2020年度8・19俳句記念日ご応募一覧
1平穏に過ぎゆく二百十日かな
2つつがなく厄日を送り寝酒酌む
3くちづけて恋におちたる花野かな
4おぶさるる母の軽さよ花野道
5喜寿はまだ招待されず敬老日
6独り居に何がめでたい敬老日
7アパートにおひとりさまの敬老日
8おたがいの髪を話題に敬老日
9同窓の市長の祝辞敬老日
10戦後派も多くなりけり敬老日
11早春の風を背に漕ぐペダルかな
12校庭に砂塵巻き上げ春疾風
13スカートに狼藉すまい春一番
14風光る鎌倉の町虚子眠る
15築港へ下る坂道風光る
16春風に甘くそよぐや君が髪
17一陣の風に吹雪ける桜かな
18大琵琶の風を孕みて五月鯉
19孕む風吐かせてたたむ鯉のぼり
20新装のカフェの窓辺に青葉風
21心地よき風に微睡む夏期講座
22枕手に昼寝せんとて風探す
23湖よりの風に騒ぐや大青田
24涼風に頬撫づらるる岸辺かな
25風鈴の舌を小風の撫でゆけり
26寝たきりの母に涼風通し遣る
27周航の風爽やかき淡海かな
28友の訃を運んで来たる秋の風
29群れなして風に抗う蜻蛉かな
30名月や風のうわさに君のこと
31風立ちて金木犀の金零る
32台風の上陸間近湾騒ぐ
33台風の進路気になるPTA
34台風に出自を問はば住所不定
35丘に立ち色なき風を待ちにけり
36風に乗る鐘の音侘し暮の秋
37風の来て黄落初むる御堂筋
38風のまま磴を転ぐる枯葉かな
39落武者の声とも覚ゆ虎落笛
40北風に耐えて鍬打つ老婆かな
41風叩く窓に目貼や木賃宿
42ひと吹きの風によろめく冬の蝶
43夏木立妍を競いて伸びる雲
44料亭の盛塩尖る涼夜かな
45名月や終末時計二分前
46餌の無い糸を垂らして涼夜かな
47こぬか雨ろくろっ首の曼珠沙華
48赤備えつはもののすゑ赤とんぼ
49赤とんぼ入り日の中より生まれ来る
50おんどるは父の胡座や永久温む
51廃トンネルワインを抱いて山眠る
52初富士やオカリナ響く牛舎かな
53湯を流す渦に巻かるる去年今年
54納めるもの主婦にもありて初昔
55目標を持ち越して居り初昔
56餅花や民主化運動熱止まず
57餅花や我慢を美徳となせし母
58散る桜夜桜散歩と夫婦愛
59言霊は発酵要素で俳句かな
60 散るサクラ視聴者玉砕褒め言葉
61人会えず憎むはコロナ名残り雨
62食いしん坊もっとちょーだい名残り飴
63餅花のたましひ揺らす光かな
64歳時記の栞はらりと初昔
65年賀状多く届きし昭和かな
66初雀われと遊んでくれないか
67初笑ひ友のジョークに笑えずに
68冬の霧湖畔のやうな我が街よ
69凧上げや高さを競った友何処
70幼子が抱えて歩く鏡餅
71鴨の群れ普段通りに歳を越す
72初昔的中馬券眺めたり
73録りためたドラマに涙初昔
74餅花に焦点合わせ枝ぼやけ
75初昔出席できぬ同窓会
76初昔体重計に何度乗り
77初昔喪中のハガキ捨てられず
78ゴスペルを歌って踊る十二月
79壁越しにノックで誘ふ生姜酒
80喪服着る日ばかり続く年の暮
81元気良く毛布蹴飛す稚の足
82風呂吹をふうふう吹きし母の面
83避難所に隠す猫聴くもがり笛
84三人のおかげ三つ持つホカロン
85指先の心ほぐれる白毛布
86受験生カフェは聖夜の曲の中
87断捨離の書類読んでる年の内
88針仕事ひざにケット(毛布)の重装備
89年暮れる神の舞い降りそうな雲
90じっくりと日記見返す年の暮
91寒い夜は毛布に埋もれ猫となる
92ボロ市で年に一度の顔合わせ
93あちこちと用が重なる年の暮
94ストーブで初煮の豆は黒大豆
95焼き芋の温もりうれし右ポケット
96浅草の言葉いろいろ年の暮
97終活の話尽きぬよ海鼠かむ
98二つ三つ忘れたい事年の暮れ
99録りためたドラマに涙初昔
100餅花に焦点合わせ枝ぼやけ
101初昔出席できぬ同窓会
102初昔体重計に何度乗り
103初昔喪中のハガキ捨てられず
104亡き母の椅子のケットで猫となる
105ふぐ宿の風呂場の古き張戸かな
106スマホの着信音より年明くる
107ふと俳句たまはる富士の初日の出
108元朝や茶柱立ちてなほめでた
109初暦掛けて用足す初厠
110学生の会話弾むや初電車
111女生徒に席譲らるる初電車
112初稽古湯気立ちのぼる相撲部屋
113古希にして嬰抱く初湯おぼつかな
114御降りや何かいいことありさうな
115南座に屋号飛び交ふ初芝居
116字余りも字足らずもあり初句会
117四日はやバス待ち並ぶ人となり
118餅花を見上げる顔に幸が来る
119厨の灯消せば私の初昔
120年新たまぶしき光伊豆の海
121初夢は耳に棲みつく夜想曲(ノクターン)
122餅花を初めて見たのは伊豆の旅
123アルバムのページの光る初昔
124初昔体重計に何度乗り
125小正月淑気を洗ふ通り雨
126デパートの餅花触るる手と手と手
127録りためたドラマに涙初昔
128夫置いて旅に出るかと寒の雨
129タッチ・ミー餅花に背がとどきそう
130「ゆみパン」で俳句詠みたし詠めるかな
131動画とパン風穴開けた「ゆみパンTV」(字余り)
132パン食べたいつい画面観る「ゆみパンTV」(字余りw)
133パンこねる水の温度も季節読み
134場を作る笑顔を作るテーブルマナー
135ゲリラ発生誰かが観ているテーブルマナー
136上野さん充分映えるワンショット
137横浜にイレブン付けたら木之内みどり
138癖になるパンと同じで俳句でも
139イレブンと聞いたらPMつける僕
140スギ花粉鼻がムズムズかゆいのよ
141前略で初めてすぐに敬具かな
142コロナとはビールの名前と思う日々
143ロブションでみんなでご飯おごりでね
144村井さんいつもダンディー素敵です
145ゲリラマナー折田先生完璧よ
146上野さん若さの秘訣は笑顔なり
147上野さん俳句で日本を再生へ
148米谷さん今の時点で偉人です
149新しい春の嵐が新コロナ
150恐れるな春はもうすぐ桜咲く
151テーブルで自由なゲリラ折田さん
152春なのに新型コロナで冬ごもり
153このご縁感謝とともに次繋ぐ
154世の中は庭咲く水仙目を向けず
155ハッピィさん半分切れてアンハッピィ
156スマホより言葉で伝える人の道
157皆マスク俳句でつなげ心の輪
158俳句はね人の心を繋げるよ
159コロナさえ大仏さまに恐れなす
160七夕の晴れたディズニー一生モノ
161軽井沢ヤマネが宿る枯木立
162バラ一本嬉しさ夢に薫る夜
163雪が降る信濃の宿のシャンパーニュ
164桜咲く香りに惑う罪と罰
165春惜しむ三十路楽しむあと数年
166イレブンの十八日命の日
167冬の空偉人ウェーバー想いはす
168梅の花あわてずさわがずさきみだれ
169春の雲なにもさわがず下界みる
170お~いくもなにもさわがず何も語らず
171梅園や鳥は鳴きつつ飛びまわる
172 石垣に藩の刻印つくし摘む
173 雄猫の見上げた先に朧月
174 空青し今年もつぼみ老梅に
175 飛梅や菅丞相は仁左衛門
176 見送る奉仕の車に春の泥
177 河川敷茶色がなびくつくしんぼ
178 通夜の風仄かに匂う梅の花
179 春泥にはまる弟助け行く
180 新草履春泥避けて遠回り
181 梅が枝に和歌の札揺れ風の声
182 ビラ配る振り袖に梅偕楽園
183 梅の花咲いては散ってはや二十歳
184 梅見頃寒さに負けて見に行けず
185 石を除け現れし田よ春の泥
186 老犬に引かれ引かれて梅の中
187 ゴミ収集車沖へ一列涅槃西
188 天をつき花びら散らす紅き梅
189 泰平や 源兵衛咲きの 梅の園
190 別れゆく人と眺める梅の花
191 水ぬるみ取り出してみる白き帯
192 紅白に咲き乱れるや梅の花
193 結願の那古観音や梅いまだ
194 梅の香や誘われるまま深大寺
195 春泥を自ら通る雑種犬
196 光る靴 避けて通れぬ 春泥や
197 園児らと背比べする土筆かな
198 列並び 百種の梅を 飲み比べ
199 カップルも梅をバックに写真かな
200 土筆摘む子等に汽笛の小海線
201 雛飾り遠くの孫を思い出す
202 春泥やゆっくり歩くも靴汚れ
203 梅つぼみ枯れ木の中でかくれんぼ
204 あかつきにつぼみ吹き出す白き梅
205 碧き空紅蓮の梅が城燃やす
206 梅が香や恋極めたる片思ひ
207 杖二本並びて今朝の梅見かな
208 春泥や洗車してまた洗車して
209 百年の畑に一本梅残し
210 久々に立ち雛飾り幸願う
211 梅真白坂を登れば天守閣
212 枝垂れ梅スマホ近づけ撮る人よ
213 豪快な 瞬間止めた 凍滝や
214 アングルは土筆の林高き空
215 小六にゆでてたべたよつくづくし
216 梅食べて味消えぬ間に米食べる
217 枝垂れ梅香りも揺れて午後3時
218 満開の枝垂れる梅は白き滝
219 春泥の道にしゃがみて花探す
220 春泥や等間隔に杖の跡
221 梅咲いて兄の周忌に数加え
222 一夜にて全部抜かれる土筆かな
223 梅の香に想いは違う二人かな
224 八重の梅 弘道館の窓かすめ
225 一盞を傾け愛づる梅の花
226 梅の花 桜の影に 隠れがち
227 電柱を各駅停車や春の犬
228 梅の朝鴉が一羽迷いこんだ
229 袴取り夕餉に添える土筆坊
230 こなままで飛び越えれるか春泥
231 骨折の脚をいたわり梅探る
232 いちご狩り 練乳いらず 甘みあり
233 塗り立ての青きベンチや梅ふふむ
234 亡き母も喜ぶほどに梅咲きぬ
235 つくし摘む線路工夫の昼休み
236白楚楚と紅艶やかに梅の花
237しつらえへの野点に憩ふ梅二月
238白梅の黙を破りてふふみをり
239真青なる空に気球や梅ふふむ
240塗りたての青きベンチや梅ふふむ
241早よ行こよ梅見頃やで六義園
242みくじ結ふ枝にふくらむ梅の花
243梅を詠む母の一句や匂ひ立つ
244廃屋の庭に梅咲く人知れず
245車椅子の母連れ寺に梅日和
246真青なる空をいただき梅白し
247白梅の無垢より生るる香気かな
248紅梅の色香にこころ奪はるる
249受付に梅の一枝面接日
250信楽の花器に一枝梅の花
251白花や桜の開花そっとまつ
252堰がとれ流れだしたる日本語美
253散る桜ともに燃やすぞ溢れる脂肪
254はいくやのうえのたか子っててんねん
255散る桜思い出すなり失恋日
256散る桜コロナころり流れさる
257発酵でイキイキライフうまみます
258発酵で腸にちよういいプレゼント
259散る桜夜桜散歩と夫婦愛
260言霊は発酵要素で俳句かな
261 散るサクラ視聴者玉砕褒め言葉
262人会えず憎むはコロナ名残り雨
263食いしん坊もっとちょーだい名残り飴
264風よ吹け 桜吹雪に コロナ消え
265新型コロナ世界席巻春の乱
266壊れゆく日本経済春嵐
267御上より外出自粛春なのに
268春の昼テイクアウトに車列かな
269コロナ禍をよそに満開初桜
270コロナ禍に籠りを決めて大朝寝
271コロナ禍に花見かなはず花は葉に
272コロナ禍に籠る夫婦や新茶汲む
273感染の数きりもなし春愁
274遠足も無期限延期にメール来る
275入学式前後左右の二メートル
276祭といふ祭中止に出る吐息
277盛り場のネオンは点かず春の闇
278いつ終はる卯の花腐しコロナの禍
279コロナ禍に振り回されて春逝けり
280青空や風が風呼ぶ風車
281白壁に揺れる影あり柳の芽
282レジまでに並ぶ足形四月尽
283門に入る瞬間さくら色の光陰
284春惜しむネット句会にタイムラグ
285断捨離に母の日の品生き残る
286黴(かび)いとし仕舞っておいたまま駄菓子
287草むしり胸いっぱいに満たす青
288シトラスティーはつなつ活きている苦味
289作業着は濃い目オレンジ夏に入る
290秋の蝶離れない女子サッカー部
291三日月が枯れ木にかかる午前四時
292春眠にフレンチトースト浸してる
293春の雪フルフルはずの雨模様
294白詰草フランスからの緩衝材
295蕗味噌に回復の母光る頬
296夏近しふんわふんわの牛乳パン
297遅桜ホンネ出てくる散歩道
298末っ子は起きてる昼寝春の雪
299夏近し娘のシャワーやや長く
300猫の背で句帳支える春の昼
301陸と海まわす地球儀入学す
302静止する鞦韆 重力美しく
303夏空や自粛は出来ぬ白髪染め
304さの神に宴捧げず葉の桜
305待ち人を待つ人もなく初夏の駅
306歩道橋渡る人無くホトトギス
307初夏の風なびく二つの白マスク
308夏の空ステイホームの三毛と我
309プチ家出ソーダの青にさくらんぼ
310宝石の如く輝けさくらんぼ
311真ん中は 春着もお古 三姉妹
312三姉妹春着揃えて初喧嘩
313野の駅に二両電車が残す梅雨
314蛍追う君に触れたき淡き闇
315五月雨や皆雨宿り大手門
316蟻歩む肥後石の上真昼時
317一人飯こぼれし汁に蟻が寄る
318青空や風が風呼ぶ風車
319白壁に揺れる影あり柳の芽
320レジまでに並ぶ足形四月尽
321カルピスにストロー二本夏の空
322白蛇の夢は吉兆と母の言ひ
323筍の打ち捨てられし竹林かな
324朝一番北窓あけて深呼吸
325福耳の隠れる帽子入学児
326四人連れ四つのマスク同期会
327大陸の土運びけり蒙古風
328改めて仰ぎ見たるや初夏の富士
329母の日や位牌並びし三世代
330夜の帳下りてしじまに蛍来る
331蛍来てひいふうみいと吾子数ふ
332吾子数ふ五つ寝たらばお正月
333お正月めでたき朝の大背伸び
334大背伸びしている猫の四月かな
335四月馬鹿禁煙といふ二枚舌
336二枚舌使うてみたし溝浚へ
337溝浚へ説明長き自治会長
338自治会長吟醸酒提げ年忘れ
339年忘れ二次会までは誘はれず
340誘はれぬままに年越す無尽講
341無尽講や濡れ手で粟の伊勢参り
342伊勢参りおかげ横丁寄らいでか
343寄らいでか義士の日ならば泉岳寺
344泉岳寺香煙ひときは大石忌
345大石忌一力茶屋に野点かな
346野点して華やぐ庭や花衣
347菜の花の 苦味あじわい 歩み出す
348霞む世界 我の輪郭 告ぐ白雨
349二月尽裏紙切る音響く朝
350ボランティア集合場所に春一番
351朝もやは小雨に消えて旅の窓
352浅き春黒猫の目にエメラルド
353春の雨まずは針箱ひっくり返す
354一粒のふっくらふくらむ春の雨
355雨上がり樹を見て樹を描くみどりの日
356夏に入る線路工事は大き声
357梅雨晴れ間『種まく人』を鑑る授業
358いかだ漕ぐ瞳はまるでトムソーヤ
359炎天と書けば白さが増す句帳
360氷菓にも流行り廃りのある平和
361パリンパリン鼓膜よろこぶサクランボ
362秋立つ日マグマは海に沈みゆく
363ポケットに何か隠して黒コート
364涼新た猫のまつ毛は猫の色
365避難所に隠す猫聴くもがり笛
366重ね着し素肌にここちよい外気
367天高し路面電車は猫の柄
368寝転べば雲に届いている噴水
369平和とは割ったスイカを分けること
370夏の風ただ穏やかに吹けば良い
371夏の雲 兵士と呼ばれ 19歳
372終戦忌あなたが負けたわけじゃない
373何もかも無くしたような夏の夜
374気をつけて魔法の言葉 夏の朝
375指先の絆創膏に落ちる汗
376飲みかけのカクテルふたつ夕陽色
377材木座テラスの向こう波高し
378梅雨の昼ピアノに道草パランパラン
379夏早朝群れをはなれて二羽の鳩
380バスの窓止まれば夏雲動いてる
381母の日の「ありがとう」こそ感動詞
382小児科のクーラー泣き声オルゴール
383灼熱の夏帽靴下はがし取る
384鉄のドア隙間で待機する炎天
385サングラス隔てて瞳みな素直
386匿名になれない地球サングラス
387二秒だけセピアの世界サングラス
388年金になりても減せずお年玉
389かの人の旧姓添へて賀状来る
390万葉の仮名たおやかに筆始
391恵方より佳人来たりて妻となす
392日脚伸ぶ猫の帰宅も遅くなり
393いぢめつ子いぢめられし子卒業す
394乙姫の置き忘れかも桜貝
395春炬燵母の居さうな一周忌
396いつ終はる卯の花腐し介護の日
397飛魚を追うて飛魚跳びにけり
398初夏の夜や東京都庁真つ赤か
399十薬の臭ひと帰宅スニーカー
400アンパンマン握りしままに昼寝の子
401風と来て風と去りゆく揚羽蝶
402被災地へダンプ行き交ふ日の盛
403地蔵盆あの子どこの子見かけぬ子
404大津絵の鬼も眼を剥く熱帯夜
405熱帯夜効かぬ睡眠導入剤
406西瓜割るつもりが地球叩きけり
407天の川逢ひたき人のゐるところ
408AIつて誰のことやと生身魂
409恋一つ失くして終はる風の盆
410トワエモアの歌ふと口に秋の海
411てやんでえなにがめでたい敬老日
412コスモスへ少女は入りて触れたがる
413嫁ぎ先決まる娘や菊日和
414特養の母の窓辺に小鳥来る
425春が来て家族が増えて華が咲く
426花の色色とりどりに季節染め
427蒸し暑さ季節感じる自然のノック
428ウィズコロナマスクもそろそろ衣替え
429子のころは夜店の列に傷痍軍人
430八月十五日検印はがき読み直す
431記念日を共に歩みぬ夏帽子
432夕暮れの青き瀬音や桜桃忌
433ぺデキ?アの波ともつれる素足かな
434夏落葉かそけき声の風の私語
435こころざし高く咲かせて桐の花
436日焼子の髪は亜麻色日の匂ひ
437白百合の白にかしずく夕日かな
438手を繋ぎ花野歩いた記念の日
439いちまいの海を眼下に生身魂
440江ノ島に立てば磯の香鱗雲
441サングラス空色リュック買ひにけり
442サングラス夫と子供を遠ざける
443サングラス尾崎豊の「I LOVE YOU」
444風鈴の又揺すつては吊るしけり
445ひるがえる奥は真暗き麻のれん
446菩提寺の朝日さす池花蓮
447吹かぬまま仕舞う法被と祭笛
448夏座敷風に捲れる旅冊子
449絵手紙の山の切手やレモン水
450知らんやろ恋の蛍は一直線
451コロナ禍で 春の夜長の オンライン
452100年に 手合わせ誓う 彼岸かな
453出番なき旅行鞄や風青し
454白靴や世界は遠くなりにけり
455髪洗う別れの言葉繰り返し
456朝焼けを吸えば色濃く古代蓮
457雪風に乗った少年夏語る
458カレンダー 真白のままで夏に入る
459松風(しょうふう)に耳をすませば夏椿
460名盤の針を落として星月夜
461夏椿心配症でせっかちで
462さくらんぼ添えて昭和のプリンかな
463百花より母住む里の秋の山
464雲の峰蔵立ち並ぶ小江戸かな
465無人駅降りれば香る夏の海
466一礼し少年の夏終わりけり
468五月雨や彫りの薄れし磨崖仏
469休校の続くグランド夏はじめ
470ふっくらと初夏の匂いの干し布団
471母の日や位牌の裏の広き闇
472はつなつの青空広く洗い立て
473追ひかけてやんちや坊主の髪洗ふ
474ひらかなのつの字のの字に螢飛び
475入梅や川の匂ひの濃くなりぬ
476鬼決めのじゃんけんの声梅雨晴れ間
477ママチャリを飛ばす少年走り梅雨
478梅雨の闇一輪白き花灯し
479半袖を軽やかに抜く初夏の風
480漂泊の俳人初夏の風に立つ
481宇宙まで抜ける群青日和かな
482格子戸に夢二の女や恋蛍
483校庭に足跡置いて梅雨の傘
484夏空に音尖らせて救急車
485入梅や往還ありしファンレター
486コンバイン道をふさぎて麦の秋
487用水に洗う田靴や夕蛍
488子らの声消えし静寂走り梅雨
489わが庵に海より届く初夏の風
490カルピスにストロー二本夏の空
491頂に雲一つなき初夏の富士
492母の日の妻にしたがひ家事こなす
493葉桜や宮崎駿の白き雲
494母の日の来るたび妣の恋しけり
495初夏や水脈一筋に島へ向く
496初夏や空へ真直ぐに線路伸び
497母の日に亡き母の味草団子
498長雨の僅かな隙間蝉しぐれ
499百選の水ぞよほたるほうたる来い
500玄関に群れる長靴梅雨の雷
501野の駅に二両電車が残す梅雨
502特攻兵蛍となりて光りけり
503漂泊の俳人初夏の風に立つ
504夏めくや海軍カレー特売日
505梅雨晴間瀬音高まる三千院
506手をつなぐ哲学の道蛍の夜
507青梅雨に昏るる青山通りかな
508鏡見て髪撫でつける梅雨の朝
509降りに降り乾く間もなし梅雨の傘
510蛍追う君に触れたき淡き闇
511飯盒の蓋黒々と時鳥
512ほうたるの恋始まれり椿山荘
513車椅子の車輪の軋み梅雨の昼
514梅雨空を避けて蝦夷地へ独り旅
515師に傘を差し向けし日や梅雨の入
516拳玉もエクササイズよ梅雨に入る
517たまゆらの命光らす蛍かな
518命日や蛍となりて姉来る
519金髪に染めて闊歩よ初夏の風
520初夏や娘のシャワーやや長く
521母の日やつかれし顔の小さくなる
523初夏や白檀香る四畳半
524母の日の母に供ふる般若湯
525母の日や大丈夫よと電話口
526悠然と初夏の草食む仔馬かな
527パキパキと三つに畳む日傘かな
528初夏や風やわらかに頬撫でる
529母の日や位牌並びし三世代
530母の日も母は厨に立ちにけり
531何色に今朝は咲きしか七変化
532朝顔を数へてけふの始まれり
533車窓よりつづく野山の錦かな
534湯の町の川を疾せり雪解水
535爽やかや勝者敗者が握手して
536粋すぢも華添へ鏡開きかな
537隅田川へ散りぬるをわか花惜しむ
538耳成が笑へば畝傍香具笑ふ
539うみやまの匂ひも包み袋掛
540もみづるやバスの列行くいろは坂
541母にある鬼灯鳴らす極意かな
542果樹園にはしやぐ園児や秋うらら
543古希の身に気力新たや初御空
544取れ立てをサラダ仕立てに夏野菜
545ちやうねん涙ちやうねん汗やねん
546濃く淡く銀座を包む夜霧かな
547落葉踏む犬も後れて落葉踏む
548賀状書く悪筆乍ら然り乍ら
549北風の窓打つ音に目覚めけり
550去年今年境を分かつ鐘響動む
551寅さん似の人浅草に年の市
552存へて父特養に老いの春
553白梅の無垢より香気生まれけり
554鼻声でニュース読むアナ春の風邪
555独り身の癇にさはるぞ猫の恋
556面接の質疑踏絵と思ふべし
557島ぬちの春まだ浅き礼文かな
558憲法記念日母校に集ふゼミ仲間
559今宵また蚊に献血をしたまへり
560雪催今宵は鍋と決めにけり
561酒五合けふの良夜を使ひ切る
562よべの雨いつしか雪に今朝の庭
563風花の現れてはすぐに果てにけり
564初稽古はちまき凛々し豆剣士
565神さぶる初日出づるや夫婦岩
566鳴きやうのどこか言祝ぐ初鴉
567参道を行き交ふ晴れ着淑気満つ
568初場所の太鼓高鳴る隅田川
569春泥のままに置かるる耕運機
570盆梅の一つ一つの矜持かな
571母から子子から孫へと古雛
572球場をまるごと洗う大夕立
573しやんぼん玉屋根に届かず爆ぜにけり
574ラーメンの湯気立つ屋台冬銀河
575控へ目に客をもてなす麦茶かな
576穴まどひ娑婆に未練か動かざり
577職辞して骨の髄まで朝寝かな
578紫陽花や靄の中なる羅漢像
579餌を欲しと軒の子つばめ四重奏
580ダービー馬北の大地に余生かな
581雪晴や湯気立ちのぼる大藁屋
582逆上がり出来たと孫の夏見舞
583海暮れて瑠璃と耀ふ蛍烏賊
584膝に来て猫もするなり夕端居
585ケーキ買ひおひとりさまの聖夜かな
586不都合な話を咳で止めにけり
587権禰宜は有給休暇神の留守
588母の日や小町と言はれし母の皺
589春の蝶花から花へくちづけて
590世間の目おのが目隠しサングラス
591白昼の地軸ずれたる暑さかな
592草刈や丸き背中の並びをり
593蝸牛閉ぢたる扉すぐ開けよ
594立葵見たのち背伸びしたくなり
595ボストンまで行ってきたよなこのバッグ
596焼葱のうまさ知らずが酒の友
597髪染めて七度目祝う年女
598伝統の枝松守る縄冬支度
599伊勢海老のひげの飛び出す祝重
600鬼やらいとほく懐かし亡夫ツマの声
601ゆき逢うてへだてる川の花ぐもり
602散歩道桑摘唄がありありと
603サクランボ娘のバースデイ豪華版
604大夕焼け一天ひろげ富士を見せ
605自粛時ふらこゝだけが揺れている
606縁側に孫の足ならぶ柏餅
607柏餅つくりて急ぐ実家の道
608左前浴衣姿の孫を見上げ
609日傘閉じ挨拶したが知らぬ人
610農機具も洗って供える十三夜
611新緑と光と風と子らの声
612新緑や病みし都会に鳥は飛ぶ
613街暮れて白を極めるクレマチス
614花茣蓙に弱りし猫を撫でている
615伽羅蕗やモノクロ写真若き父
616亀鳴くやペットボトルの蓋開かぬ
617不要不急ここそこ軽い種袋
618ばあちゃんの手縫いのマスク入学す
619紫陽花や筋肉貯金減っていく
620百合開く聞こえぬふりも悪くない
621夏つばめ人影稀な池袋
622のうぜんの蔦にからまる路地の風
623梅雨寒や背中合わせの駅の椅子
624信濃路の雨細やかに春惜しむ
625句作りに思考煙れる遠花火
626植田風縦横斜め通り抜け
627洪水に百枚の田の一面に
628収束のコロナのままの夏休み
629旋回のヘリコプターや大洪水
630つゆ草の二弁の花やしおらしく
631枝豆やふるさと便の箱にあり
632ゴーヤ実り天まで届く構えして
633増水に流されつつtも蛇のわたる
634酒に酔い画面にも酔い夏の夜
635白南風や斜めに座るカフェテリア
636夏の夜ZOOM会議は猫自慢
637淋しさの延長線や夏は来ぬ
638タピオカの行列長し終戦日
639だし巻きのほんのり苦い夏の朝
640枝豆のぶくぶく浸かる銀の鍋
641夏の朝ギター奏でるMYレンジ
642君が映るまでのビール画面越し
643豪徳寺駅に寺無し夏紅葉
644赤蜻蛉石と静かに哲学日和
645嬉しさの寂しさの数牡丹雪
646捩り花可憐な嘘がとまらない
647漂ってさ迷って魔がさして五月
648最終章綴った指先から螢
649梅雨晴れ間手づくりランチテレワーク
650そうめんに青紫蘇がいゝステイホーム
651夏野菜ほど遠くなる道の駅
652炎暑かな頬張り喰う塩むすび
653朝窓のわが目射返に露一つ
654初夏の居間煩悩だけが湧いてくる
655夏の朝三毛猫二ひきパトロール
656蚕豆のアミ焼きの味八十路
657テレワークの娘も交え冷やしそば
658遠き人遠きふるさと盆の月
659緑陰にポツンポツンと憩う人
660凛として桔梗の花よ何思う
661無機質な真夏のかけらキリコの絵
662守宮居て梅干し作りに力はいる
663一列の落ちむばかりの棹の露
664梅雨晴れに雨傘の波マスクの子
665熟れ加減メロンの香り厚切りに
666遠くから下駄の歯音や阿波踊り
667補聴器の雑音の間蝉の声
668ヴエネチアのだあれもいない舟遊び
669どくだみの白花も風とライブす
670病む人の断捨離悲し極暑かな
671ひきこもるコロナ太りや秋近し
672去り夏の肌の記憶もうすらいで
673椎木の萌え木青空パステル画
674結局はハグの苦手な金魚玉
675ママチャリのタイやへこんで膝笑う
676一刀両断西瓜をさばく孫の腕
677自粛中手足もがれ盆迎え
678衣更リサイクルです紙袋
679詐欺に遭い友の告白夏の夜
680図書館の予約一冊黴臭う
681金亀子起き上がれずに階段に
682静けさや点滴落ちる夏の夜
683歩道橋泰山木の漂う香
684赤い夏青い地球は熟してる
685おくれ毛がうなじにふれて草いきれ
686誰彼にあって愛の巣衣更
687凌霄花蕾で落ちてもの哀れ
688解体の工事も進み汗の人
689勝負メシ梅雨空抜けて駒おどる
690亡夫参るてふに変身会いに来た
691笑顔待つ胡瓜販売和むとき
692恋をしてまたも恋して蛇の穴
693二百六十憶円アベノマスクで月見かな
694ミニトマト雨の滴がイヤリング
695炎昼に老僧が説く閑話聴く
696再会はまだ先だけど四葩咲く
697空にいる人待っている盆踊り
698盂蘭盆の迎え送り火父母想い
699いつからか恋の始まり髪洗う
700虎杖を味噌で食した山の道
701また一つカタカナ語増え半夏生
702織姫や揃いマスクで泣き別れ
703すだれかけ風流なりし風薫る
704梅雨最中茄子の紫怪しい美
705夏空を割って感謝の雲を引く
706手抜きして皮をむかずに唐黍焼く
707靑時雨帰れない故郷ただ祈る
708天秤に預けた命半夏雨
709ふるさとはなく巾着茄子の塩加減
710ガウディの曲線伸びる日の盛
711コロナ禍の筋書き読めぬ安居かな
712オニヤンマ父かも知れぬ母連れて
713コロナ何色切子グラスと冷し酒
714休日のワイン饒舌だだちゃ豆
715容赦なく嘘をつめ込む冷蔵庫
716逢えぬ日は雨が降ります花茗荷
717蚊遣香新日常をくゆらせる
718麦こがし昭和平成生きのびて
719ふるさとを皮膚で感じる素足かな
720夏雲や軽ろき柩を海に向け
721夏期講座「江戸のウイルス」特に性
722天国へ寝返りしたる昼寝かな
723原爆忌草間彌生の紅い玉
724浅漬けのなす各々(おのおの)の酒と古き友
725初海や小さな足と泣き顔と
726縁側にスイカの種と笑い声
727頬染める浴衣姿に汗にじむ
728連山の端に掛けたりハンモック
729七色をじっと見つめて瑠璃蜥蜴
730かずら橋渡るどこからか風鈴
731冷奴もつれた糸をふっと切る
732宵闇を描き切れずに茄子植える
738またひとつ 増えし蝉穴 曇り空
739黄に染めし 初夏の想い出 サブマリン
740静かなる 夜道を照らす 月ひとつ
741ススキ揺れ 光を受けて 風の波
742蝉時雨 命の声を 受けて観る
743蜻蛉舞う 田畑に里に 水の音
744能登の空 棚田に映る 光あり
745細き道 奥まで行けば 海に月
746舞い散りぬ 桜はらはら 水面へと
747桃の実の たわわに実り 空青し
748幽玄の 月の明かりに 藤の花
749凛として 咲きし一輪 梅の花
750参道を起伏自在や夏つばめ
751三蜜で咲き競い合う金魚草
752汗の味知って男の貌になり
753側溝へ空蝉運ぶ通り雨
754屋敷跡池畔飾るや半夏生
755819(はちいちきゅう)夏も奇数は陽の数
756星祭りせめて星型つけ合わせ
757よく冷えた白玉打ち解ける心
758リモートの言葉行き交う夏の果て
759深く澄むギターの音色夏の雨
760雲の峰十七歳の新棋聖
761今緑道昔は暗渠(あんきょ)白菖蒲
762一房ずつ包み木苺守る家
763オンライン授業梅雨明けこばむ空
764幸福にみたて香水友にふる
765衿元に女子力込めて藍浴衣
766激動に日常ありて終戦日
767百歳を送る火葬場七日蝉
768かき氷三合目から友の匙
769やさしさを言葉にできぬ仏桑花
770パチンコを止められた夏90歳
771見送るという定めなり含羞草
772夏帯や背筋の伸びし老夫婦
773ひとり寝のソファーに落ちる木下闇
774白柘榴かしづく銀座一丁目
775愛せど何もない丸ノ内の夏
776蝉しぐれ牧に隣るるジェラード屋
777右折レーン風立ち止まる炎天下
778屋上に上半分の大花火
779エコバック入らぬ西瓜を買ひにけり
780八月の空ひとはなれて並びをり
781マスクして口もとほてる盛夏かな
782冷風(すずかぜ)と乳色(ちちいろ)の空陽(ひ)を恋(こい)せ
783晴れの雨キツネの嫁入り虹祝う
784愛用の自転車手放す秋の蝶
785リリカルの意味情緒的ソーダ水
786幼な子がかむろ坂ゆく木下闇
787秋うらら日帰り研修旅気分
788会話にも檸檬のばくだんそっと置く
789秋暑し電話相談に吠える犬
790絵筆置くたびに深まる秋の色
791枯れ草にしぶといまでの温みある
792待つ人の翼に見えるうろこ雲
793ハンモック揺らし我が身の量(かさ)計る
794避暑の地に紫陽花淡い青保つ
795帽子追う吾子も呑み込む緑かな
796義弟(おとうと)の縁談に沸く秋座敷
797ステイホームあちこち磨き光る風
798マイバック窮屈そうに西瓜居て
799玄関に一つ置かれし大西瓜
800おつかいや一番重き西瓜抱く
801茶の間にてドンと客待つ大西瓜
802銀河より伝言有や猫の耳
803御来光砂走親子で手つなぐ
804盆休み大島帰れぬ東京都
805日陰より出で来る人の日傘かな
806黒揚羽花探しつつ飛び去りぬ
807過ぎし日の旅の思ひ出団扇風
808崖下の高きしぶきや夏の潮
809冷奴独りの酒によく似合ふ
810雨に濡れ幹つやつやと百日紅
811夏まじか 梅雨(つゆ)をおしむか 井の頭
812ごしちご(575)に 想いをこめる 命の美
813ローにより 脂肪ファイア 肌グッド
814ローにより 食べて美を得る スイーツで
815褒めあって 人も世界も 丸くなり
816折り紙が織りなす世界 日本の美
817苦難経て 新たな姿 穴守に
818異国にて 桜が魅せる 日本の優
819堰はずれ 流れだしたる 日本語美
820白花や 桜の開花 そっとまつ
821春の夕 笑い合う声 幸をよぶ
822ひまわりや見上げれば目に汗痛し
823初デートアイスに刺さるサジふたつ
824かき氷こめかみおさえ笑う君
825街灯に虫手を振る二人
826冷房と窓からの風混じるバス
827夏草や世間話はわからない
828簡素化に3蜜避けて西瓜割る
829水を打つコロナ禍だけに神だのみ
830風鈴の音色に君子豹変す
831日傘さし陽性反応らしくなる
832梅雨明けて心も踊る朝光り
833八十の母のほころぶ蓮の池