチコート着れるかな
62寒のもどり鈴守り買い春を聞く
63寒の戻り浜辺の鳥居ああ無情
64花辛夷公園の中笑い声
65江ノ電の窓から見える花辛夷
66辛夷咲く春のおとずれ胸さわぐ
67初音かも御陵までの一里塚
68蹲踞に松葉閉じ込め薄氷
69針の目もひかりも影も針供養
70初音して机上明るくなりにけり
71棟上げの祝詞に負けぬ初音かな
72薄氷の閉ざす気泡にある重み
73下萌や五百羅漢に破顔あり
74病床の父に届きし初音哉
75熊野への祈りの道の初音かな
76初音背に大海原の魚見かな
77初音して教師授業を中断す
78鶯の忍び音洩らす杉木立
79薄氷をまたぎ始発の駅に入る
80空海も初音聞きしか札所寺
81薄氷の閉ざす気泡にある重み
82棟上げの祝詞に負けぬ初音かな
83薄氷や優しき風の吹き抜くる
84薄氷に秘密閉ざして池眠る
85我が家まで杜の初音の届きけり
86薄氷やかわりばんこに子の笑顔
87気構えを手水の薄氷我に問ふ
88呟きに返事さながら初音かな
89くぐもりの心映して氷面鏡
90薄氷を割れば光を放ちけり
91曙光染む病窓開く初音かな
92薄氷の池さざ波を拒みけり
93二礼して拍手打たず聴く初音
94初音かなつまみ菜分けて貰ひをり
95薄氷を押せばゆっくり動き出す
96初音して手水のつうと垂れ落ちぬ
97うすらいの草葉携え動きけり
98初音聞き生まれし娘も三十路かな
99鶯の忍び音洩らす杉木立
100薄氷や底に広がる小宇宙
101天真青初音の主の飛び立てり
102子の泣けり空に風船盗られしと
103菜の花の黄色はみ出すファインダー
104春暁や富士桃色にあらはるる
105桃の花少女きりりと弓を引き
106睦五郎追ひて蹴りだす潟スキー
107春眠し鳥のさえずり花の声
108目借時赤子は右手くちに入れ
109新樹光蹴りて傘寿の逆上がり
110篝火の寝ずの番して年迎ふ
111初みくじ箱の闇より吉と出づ
112一杓の湯気美しき釜始
113水音に蕾ひらくや蕗の薹
114ひたひたと棚田下り来る雪濁り
115小魚の跳ぬる波紋や春めきぬ
116春泥の靴散らかりぬ児童館
117野生馬の遊ぶ岬やうららけし
118江ノ電にゆられ舟こぐ春帽子
119手を引いて妻の歩幅で青き踏む
120高台に建売の旗風光る
121通知表見せ合ふ姉妹春炬燵
123全山の勢い余る芽吹きかな
124チューリップ子らの揃うて登校す
125花曇り自由が丘の石畳
126グー出すと言ってチョキ出す四月馬鹿
127蟻軽く大き荷担ぐこの地球
128裸婦像のポーズまどろむカンガルー
129春麗か少女謎解く物語り
130乗り換えのバスがすぐ来る春の昼
131その中にすこぶる軽い仔猫いて
132初音して木を切る音も遠慮がち
133ひざまづき手塩にかけたチューリップ
134たらの芽のハカマ素直に手にとれる
135けしの花人は時々泣き惜しむ
136新品の帛紗ふくらむ菖蒲月
137風光るふくさに朱色の福だまり
138できかけのウッドデッキに置く新茶
139薄暑かな認証コードはエラーです
140日の斑揺るる日曜大工の夫猫背
141夏きざす少女の前髪及第点
142庭見れば夫も猫も今朝の夏
143家庭内憲法記念日口喧嘩
144母の日も遺影は笑顔花御香
145母遺す文字の明るさ聖五月
146白い紙透ける紙和紙聖五月
147白シャツの自分をスヌーピーと抱く
148時差握るスマホの中は友の夏
149癒すもの持ち寄る画面ほぼみどり
150柏餅葉も食べるかといまだ聞く
151命日にたまたま三代牡丹園
152昨日より今日の勢い柿若葉
153言いたいと思う沈黙罌粟の花
154プレゼンの日の22時カーネーション
155電ドルの音も攫って風光る
156母むかし農家の長女聖母月
15719歳初夏よ数えよつや玉を
158軽暖に遠き花の香届き来る
159柿の葉鮨手品のように配られる
160パンの耳分けて囀りかまびすし
161高樹町浴衣見立てのワンピース
162軽暖や猫が寝言でねえと呼ぶ
163鷹揚と栗の葉揺らす初夏の風
164チラシ撒く仕舞いにあふれる白薔薇
165さわさわと青葉が歌う風の道
166彩雲(あやぐも)をながめる雨後(うご)の青葉かな
167遊ぶ子を青葉の下でながめをり
168窓越しに覗く青葉と猫の顔
169三峰の 青葉が光る天女舞う
170コロナ期に青葉に舞う蝶の群れ恋し
171アジサイや夢を語りし若き友
172「さくらんぼ」眠る我が子に独り言つ
173かがり火に浮かび出でたりあじさい花
174紫陽花が横で見ているへぼ将棋
175紫陽花の色も落ちたる鄙の家
176バイオリンを誘うがごとしサクランボ
177ゴロッとした丸みがいいんだサクランボ
178紫陽花の玄関先におもてなし
179紫陽花を支えて黙す花瓶かな
180紫陽花やうつむき加減の日向かな
181さりげなく傘傾けて紫陽花径
182紫陽花や己が重みか首垂れ
183嫁ぐまで頬寄せ合いしさくらんぼ
184種の数確かめあってさくらんぼ
185点景に一粒描くさくらんぼ
186紫陽花や近づく母の年回忌
187後朝(きぬぎぬ)の遣らずの雨や濃紫陽花
188何色に今朝は咲きてか七変化
189ひとつたべあとはじやんけんさくらんぼ
190まなうらに恋よみがえりさくらんぼ
191紫陽花や推敲のたび良くなる句ち
192若き日のきんさんぎんさんさくらんぼ
193紫陽花の毬はお喋り密になり
194割り算を姉に習いてさくらんぼ
195紫陽花や養鰻池の水車かな
196紫陽花の光る雫や雨上り
197紫陽花の明るくしたる雨空を
198紫陽花や藍の車窓を流れ行く
199紫陽花やクリークの水豊かなる
200古池や雨紋に紫陽花色が散り
201差しかける傘に赤らむ手毬花
202鈴の音や紫陽花滲む糸雨の道
203我が片身向かいのソーダのさくらんぼ
204紫陽花やひとひらごとの涙色
205紫陽花や旧き日記に書き足して
206一粒で小五にもどるさくらんぼ
207さくらんぼ含みし頬の片えくぼ
208一人夜にさくらんぼうを持て余し
209さくらんぼ種の数だけ若返り
210手指消毒知るや知らずや雨蛙
211夏めくや稜線雨にぬれている
212夏立つやインコぱたぱた走る音
213薫風や小波たゆたふ養鯉場
214それぞれの赤が大好きさくらんぼ
215紫陽花やぶらんこだけの小公園
216安らぎの余地ある苑や七変化
217鮮やかに日を照り返すさくらんぼ
218白猫のぐいと背伸びや梅雨晴間
219さくらんぼ頬力ませて種の飛ぶ
220夫の忌の紫陽花の色際まりぬ
221さみしくて寂しくて末夕焼ける
222吾の在らぬ家になるらん金魚たち
223インコの羽の色選びレース編む
224何もかもいちばん上にさくらんぼ
225紫陽花や鉄棒だけの小公園
226鳥が鳴く青葉繁れる雛が鳴く
227黒南風や映画のまちにアメリカン
228薫る風ウーバーイーツは歩合制
229涼風や並んでわかる身長差
230家にいる族が家族や肌乾く
231留守番が終わった今が夏はじめ
232白桃に真紅の種のありぬべし
233群生のアルストロメリアなら自由
234梅雨冷えや時々止まる印刷機
235まちづくりセンターまでの驟雨かな
236指と指ふれあう星座早見表
237編み直すカルテット曲夏に入る
238アンデスを超えコンドルの夏は旅
239雲の峰『砂漠の薔薇』は変奏曲
240少なくてさらに輝く夏の星
241天の川喜ぶことを喜ばれ
242ひしゃく星夏の夜風を掬い取る
243白南風や乾き切ってる石の肌
244失敗も成長の糧と青葉かな
245麦の秋東の空に夫婦星
246天気図の渦巨大なる秋出水
247番号なき板を見る目に春みぞれ
248春めいてタイヤ交換奥四万湖
249子どもらの傘踊る路梅雨の朝
250雨続き洗濯物が大渋滞
251サクランボぜんぶ大つぶ幼き手
252にわか雨巫女は神への梅ちぎり
253手の届くタイニーハウス夏やすみ
254取材され佐渡の車座植えしずか
255黄緑に黄色さす濃さ実梅の香
256子どもらの傘踊る路梅雨の朝
257雨続き洗濯物が大渋滞
258自分時間雨音響く夜の静けさ
259梅雨空に見上げた空に虹架かる
260星涼しチョキ舟揺れて肩抱けて
261望むまじ君のうなじよ星涼し
262龍が舞う縄文の夜星涼し
263福引の子の頬ぷくりふくれたる
264ジジジポト儚き花火さ星涼し
265川キラリ山星涼し舞う蛍
266星涼しおいらの出番菊花火
267星涼し宇宙に祈る地球平和
268ミス岐阜も華そへ鵜飼開きかな
269鵜篝の揃ひ大詰め総がらみ
270鵜と鵜匠闇に阿吽の呼吸かな
271逸る鵜の鵜呑み許さず式部職
272よべの漁終えて干さるる鵜縄かな
273鼻つまみ海に飛び込む戯画となる
274風死すや今は疑う地動説
275五月闇なんでも仕舞う冷暗所
276風死すや抜け道ぬけてもとの道
277六月のミニシアターにソファー席
278青田風行きと帰りは道かえて
279薬玉や猫と取り合ふ長命縷
280天の川真ん中はどこ砂時計
281塩味の辣韮は白に白き艶
282最後まで薄皮ラッキョを守りたがる
283辣韮の根砂丘に笑いがとまらない
284漬物をしましょう集うサンドレス
285梅雨晴れ間人情噺にも花形
286よちよちの合羽幼き母合羽
287紫陽花や曖昧といふエレガンス
288ドアホンにわれより先に出る仔猫
289手を挙げて横断歩道一年生
290此処掘れと犬の鳴くなり芋畑
291孫悟空顔出しさうな雲の峰
292電線に上から目線冬がらす
293親はゲロ子はケロと鳴く蛙かな
294寅さんのレトロなカバン鴨渡る
295深川を行き交ふ蛇の目春の雨
296夢ん中大穴当てる三尺寝
297去年今年またぐ債権債務かな
298尼様の箒てこずる濡れ落葉
299仁丹にもらふ涼しさ人いきれ
300乙女らに傍若無人春一番
301遠足のおかず見せ合ふ子どもかな
302霾るや車の屋根に猫の足
303蛍追ふ妻の瞳のあどけなや
304医師の声麻酔に遠のく春の昼
305その中に音痴もありぬ蝉時雨
306糠床に茄子を寝かせて妻床に
307百八つの鐘の一つを撞きにけり
308初鏡よるとしなみに妻嘆き
309潜つては子猫遊ぶやレジ袋
310バイバイと手を振る二歳しゃぼん玉
311四月より親父が教師漁師の子
312極秘書類喰ふシュレッダー事務納
313期限切れ奥に鎮座の冷蔵庫
314駕籠かきは村長助役村芝居
315番台に魔女の置物ハロウィン
316都市照らす夏の満月写メの群れ
317写メの群れ見上げたビル間夏の月
318帰路急ぐわき目にニンマリ夏の月
319突然の 電雨 突ききる 浴衣下駄
320静かなる雨音耳にショパンかな
321閉じ籠もる屋根の真上の星涼し
322加速する発展都市の星涼し
323傘閉じて雲の晴れ間の星涼し
324風吹いて見上げた先に星涼し
325星涼しおいらの出番菊花火
326「コロナ去れ」願う短冊星涼し
327星涼し遊び疲れた帰り道
328星涼し綺麗とつぶやく君も綺麗
329星涼し宇宙に祈る地球平和
330川キラリ山星涼し舞う蛍
331星涼し南のひしゃく水をまく
332星涼し浴衣の君と赤金魚
333明け方は消え入る間近星涼し
334蒸す夜はサッポロビールの星涼し
335半夏生機織る姫も涼む夜
336コロナ禍の都市の紫陽花密に咲く
337紫陽花やぽとりと雫玻璃のごと
338天気図の渦巨大なる秋出水
339朝顔を三日数えてあと白紙
340扇風機ひとり占めする風呂上がり
341夫がむく牡蠣飯の香よ誕生日
342同僚と日記売り場で会う旗日
343秋立つ日生活音と声響く
344秋夕べ角を曲がれば人消える
345取り分けるしぐさ整う今朝の秋
346父ひとり卒寿清しき冷蔵庫
347新涼や湯気に速さのアメリカン
348いのち継ぐ子も親となり星月夜
349握る手はいつか離す手流れ星
350爽やかや封じ手表が即入札
351アナベルの白よ花嫁だけの白
352母の日のパンフに母亡きことわかる
353終戦記念日名もなき感情はためかす
354腕まわし翼の根元ほぐし秋
355半夏生自然のかけらになれるとき
356循環のしくみ親しみ八月尽
357金星の謎も紐解く夏至夜風
358引く波に陸を離れる素足かな
359弱冷房甘味屋おかめは麹町
(あじさいの品種)
360エンドレスサマー空いろ星奪う
361新涼や飛び乗る音を消す肉球
362雨続き西の聖山雲の中
363絵画本読書の夏は向上心
364雨蛙鬼滅に興奮甥の鼻
365好き嫌いカッコウひとつで合う合わない
366贈りたい感謝の気持ち母の日は
367贈りたい私の成長父の日は
368麦秋や国の名守る無人駅
369悪友と話が弾む泥鰌鍋
370嫁ぐまで頬を寄せ合ふさくらんぼ
371山沿ひを走る二輌車秋近し
372バス停の先に陣取る捕虫網
373川を這ふ風生臭し広島忌
374打ち水の滴涼しや笹飾り
375星祭笹しなる程色短冊
376梯子酒駆け登りたい天の川
377深大寺緑と水の香夏のれん
378昼寝覚め誰か優しきバスタオル
379自分の名だけは聞こえる昼寝中
380昼寝姉妹タオルケットに手足生え
381あの人と見まごう日傘をさす女
382空気みなもののカタチに秋隣る
383満々と空堀川に夏出水
384多摩川の出水の下の野球場
385ヒマラヤの出水合わさりガンジスへ
386多摩川の空煙り立つ梅雨出水
387天気図の渦巨大なる秋出水
388梅雨川の細流飲まれ大河へと
389暗闇で嵩ます(かさ)出水窓握る
390木も家ものみこむ出水温暖化
391出水あとはねるぬかるみあまがえる
392学生のシャツの白さよ青葉萌ゆ
393立ち話青葉仰いで飽きたらず
394こもれびを操(あやつ)る薫風ほほ清(すが)し
395桜木も梅木も青葉尽くしかな
396張りぼての鬼街角に二月来る
397たんぽぽのわた野仏の耳ふさぐ
398花の雨やみさうになき法隆寺
399鷹鳩と化して西国行脚かな
400のどけしや伊根の舟屋の昼下がり
401上り待つ下り電車や麦の秋
402夢殿の烟る卯の花腐しかな
403遠目にも見目うるはしき五月富士
404紫陽花の色移りゆく三室戸寺
405東京の人と京都の秋惜しむ
406天に星地に蛍火の耀へり
407母戻る二の腕灼けて畑から
408法名となりし母抱く日の盛
409斑鳩の三塔訪うや秋日和
410早生柿の出荷そろそろ獺祭忌
411かりがねや釣人帰る湖暮色
412ちぎらるる林檎見守る津軽富士
413せんべいに膝折る鹿の立ちあがる
414冬ざるる京都化野念仏寺
415尼様のつく音やさし除夜の鐘
416喪の家に犬残されて雪催
417伊吹嶺の凍雲一朶動かざる
418美濃和紙の明りはんなり冬の夜
419三井寺の除夜の一鐘湖渡る
420お西より来てお東へ春一番
421天井を這ふやうに逃げゴム風船
422春泥にまみれ老い猫戻り来ぬ
423東大寺大仏殿の余寒かな
424菜の花の目映きまでの堤かな
425万緑の緑したたる皇居かな
426函館の旅情いやます烏賊火かな
427尼寺の穢れ知らざる牡丹かな
428奔放に犬走らせる夏野かな
429碑の名入れ新たに広島忌
430桜蘂降る満願の札所かな
431露けしや敷かれしままの廃線路
432虫の夜となりたるけふの句会かな
433天高し応援団の反り返る
434寒き夜や背中の並ぶ屋台村
435中山道信濃追分片時雨
436年の瀬を駆くる駿馬や有馬記念
437天平の風そよと吹く古都小春
438折からの風によろめく冬の蝶
439炉辺に聞く宿のあるじの民話かな
440秒針の音するばかり冬の部屋
441寒椿少し開けおく躙り口
442面接を待つ黙の部屋春寒し
443春しぐれ三年坂の濡るるほど
444春場所や御堂筋まで太鼓の音
445江ノ電の揺れにまかせる目借時
446鎌倉を訪へば暖か立子の忌
447遠足の子に番譲る望遠鏡
448昼の月めざし白鷺飛び立てり
449清明の鐘の音琵琶湖までわたる
450あをあをと瑞穂の国の田の涼し
451濁声も楽しからずや蟇蛙
452紫陽花を手向け母の忌修しけり
453蜘蛛の囲の雨粒光る朝かな
454恐竜の玩具離さず昼寝の子
455渾身の一歩踏み出す鹿の子かな
456校庭に児の声戻る梅雨晴間
457相席の香水ほのと終電車
458見上ぐる日過ぐる日ありし合歓の花
459合歓の花おぼれる人を掬ひけり
460合歓の花浅い夢でも来た場所に
461海の幸海苔を山にて食すなり
462おにぎらず海苔一面にかぶり付く
463ちちははの蕎麦に多めの海苔かけよ
464格付けの並なる海苔の昼餉かな
465翡翠碧く鳥の絵本にでかでかと
466奥多摩の深くを翡翠さつと飛び
467ホバリングのち翡翠の潜り行
468世田谷でカワセミ一家暮らす川
469カワセミの真近で見える平瀬川
470有明けの海苔に故郷の香りふと
471海苔好きは離乳食からツマミまで
472海苔は別出戻りし娘のおむすび
473白飯に青のりふって子ら夜食
477病む犬の寝息見守る半夏雨
478荒梅雨の風雨稲妻震える手
479コロナ禍の梅雨の晴れ間にきのこ干し
480蝸牛通った後の光る道
481夏の雨自分と一緒の一人なら
482拘束されひとの末路や梅雨の夕
483刈りこんだ生け垣下し夏館
484蟬時雨抜殻とまる木々の間に
485どくだみの花可愛らし母おもう
486冷汁に妣の口癖なぞる我
487すべも無く汗ばむ肌の長い夜
488夕涼みゆかたの君の残り香に
489梅雨寒に袖丈悩む老一人
490水鉄砲ちょっと微笑むだけでいい
491落蝉や目を覚ましてと草むらへ
492生さぬ仲点滴おえて蟬時雨
493夏の雨亡母の去きし日仰ぐ空
494ぬかずけをひまにまかせて始めける
495清き水峠やまびこ遠い夏
496コロナ禍に浴衣の君は風を切る
497白浴衣襟元に手を立つ若人
498夏座敷チャンネルが追う翔タイム
499宿替えか生け垣こえる蜥蜴かな
500さくらんぼ祖父から孫への豪華版
501月下美人つぼみ三りん待ちどおし
502名古屋場所モンゴル勢に歯が立たず
503年とりて着物着る場もなく淋し
504夏太りオートミールでVサイン
505走馬灯年重ねきし吾が手見る
506ライバルも味方も私髪洗う
507ほのかなる香のかおりや夏座敷
508くろ文字を使う主なし棚のすみ
509大谷の活躍楽し可愛らし
510日傘さしふりむく君や器量良し
511薫風や池のほとりに老五人
512夏めくや子等の蛇口は上向きし
513首振って座敷見渡す扇風機
514蛍やポストに五句はこぼれおち
515風光る友の手製のママレード
516風かおる上達しましたオムライス
517朝寝坊自粛延期の知らせきて
518母の日に花を選んだ日は彼方
519風光る友と茶そばの昼御膳
520母の日に久しく娘顔見せり
521復興の三陸海岸風薫る
522母の日や思いをのせて菓子届く
523母の日はあなたの笑顔ハイクラス
524銀輪や髪なびかせて新入生
525布団干しふっくら香る柿若葉
526風薫るほのかに甘く重ねる手
527生涯を和服で通す母の日や
528風薫る三陸海岸一輪車
529風かおる子らが弾ける遊歩道
530ゆっくりと波打つポピの花の丘
531筒姫の袖振ることも許されよ
532日照雨降り大輪の薔薇熟れて垂れ
533お手本は何気ない日々花は葉へ
534塀の上微睡む猫に光る風
535娘持つドライケーキに去年想い
536愛犬に留守番託し花めぐり
537縁側で新茶楽しむ老二人
538風薫る海へと続く千枚田
539母の日に肉と赤飯持ち寄りて
540風光る新幹線で孫の舞台
541ゴーヤ苗もらいて光る風の中
542Gパンもあっと乾くや青嵐
543風薫る柱に傷の五・六本
544水やわらかほうれん草を洗うとき
545きゃらぶきを煮てる背中は母に似て
546あじさいのつぼみふくらむコロナ禍に
547オムライス上達しましたエビデンス
548牡丹の芽ほのかに紅く日の出待つ
549海風やあちこち向いてねぎ坊主
550夏場所を主と無人で応援し
551母の日や母のぬくもり白い雲
552余花の雨全てを丸の選択肢
553ワクチンを打ちて生きのぶ著莪の花
554蚊帳のひも長くしてまつお爺ちゃん
555朝化粧そばかす美人バナナかな
556草深く片腕隠す半夏生
557冷し中華始めましたと張り出しぬ
558罪裁く法廷かこむ蓮の花
559箒おくのそりと出でて蟇
560破れ傘風吹くままに生きてます
561見残した夢をまた書く星祭
562七夕や今年も会えぬ人の影
563荒梅雨の余滴が光る朝の窓
564七夕の鶴提灯と短冊と
565俳句とは口で転がすさくらんぼ
566川の字の言い訳いらぬ蚊帳を吊る
567笹竹に紙ずれの音星迎
568蚊帳吊や蛍火囲い共に寝ぬ
569山開きリュックの鈴の音かすか
570星の恋逢瀬をゆるす天の川
571蚊帳たたむ手に持つ軽さチョピリうれし
572蚊帳の中小塚の寝息モーツアルト
573蚊帳を吊る敵を殺さぬ深なさけ
574蚊帳吊輪戦時記世で醵出の非常時も
575七夕をこんなに深く記するかな
576炎天や長蛇の列のパンだ焼
577青蚊帳を逃げ出すこともナイトメア
578一輪のくちなしの香や夢の後
579心まで願いの糸の色絡む
580横たわる記憶の底に蚊帳の中
581十九歳王位を守る夏の空
582ついに喜寿とげぬき地蔵の白牡丹
583七夕や色紙と結ぶ恋の歌
584梅雨晴やとき放たれて下校の子
585クレオパトラリズの美貌や夏薊
586願わくば吾子にもロマン星祭り
587蚊帳去りて「蚊帳の外」なお重宝し
588飛魚のときに地球を飛び出して
589かなぶんが飛び込んできて手の止まり
590珈琲を淹れる十分半夏生
591目で誘う洒落たマスクのドアーマン
592天仰ぎ恵みに感謝半夏生
593奥飛騨の宿の外灯金亀子
594走馬燈に馬は走らずまあいいか
595金亀子闇に逃げこむ猫パンチ
596うたた寝の安らぎ覚ます金亀子
597応えなき片白草の葉裏かな
598金亀虫転寝家族狙い撃ち
599島々に力あるなり大夕焼
600山百合やこんなところにマリア様
601半夏生キーマカレーに卵乗せ
602声援の神宮の夏ほしいまま
603ガザ地区の瓦礫に生れよ花オリーブ
604上高地沢いく筋や目の涼し
605半夏生東京五輪「イエス」「ノー」
606かにかくに万緑叢中針一本
607集わずに時は流れし葛桜
608太腿の蟻ゆく先や昨夜の夢
609草枯れて緑深まる半夏生
610品川の河童祭やずぶ濡れる
611隅田川雲上人の大花火
612青紫蘇を我庭で摘み母刻む
613半夏生空車ばかりの午後三時
614接種へと一直線や金亀子
615かなぶんは電車の中で皆を見る
616半夏生池のほとりに立つ二人
617半ズボン元少年の男たち
618片陰を一列になり進みけり
619ツーアウト動かぬままぞ金亀子
620清濁の一切合切半夏生
621ジューンドロップさながら人の命とて
622梅雨晴間巣ごもり食品あれこれと
623かなぶんや本間旧家の釘隠し
624銭湯の傘立て埋まる半夏生
625高く投げ拳にコイン半夏生
626クーラーを消して静かな午睡かな
627ふところの梔ひとひらベージュ色
628くるくるまわる日傘の影良い香り
629舌を出し炎暑横たふハスキー犬
630深大寺緑と水の香夏のれん
631入道雲人差し指でマイ綿アメ
632昼寝覚あっという間の日曜日
633波音はそばがらの音昼寝覚め
634こだわりのカフェでサイケな日傘買う
635オリンピックブルーインパレスの夏
636あと味にアイスの棒の木の香り
637買ったまま遺品となりし夏帽子
638昼寝醒めヒーロー消えてさあ買い物
639チリリリン昼寝の夢はここまでね
640大樹よし軽トラ荷台の三尺寝
641新涼や飛び降りる音消す茶トラ
642形見なる母の絵日傘色の錆
643昼寝の子図体ばかりデカくなり
644うたた寝の電車に日傘置き忘れ
645窓開けて涼風誘う三尺寝
646絵日傘で踊る童女の秋波かな
647窓際に古地図広げて昼寝旅
648今日の服に似合う日傘を衝動買い
649涼しさの向こうに葦の植物園
650くちなしの花にも焦れる女子高生
651昼寝覚めもう少し寝とまぶたとじ
652ランチビアーシェスタを誘うギターの音
653夢さめて木蔭の光り幸せだ
654お昼寝の合間に家事を片しお茶
655靴箱にひとつ折り畳みの日傘
656さざ波がひそかに揺する片かげり
657アマビエに子の手を合はす地蔵盆
658甲高き旋盤の音残暑なほ
659下町の地下道匂ふ残暑かな
660残暑なほ旋盤の吐く螺旋屑
661古書店にばら積みの本残暑なほ
662吾が影を引きずつていく残暑かな
663忘れ物を思い出してより残暑
664町内の子らも減りゆき地蔵盆
665地蔵会やお地蔵様の赤帽子
666ひぐらしにせかるる心やまぬなり
667うろこめく棚田の畔や残暑光
668触れあえば飛んで交わせり水馬
669扇風機インコの籠へ外出す
670絽の帯の青りんご2個背にのす
671八月や代々木国立競技場
672八月やオリンピックの日章旗
673八月の砂に吸はせる散水機
674八月や墓前に衿を正しゅうす
675八月の空に弾ける弦の音
676親戚の差し入れ溢れる地蔵盆
677病院を出でて残暑へ飛び込まん
678頬張った氷がくにゃり残暑なり
679地蔵会や弥勒の祖先も参り来る
680病棟に富士見えて湧く秋暑し
681生き馬の目を抜く銀座秋暑し
682山寺の東司に残る暑さかな
683厠とふ孤独の部屋の残暑かな
684真つ新の赤き前垂れ地蔵盆
685悪童もけふは大人し地蔵盆
686迷惑メールと根比べの残暑かな
687電気代気になりながらこの残暑
688夏休み近所の子らが客間占め
689朝夕がありがたきかな秋暑し
690行き過ぎてあゝそうだったと地蔵盆
691白日傘歩き方までしとやかに
692初ヒット日傘を高く掲ぐ母
693作庭の終わりも見えて三尺寝
694方程式をバッハが解く夢昼寝覚
695目が合って母の日傘を出る男子
696絵日傘で飛び石跳ねるだらり帯
697新たなる墓石に日傘の影濃く
698飼い猫の尻に敷かれて昼寝覚
699家隣る置屋の端唄に午睡
700パラソルに隠れぶすくれ待ちぼうけ
701薄桃に川面を埋める花ふぶき
702親の来ぬ卒業式の花ふぶき
703花吹雪忘れちゃいめえと金四郎
704花吹雪父の気配あり一周忌
705花片のマーク置く芝パーパット
706花吹雪空の下駄箱ひな立ちぬ
707水芭蕉柔らかな陽さし癒される
708花吹雪幼き我が子と歩く道
709太鼓音の響く舞台で花吹雪
710あと一歩勇気をくれた花吹雪
711花吹雪瞬きのたび変わる町
712菜の花はいつもあの日の田舎道
713誕生日あじさい桃いろ桜いろ
714額の花旧交あたため立ち話
715水芭蕉みどりの翼巻きとれり
716思い出の水芭蕉とはあの唱歌
717連綿の白衣に見えし水芭蕉
718カラーとは一味違う水芭蕉
719山深き此処は信濃路水芭蕉
720医師の眼の隈の黒さや石あやめ
721被災地へ祈るがごとし水芭蕉
722花苺熟すを待つはあといくつ
723花菫蕾五つは孫の年
724天をつき花びら散らす紅き梅
725水芭蕉遠き空へと開きけり
726水芭蕉差しこむ清き木洩れ日に
727写真みなやさしきかほや水芭蕉
728連獅子のたてがみのごと乱れ萩
729遠ざかる街の灯(ひ)悲し夜霧行く
730朝霧の先に船影髪を編む
731鑿(のみ)音のこだます庵こぼれ萩
732鼓膜にはスネアの振動霧の夜
733山寺のあじさい風に藍の波
734見開いた稚児の瞳やさくらんぼ
735息詰めて暑さの中の接種終ゆ
736ピクルスの瓶に棲みつく梅雨の黴
737西暦でラベル貼りたる梅酒漬
738ぐっすりと乳含ませて母子昼寝
739プライドを捨てし姿の昼寝かな
740思い出の日傘も色を落としをり
741記念日に届くパラソル宅急便
742昼寝夢ページ繰るごと動く指
743音読を今朝も一分麦の秋
744ことさらに真っ赤な夕日麦の秋
745母の忌に母のブローチ走り梅雨
746爺と子の会話を繋ぐ新茶かな
747ママレード煮つつ新茶の色を愛で
748紫陽花の藍を好みし尼御前
749風吹かば山紫陽花の波嵐
750紫陽花の色の末枯れや病みの闇
751桜桃の粒の輝き子の瞳
752小夜曲や茶房のパフェのさくらんぼ
753異国語の飛び交ふ小江戸麦の秋
754新茶汲む今日のひと日のはじまりに
755ぼうたんの雨滴を纏ふ色の綺羅
756木漏れ日はスッポトライト著莪の花
757コロナ禍を一人たんたん句集編む
758今生の刹那の命しゃぼん玉
759図書館に続く坂道丁字の香
760勿忘草水吸ふ音の命かな
761白魚丼汲まれたままの水の色
762きゅうきゆうと砂を吐く音浅蜊闇
763音も無く翡翠翔てば波の輪が
764一本の杭に翡翠身じろがず
765翡翠を追って集まるカメラマン
766夫の彫る翡翠色確かむる
767野球児の頬ばる笑顔海苔むすび
768評判の旨し海苔買ふ吉祥寺
769甘海苔をあぶる手さばき裏表
770おたまじゃくしバケツの中にある命
771蝌蚪の陣生国問へば九品仏
772黄ばんでも母の面影古日傘
773一センチ大きすぎたか冷蔵庫
774足指で「強」押してみる扇風機
775褐色の少年光る残暑かな
776大きめの宿の浴衣やはしょり着る
777多すぎて梶の葉しなる願い事
778夜の帳下りてしじまに蛍来る
779蛍来てひいふうみいと吾子数ふ
780吾子数ふ五つ寝たらばお正月
781お正月めでたき朝の大背伸び
782大背伸びしている猫の四月かな
783四月馬鹿禁煙といふ二枚舌
784二枚舌使うてみたし溝浚へ
785溝浚へ説明長き自治会長
786自治会長吟醸酒提げ年忘れ
787年忘れ二次会までは誘はれず
788誘はれぬままに年越す無尽講
789無尽講や濡れ手で粟の伊勢参り
790伊勢参りおかげ横丁寄らいでか
791寄らいでか義士の日ならば泉岳寺
792泉岳寺香煙しきり大石忌
793大石忌一力茶屋に野点かな
794野点して華やぐ庭や花衣
795父ちゃんの魚欲しがる翡翠の子
796川面打つ翡翠一閃夏の色
797翡翠の子長きくちばし短き尾
798何処までも飛ぶ翡翠の目を追うよ
799渓流や翡翠呼び合う声ひびく
800翡翠を追って集まるカメラマン
801御慶受け猫も一声鳴きにけり
802いちばんに猫のお出かけ春立つ日
803春炬燵猫の常座となりにけり
804濡れ縁に猫もまどろむ目借時
805出たがりの猫に卯の花腐しかな
806老い猫のあるじ顔して籐寝椅子
807鮒鮓の猫さへ逃ぐる臭さかな
808手水場に水飲む猫や秋暑し
809秋刀魚焼く一瞥くれて猫行けり
810団栗にジャブ出し遊ぶ野猫かな
811小春日の在りどころ知る親子猫
812夜会へと猫の影ゆく春障子
813躊躇なく子猫爪研ぐ床柱
814叱られて猫そそくさと炬燵入る
815老い猫の譲る気はなし夏座布団
816横つ跳びに喧嘩腰なる恋の猫
817呼べば尾で返事してゐる浮かれ猫
818地裏は猫の花道小六月
819毛糸玉膝より転げ猫追へり
820初釜や躙り口より猫までも
821春障子開けよと猫の鳴きにけり
822小春日の在りどころ知る親子猫
823爺様の放屁に猫は炬燵出づ
824羽布団われより先に猫入る
825通夜の座の客に媚び売る子猫かな
826うららかや出窓にどてとメタボ猫
827小春日の猫の居眠る出窓かな
829肉球に春の泥つけ猫戻る
830大猫に仔猫たぢろぐ逆毛立て
831吾が足にちよつかい出せり炬燵猫
832残暑かなサンダルの底も擦り減って
833残暑光父の柩を焼かんとす
834遺された母の小さき残暑かな
835町内の人をつなぐや地蔵盆
836ビルの間に地蔵詣のニ三人
837太鼓の音響く舞台で花吹雪
838飛び出した菜の花畑で猫笑う
839鳩が鳴く茂る青葉の木の枝で
840紅き灯に乱れし下駄や地蔵盆
841海沿いの西瓜売る声秋暑し
842赤とんぼ高く飛べども雲はるか
843松ぼくり砂に転びつ向かふ海
844朝霧や海の聖堂道遥か
845駅ツバメ今日あっけなく巣立ちたり
846草むらに仁王立つ孤高のひまわり
847突として訃報届くや秋の蝉
848忘れ潮雲を映して夏の果
849編笠に顔を隠して風の盆
850一陣の風と遊ぶや蕎麦の花
851悪友と話が弾む泥鰌鍋
852苔の花石段のぼる尼僧かな
853サイダーを飲みほす母とレストラン
854梅雨曇り我はここにと白き花
855明易し冷たい水をグイと飲む
856川風に散るは静かに芥子の花
857八つ当たりされる五輪は七変化
858桑の実やくちびる染めた幼き日
859被災地の瓦礫に一本鯉幟
860あじさいの色とりどりが鏡前
861紫陽花を冠にして笑顔みせ
862一本の文字摺草や蟻二匹
863木登りの子の先行くはかたつむり
864夏帽子追いかけ走る白い雲
865梅雨曇り本の中でも雨が降る
866鈴なりの青梅に雨光りおり
867言の葉に何を着せよう額の花
868梅漬ける亡母の手書のレシピみて
869植物升どくだみ制覇白い笑み
870横浜のヨーコの窓辺涼を呼ぶ
871夕立の雨もひと降り犬の背や
872デパートへかき寄せてくる大夕立
873梅雨寒や鐘撞堂の午後三時
874夏料理塩も砂糖も自分量
875走り梅雨乙女子心か決めかねつ
876半死にの蛾もて遊んで猫笑う
877狭庭にも光満つるや燕の子
878万緑や怖ず怖ずと出す左肩
879夏の夕終活の文字気になりて
880花嫁の螺旋階段捩り花
881夏畑採り手の顔に健康美
882コロナ禍でトイレペーパー倍になり
883新妻をくちなしの花迎えけり
884あじさいの一輪のあおこころ晴れ
885夏草にひそひそ声の道祖神
886薫風に腕の白さのまぶしかり
887雲の峰クックパッドは小匙一
888赤紫蘇を揉むしわの手ピンク色
889紫陽花や軽く大きな手鞠かな
890浴衣着の夢路のうなじ見つめおり
891逃げ出した絶滅危惧種夏の陣
892ビニール傘可愛いい柄に目をひかれ
893廃屋やかきねを越えて額の花
894糸とんぼ胸一杯に大気吸う
895小満やストレス太り許されよ
896四の日の巣鴨のおみやげあじさい菓
897地球儀のシルクロードに夏の蝶
898アマリリス頬赤くして笑いけり
899潮騒に遠き日思う夏の月
900背負いたるは旅の衣か蝸牛
901デモ恋し花アカシアは雨の中
902月涼し乙女は揺らすカップイン
903湯気はらい穢れも払い水無月や
904シャンパンの泡のぼりゆく夏の月
905身を任す地下鉄揺れに昼寝覚
906馬籠橋渡れば巴水夏の月
907息深く思い出す様に夏の月
908アマリリス元の生活思い出す
909干網に綻びありて浜残暑
910露地残暑秘蔵の生酒底をつく
911寝息背に灯明辿る地蔵盆
912橋渡る貨車に脈打つ河残暑
913アザラシの鼻また開く残暑かな
914締め切りに追われて励む残暑かな
915セコイアも棒立ちになる残暑かな
916葬送の列に容赦のない残暑
917町内の子が減るばかり地蔵盆
918里に向く小さき祠地蔵盆
919香水の香る近さの握手かな
920日焼けせし腕が自慢の女の子
921花ダリア紅の色澄み透り
922蓮の花音高々と水噴けり
923プール出でわが体重を感じたり
924氷柱なめ目ぱちくりと初登校
925かくすものなくてのびゆく夏の虹
926代表のユニフォーム配達の汗
9272020女頭領おどる夏
928木を矯めて大陸あらわす夏五輪
929まっすぐな虹の直径青田波
930越してきた子と分ける菓子地蔵盆
931「急行待ち合わせ」入り込む残暑
932秋暑し鏡の前の男性舞踊手(ダンスール)
933手を合わせ戦火を思う地蔵盆
934パチンコ店の音うねりくる残暑かな
935草木零落す9番のホールインワン
936同僚と日記売り場で会う旗日
937朝顔を3日数えてあと白紙
938番号なき板を見る目に春あられ
939カップへとすべり込む球芝うらら
940昼寝覚あっという間に「サザエさん」
941おひるねの間に家事を片しお茶
942うたた寝の電車に日傘また忘れ
943星すずし南のひしゃく水をまく
944鎮魂の鐘響く朝鰯雲