★2019年度8・19俳句記念日お申込みはこちら
2019年度8・19俳句記念日ご応募一覧
1こうのとり蘇る里雲の峰
2はやぶさ2龍宮に着く夏の夜
3俳句とは 我も気付かぬ 胸の内
4剥くほどに梨のいのちのみづみづし
5避難所の生後二か月天花粉
6猪のいのちいただく山の宿
7白菊に埋もり一つのいのち終ふ
8言の葉にいのち吹きこむ初句会
9長き夜や妣の息吹の句集読む
10風花の儚きいのち掌に果てり
11啓蟄や生きとし生けるもの息吹く
12病葉や余命三月の兄見舞ふ
13誕生日孫に祝はれ十月尽
14ハロウインや彼氏を連れて孫娘
15筆先に顏浮かべつつ賀状書く
16雑踏や葱飛び出たるエコバッグ
17待ちわびるポストの下に初氷
18子に与ふ白やはらかき鍋の葱
19明日からは何の工事かネギ畑
20シャンソンの余韻と共に冬至粥
21紅を引く指より匂ふ一文字
22煤逃げや泣ひて笑つて落語果つ
23張りぼての鬼山門に二月来る
24年の豆二桁足して食べにけり
25冬の星おちて銀貨になる童話
26フエルトの天使聖夜の指人形
27初氷そっと掬って透かす空
28差し入れの葱の皮むき寮の夕
29徹夜明け目に沁む隣家の葱畑
30風見鶏示す彼方を恵方とす
31行先を恵方にかえてゼミ旅行
32鬼の豆妻うつぷんをはらすごと
33お隣のをさな子撒くや鬼はちょと
34撒くごとに猫追ひかくる年の豆
35一番に猫のおでかけ春立つ日
36吾輩の猫も恋する二月かな
37時と場所憚りもなき猫の恋
38にらみ合ひやがてすり寄る恋の猫
39今宵また屋根を修羅場に恋の猫
40屋根瓦乱して激し猫の恋
41飼ひ猫の恋にやつるる二月かな
42膝の猫聞耳立つる二月かな
43恋猫の屋根を賑はす夜会かな
44出発の喉を潤し味覚糖
45春彼岸墓石に宿り親ガラス
46水芭蕉流れ清める女神かな
47ロゼワイングラスに浮かぶ八ヶ岳
48守られて山盧と共に松竹梅
49旅終わる中央高速夢のあと
50風光る北へ出発バスの旅
51白富士や天地やわらぐ春彼岸
52水芭蕉みどりの翼巻きとりて
53うららかやワインに透ける甲斐の峯
54四方の春山盧の池に鯉の影
55桃源郷車窓に愛でて終わる旅
56青々と春日の空に出発す
57贈り合うポストカードや春彼岸
58水芭蕉遠き空へと開きけり
59山白く峰を映せるロゼと赤
60あたたかし山盧の松の年月よ
61山桜おもいでとなり旅終わる
62春浅し出発の時悲喜なかば
63問わずとも畔咲きそめる彼岸花
64山路来て誰が為に咲く水芭蕉
65春うららワインの里の俳句三昧
66甲斐の路蛇笏の山盧春の夢
67暮れ泥む旅の終わりは春の宵
68出発の青き空には桜花
69我母の彼岸の月日六十年
70手にふれる近きに咲きしみずばしょう
71雪残る山をさかなにワインかな
72満開の白き辛夷の山盧かな
73初参加楽しき俳句旅終わる
74暮るるとも堤は暮れず花あかり
75文人の泊まりし宿や花あかり
76至福かな佳人と歩く花あかり
77飛火野の果てなき広さ青き踏む
78山腹の先祖の墓へ青き踏む
79火葬場に父を抱いて初桜
80塾帰り 子らを守るは 花あかり
81花あかり 夢のあとさき 目黒川
82青き踏む 地球とつながる 誕生日
83公園の 防犯係 花あかり
84老夫婦 家路見送る 花あかり
85一歩ずつ確かめる様二月尽
86何か始めたくなる朝水温む
87リラ冷の今朝は紅茶にシナモンを
88スーパームーン外に集ひて水温む
89初音という言葉ときめく街歩き
90誘惑の鶯餅は後一個
91窓越しに音なく散って花吹雪
92落椿いまさらの陽を浴びてをり
93紫の夕暮れに透け紫木蓮
94たんぽぽはみんないつのまにか綿毛
95卒業や転校多き孫息子
96古里に八百屋一軒春彼岸
97石ころと一年生と蝌蚪の群
98蛇の目傘そとひとふりに春袷
99故郷や幼馴染みと花見酒
100花冷えや友とカラオケ熱き夜
101タンポポや足止め覗く畦道よ
102近況を恩師に送る花便り
103草餅を供えて季節巡り来る
104平成の御世惜しむかに残り花
105花吹雪名残惜しむや君が代を
106ひとり居の机上に挿した桜花(はな)あかり
107鍔広に風孕ませて青き踏む
108夫と立つ桜吹雪のただなかに
109野遊びの帽子おシャツも日の匂ひ
110忘れ潮腕まくりして磯遊び
111故郷の風を封書に仏生会
112春暁のひかりを揺らす鳥の影
113安曇野の桃咲く郷やシュトラウス
114登り来てニンフのやうな余花と逢ふ
115晴れた日はカナリア色の春を着る
116花筏悩みを全て連れ去りぬ
117アンニュイの日々穏やかに我老いる
118春一番そっと我が背を抱きよせる
119おしゃべりに夢中車窓は麦の秋
120美しき廃炉の時代青葉若葉
121平成も令和も雨のあと緑
122磨きたる護衛のバイク光る風
123これやこの第一ティアラ聖五月
124天指してたわわに競う白菖蒲
125親探す双子の仔猫みどりの日
126麦の秋引退試合は格上と
127ランナーに道譲るお忍び花見
128白靴を月星のもと干し眠る
129柿若葉家族見守る脈の数
130初五月迎えし孫の幸ねがう
131古と今日とをつなぐ令和膳
132天空へ 届けと伸びる カキツバタ
133朧月八坂の塔に影落とし
134瀬戸内に船の足跡夏の白
135夕涼み鼻緒を挿(す)げて一乗寺
136米を炊く母の背 逞(たくま)し敗戦日
137瀬戸内は空も畑もみかん色
138風化せず言葉にもせず終戦日
139玉音の後(のち)の夕餉(ゆうげ)の割烹着
140流れ星君住む街に朝は来て
141夏疾風(なつはやて)嵐を呼ぶかグラウンド
142バイク旅宇治の緑に丘くねる
143庭園の「富士の方角」ただみどり
144夏に入るボートの水脈にある虚像
145沈む陽の力で照らされる緑
146赤坂の麦酒まばゆくたそがれる
147貸ボート水面の夏の雲に漕ぐ
148筍や土の香も貰ひけり
149真つ直ぐに鳥の足跡磯遊び
150若緑定時帝国犬散歩
151浜に出て裸足に風のまとひけり
152パパママと手つなぎジャンプ春夕焼
153藍商の玄関三つ春の風
154新樹光一つベンチに老夫婦
155台風裡和気藹藹の句座にゐる
156風船とぴょんぴょん跳ねる女の子
157玉葱の自慢に及ぶ同窓会
158おしなべて麦わら並ぶ保育園
159打ち水を避けてカラコロ先斗町
160三条の橋の向こうのビアホール
161鴨川の納涼床でボンジュール
162たらちねの母が伝えし梅しごと
163テラス席主(あるじ)忘れた日傘かな
164お下がりの浴衣ちくちく裾合わせ
165叡電(えいでん)のカーブも楽し夏紅葉
166折り返すあっという間の文月(ふづき)かな
167ソイラテとタピオカミルク夏を飲む
168私には私の人生鳳仙花
169手をつなぐひまわり畑迷路かな
170折り返す人生悟り佛桑花
171淋しさを紛らす朝よ梅仕事
172天の川父は会えたかヘミングウェイ
173素麺のピンク一本気分上げ
174麺つゆと麦茶間違え一気飲み
175令和なる時代は知らず猫の恋
176袖の露バスを見送り百日紅
177夏旅の支度うらやむ膝の猫
178しずけさや炎(ほむら)たつほど山つつじ
179少年の眉一文字緑さす
180陽炎へ走りゆくバス膨らみて
181恋猫の暗夜行路とかけめぐる
182若竹の十二単の竹そよぐ
183蓮の花眺めるウエディングフェアー
184わた雲の流れ流れて蓮の花
185短か夜(みじかよ)や父の命日手を合わせ
186引っ越しの朝の紫陽花涙雨
187江ノ島を称える夕陽西の空
188江ノ電の紫陽花まるでアニメーション
189妊婦服これで最後の夏祭り
190海開き新し波に足すくめ
191恩人はここに眠るや赤とんぼ
192故郷(ふるさと)が出来た息子に今年米(ことしまい)
193薄暮なる高尾の山は泡美味し
194出席の葉書照らして月涼し
195蜩に迎えられたる山の宿
196眠れずにふさんのたぬき短き夜
197いたずらが過ぎて鰻やごんぎつね
198野良猫も洗濯日和花むくげ
199老いの手に赤きマニュキア海の日や
200夏木立夕日に深く影を置く
201野にありて美男葛は日を弾く
202闇に浮く光冷たき誘蛾灯
203お台場の風に帆となる日傘かな
204咲きのぼる躑躅に染まる根津神社
205動くもの無き萍のガラス鉢
206ゆすら梅ショートカットの中学生
207夏椿零して行きし傘の人
208立葵通る人なき青信号
209はじまりは白シャツの釦をつけただけ
210八朔(はっさく)やうちは舞妓や割れしのぶ
211叡電(えいでん)をよぎる夏風貴船から
212強がりの一人旅かな詩仙堂
213かき氷整理番号500番
214山桜景色拝借天龍寺
215思い出を辿るドライブ夏葉山
216臨月にセロリむさぼりトド眠る
217神の島久高に降りし暁月夜(あかつきよ)
218黙祷に魂鎮め甲子園
219兵(つわもの)が見上げ茜の空に母
220合唱の洩れ来る窓に紅薔薇
221いかずちの閃光走る昼の闇
222音たてて氷のまはるグラスかな
223名に惹かれ買ふた私の額の花
224子に着せる黄色の帯と藍浴衣
225恋すてふ噂飛び交ふ万愚節
226春の湖一艘二艘恋乗せて
227啓蟄や老人ホームに恋芽生ゆ
228朧夜や結界越ゆる恋ごころ
229一線を越えさうになり朧の夜
230別れても残り香部屋に二輪草
231長梅雨や恋に破れてひきこもる
232鵜飼終ふ胸の篝火消へぬまま
233初恋の人は子を連れ盆踊
234君来るを校門に待つ休暇明け
235七夕や思ひしたたむ短冊に
236みちゆきの恋路ヶ浜や星涼し
237祇園会に見初めしひとを妻となし
238ハンカチを贈つて恋にけじめかな
239ふたりして波追い駆くる夏の果て
240くちづけて恋に落ちたる花野かな
241若き日の恋偲ばるる風の盆
242露ぶける窓に「好きよ」と書いてみる
243満月やきみはいずこに誰と見ゆ
244恋ふ人と距離を縮むる良夜かな
245恋ふ人のうなじにそつと薄の穂
246恋文を書いては棄つる夜長かな
247かの人は嫁して他国へ秋黴雨
248かの人は移ろひやすし秋の空
249いつ君は気が変はるかも秋の風
250逝く秋と実らぬ恋を送りけり
251行く秋や叶はぬ恋をたちつてと
252秋風とともに去りけり淡き恋
253恋失くしものみなむなし秋の暮
254みちくさの恋してきみは帰り花
255雪の玉気を引きたくてわざと投げ
256着ぶくれて乗り合はせたる恋敵
257寄鍋をつつく間となりにけり
258君待つや霙まじりの駅ホーム
259惜春のコーヒー角砂糖ひとつ
260風鈴や風やみ生るる生るる風
261すぼめたる日傘の先の日影かな
262ボート止め二人の空になりにけり
263少年のやふターザンのやふ実梅もぐ
264光る風追ひ超したくてペタル踏む
265遠花火乱れしままの夫婦下駄
266梅雨めきの連敗救うトラ打線
267梅雨最中湿布張り替えウォーキング
268紫陽花に天気訊ねて傘を取る
269つばめの子階段下り同目線
270梅雨入りや予定見比べ思案する
271撮らえたりスーパームーン我がカメラ
272やわらかな風に香るよ梅コース
273梅雨払い虎のバットは空を切る
274人ごみや桜と馬券風に舞う
275ゆっくりと左右流れる銀杏の樹
276ひまわりが笑顔振り撒く村起こし
277都へと繋げその糧リオの夏
278元気よく朝ドラバトル蝉時雨
271撮らえたりスーパームーン我がカメラ
272やわらかな風に香るよ梅コース
273梅雨払い虎のバットは空を切る
274人ごみや桜と馬券風に舞う
275ゆっくりと左右流れる銀杏の樹
276ひまわりが笑顔振り撒く村起こし
277都へと繋げその糧リオの夏
278元気よく朝ドラバトル蝉時雨
279秋の夜は止まらぬハシゴ酒祭り
280コスモスやショパンに揺れる夢心
281宿の友お月見団子スマホから
282スタッフが折れ牙拾う土に秋
283強者や札束積んでいざ月へ
284名月や友の手料理肥える身よ
285秋晴れや噴煙仰ぎ友と酒
286亡き父へ息吹届けと茶葉の秋
287古札や値打ち話で更ける秋
288秋天へ龍昇りゆく股覗き
289縄張りの窓に寄り添う白ヤモリ
290初守り今夜のTOTOはビッグ成り
291初手水元号運ぶ五十鈴川
292春の日や新元号に託す幸
293いいね押す熱い投稿雪の朝
294おめでとう氷に舞った金と銀
295花見より憧れハワイ空の旅
296草餅を供えて季節巡り来る
297歓声に乙女が燃える桜花賞
298閑古鳥我が故郷に鳴く春や
299叩く窓五月の空へベル響き
300富士尾根になんと意地悪春嵐
301蛍火を追って想いの広がりぬ
302柿若葉風に小さき実をあずけ
303ノートトルダム塔燃え落つる春の闇
304糸とんぼ葉におき手紙消えゆけり
305雀の子箒の先をつつきけり
306陽避けうち風になき声端居かな
307宿題はまだカナカナと蜩(ひぐらし)に
3088月の一番長い日に産まれ
309富士の水何億年の時を積み
310座布団を並べ午睡の夏座敷
311三毛の手の丸み愛しや夕涼み
312おしなべて鵜飼哀しや長良川
313白蓮の天女迎えて東慶寺
314大賀ハス縁(ゆかり)は府中隣町
315母作るおそろいワンピ夏旅行
316気をつけて魔法の言葉夏の朝
317夏やせと希望の重さに冷やっこ
318定年や独り場末の冷し酒
319ふるさとは雲のあなたに母子草
320老鶯や寺のつまりの芭蕉句碑
321蛍狩浅瀬のかみに誘われて
322風鈴や小波ゆらぐ心字池
323中空の鳶の輪ひろぐ海水浴
324釣忍京の町家の杉手桶
325虎落笛短波放送受信中
326天の川見つめてをれば光る星
327鴉とて母恋しかろ夕焼雲
328重陽を 重ねてすでに 八十路過ぐ
329孫“源氏”吾“日の名残り”読む炬燵
330紫陽花をゆっくり避けて車椅子
331七夕やヘボ碁敵と茶碗酒
332コーヒーとタペストリーと音楽と
333真白なる大きハンカチ差し出さる
334雲見上げ雫待ちわび額の花
335萼の花目に飛び込むや色赤く
336商店街夕日散らばる稲光
337引越しのトラック送り額の花
338額の花明日は解体工事の日
339窓辺にて空見上ぐ猫額の花
340髪切って梅雨の無聊を晴らしをり
341雷や長く眩しく地に届く
342蓮の池覗く親子の影法師
343山紫陽花の柔らかき色稚児の顔
344遠雷とサイレンの音の静けさよ
345バス停のベンチ先客額の花
346雷鳴に負けず張り上ぐ「面!」の声
347額の花花火のごとし散りにけり
348雷光と音の間で距離数え
349爪立てば匂ひしたたる夏みかん
350誕生日あじさい桃いろ桜いろ
351遠雷や骨切りの音厨に響き
352曇り空出番今かと額の花
353さくらんぼ茶房に落ちる砂時計
354ゆふくれの眠り始めた未草
355さみだるる尾広げ恋う孔雀かな
356雷雨来て『マクベス』の魔女踊る様
357爆音の稲妻光る峠越え
358額の花旧交あたため立ち話
359ガタゴトと一両編成額の花
360のぞき込む雨戸のすき間稲光
361天井の扇風機の音気怠い夜
362軽やかに席譲り合うクールビズ
363七夕や急ぐ和服のペアルック
364銀座には住めぬと下田夏燕
365笑ひ聲揺れて二つの白日傘
366気乗りせぬ事はさておき夏便り
367七月や少し令和に慣れてきて
368船影やゆらりゆらゆら涼しさよ
369阿武隈に母と見上げしあの花火
370ほろ酔いの一気に醒むる夜寒かな
371雑踏の神田古書街年の暮
372くちづけを花から花へ春の蝶
373縄とびを跳ぶ子回す子数へる子
374男には七人の敵破魔矢買ふ
375万葉の仮名たをやかに筆始
376猛禽を懐深く山眠る
377整列の悔し涙や夏終はる
378海暮れて瑠璃と耀ふ蛍烏賊
379名月や外へ出たがる東下駄
380ぼたん鍋囲み亥年の男どち
381特急の通過にホーム冴返る
382寝静まる京の町屋や六花
383折からの雨にくすぶる焼野かな
384大袈裟に語る漢ぞ四月馬鹿
385京都御所青葉若葉のみぎりかな
386携帯をマナーモードに昼寝かな
387熱帯夜効かぬ睡眠導入剤
388東京の人と見送る五山の火
389廃屋の庭ほしいまま虫集く
390世の中は変はれども色変へぬ松
391松葉ガニ目が点となる値札かな
392立ち寄りの足湯に癒す花疲れ
393更衣口紅も変へ髪も変へ
394ぼうたんの穢れ知らざる白さかな
395立ち話いつ終はるとも白日傘
396鈴虫をBGMに寝酒酌む
397夕されば土間にちちろの鳴きにけり
398冬麗や香煙靄る泉岳寺
399相席の佳人と黙の初電車
400竹皮を脱ぐ雅子妃の初仕事
401穴子ずしシャリを食み出すこと五寸
402我が背ナを伸ばせと論す花菖蒲
40380-50重き縁や蟻地獄
404怖ず怖ずと内視鏡飲む梅雨の入り
405似てきたり一人娘と雛の顔
406この星に生まれふたたび青き踏む
407息止めて白磁冷たき絵付けかな
408小さき子がほしがる小さき鏡餅
409春暁の目覚し鳴らぬまま止める
410フエルトの門松尖らす保育園
411初雪よやまずそのまま白い闇
412自転車の鍵見つからず花の雨
413頂きに白い半月残り花
414向日葵の右向け右に従わず
415英文の聖書を膝に冷房車
416とんぼうの眼を過ぐ宙の粒子かな
417白靴の皺や持論を変えずいる
418梅雨の星左右に揺れて明日も晴れ
419雨降るや橋の下まであやめ草
420白靴の少女まぶしや十五才
421発表の「令和」の重み清和なり
422納骨の寺の厨から新茶の香
423今年から白色のカーネーション供ふ
424日傘持ち半年ぶりの伊勢参り
425送り梅雨五十鈴川越え伊勢参り
426伊勢参り梅雨のベンチへ置き土産
427海の日に登山推しきる天の邪鬼
428海の日や畳で泳ぐバタフライ
429遠ざかる江戸の味覚や鰻飯
430夏の海航くタンカーに炎満ち
431引退の試合に捧ぐ夏太鼓
432泣かせてと歌を重ねる流れ星
433鍵盤の白と黒から春の音
434空めがけ夏を知らせるファンファーレ
435直前に背番号縫う夏の夜
436君と聴くレゲエの夏よ由比ヶ浜
437コンビニの夏スイーツを食べ比べ
438金時の山を崩してかき氷
439夏終わる我にひとつの恋終わる
440唐揚げを作りたくない夏の夜
441材木座Aマイナーの土用波
442おしなべて麦わら並ぶ保育園
443打ち水を避けてカラコロ先斗町
444三条の橋の向こうのビアホール
445鴨川の納涼床でボンジュール
446たらちねの母が伝えし梅しごと
447テラス席主(あるじ)忘れた日傘かな
448お下がりの浴衣ちくちく裾合わせ
449叡電(えいでん)のカーブも楽し夏紅葉
450折り返すあっという間の文月(ふづき)かな
451ソイラテとタピオカミルク夏を飲む
452パラソルで手を振る母の寝ぼけ顔
453サンダルも空見上げては陽射し待つ
454梅雨のそら見上げてみると子紫陽花
455梅雨晴れの道路の上に空のいろ
456乗り換えの駅にパンの香冬ぬくし
457寒露かなきらめくものに射す朝日
458グランドの一瞬静まる秋の虹
459冬ぬくし猫に長寿の表彰状
460雷鳴や獣のやうに吾子目覚む
461タクト振るプラネタリウムの流星群
462寝過ごせば終点に猫冬あたたか
463塾帰りおでんの幟合戦めく
464冬晴れの心にぽかり白い猫
465『サザエさん』見終えて仕舞う注連飾り
466初乗りの車内清しき里のバス
467絵手紙に描くパレット水温む
468純粋な狂気芝居に冬の月
469余花めぐり訪ねる家の見えはじめ
470野良猫や炎暑の道をさまよいぬ
471噴水のバチャバチャ遊ぶ子供かな
472青空に傾けて飲むソーダ水
473瑠璃色をひらりひらりと夏の蝶
474朝顔の濃むらさき色の憂いかな
475初富士や静けき赤に染まる雲
476初空に抱負を描き心結う
477降る雪や田舎を馳せる子と犬と
478陽光を映すつららに駆け出す子
479豆投げる子にこたつから笑むじぃじ
480嵐電を降りて咲き初む梅の顔
481春の夜や月に拳を握りしめ
482石畳重なるもみじと誕生日
483たてがみをつかむ先には秋晴れや
484湯上がりや肌すべる風星月夜
485牡蠣食えば時重ねたり殻の山
486ディズニーの重箱めぐるお正月
487初詣吉で厄明けにやけ顔
488母の日やハーバリウムを結うリボン
489紫陽花や背広を熱す陽の光
490千羽鶴甲子園まで 飛んでゆけ
491白球に 友の声援思い込め
492紅(べに)引いて 四万六千日(しまんろくせんにち)の夜
493高3の 近くて遠い 甲子園
494見上げれば父の命日黒トンボ
495友歌うローズの歌詞に涙して
496チケットを何度確かめ夏フェスへ
497夏の夜の通販テレビ危険かな
498 多摩川に自転車ふたつ夕月夜
499待ち合わせしてるふりしてソーダ水
500雲一つない夏空の広島
501滝見れば金がなるなる竜神様
502九連勤疲れほぐれる滝の音
503水あめのように透明つくり滝
504炎日の揺れて解けゆくアスファルト
505つくり滝王子稲荷と卵焼き
506ミュシャ展涼しき月を見るやうに
507片蔭を繋ぎゆく手や共白髪
508女等の話の結びかき氷
509友釣りの知らず知らずのプールかな
510節分に鬼をお酒でおもでなし
511いい夢の見える見えるやサングラス
512おやすみのモーツアルトや熱帯夜
513年重ね丸るくなってのてんとう虫
514陽をあびて日差しを避けて夏の釣り
515熱さきて都会の祭りビアガーデン
516楽しみと涼しさ求む夏休み
517涼しさは暑さあっての快適さ
518簡単と思うができぬ夏俳句
519薫風や瀬音に混じる人の声
520あじさいや見飽ことなき今日の色
521艶めける話の弾む蕎麦の味
522赤き帯きりりとしめて踊りの輪
523ゆかた着て小走りで行く夏祭り
524七五三親も子どもも貸衣装
525雨垂れを避けてバス待つ春コート
526手水舎の粋な姉さま初茜
527立春の光の中の小鷺かな
528苺きて御開となる同窓会
529白シャツや令和の空を飛んで夏
539空の掌の上にある重さかな
540西瓜割りパカーンと砕け終わりたる
541掬いたる金魚下げゆく家路かな
542そうめんを一家で食べる昭和かな
543ふわふわの雲どんな味かき氷
544路地裏にラジカセ流る金魚売り
545ビーチパラソル年齢不詳の背中かな
546七夕の雨に打たれし夢流れ
547燕の子低空飛行雨を呼ぶ
548紫陽花や左に傾ぐかな書体
549離陸待つ機体かすかに梅雨湿り
550持て余す程の胸無く藍浴衣
551金魚玉恋の始めは意地悪で
552眠れない白夜フィヨルド水鏡
553夏祭りいつかの思いふりかえる
554一日の心残りを遠花火
555名画座に一日過ごす半夏生
556香水の一滴にじむ置手紙
557あじさいの百人町は行き止まり
558灯を消せば遠く近くの河鹿笛
559折り返すバスの待ち合ひ雲の峰
560なにもかもそのままにして昼寝かな
561白日傘広げしままに草に置く
562瀬戸内の海に旗振るかき氷
563十分の経で商ふ盆の僧
564鹿の鳴く 阿修羅を慕い 古都訪ね
565砂にじゃれ 雀シャラシャラ 春の風
566地の声に 耳を傾け カエル跳ぶ
567ほおづえを ついて聴いてる 虫の声
568んーと伸び 空の蒼さに 鳴くカエル?
569優劣は無く卒業と云ふ証書
570洗ふ菜の水の中より出る虫
571単線の川又川の水澄めり
572マフラーにコーヒーの香をつれて来る
573夏の海 快速電車に 遮られ
574わだつみの 声を聞いたか 夏の海
575海青し 埠頭見守る 貨物船
576向日葵の 道案内で 灯台へ
577網戸越し 君の好きな 海が見える
578冷房の 右肩冷えて ピアノ弾く
579かき氷 練乳避けて 総崩れ
580六甲の 夜景涼しや ロープウェイ
581お揃いの 浴衣嬉しや 三姉妹
582夕焼けに 小さく映る 海の家
583七月や茶畝の先の太平洋
584陸奥に鬼婆伝説百合の花
585曲り家を出で夏蝶や民家園
586下校の子荷物あれこれ休み前
587土曜午後不在投票長い列
588モノ忘れ今日は「部屋カギ」冷奴
589牡丹の造花のやうてふ褒め言葉
590立葵二人並んで背くらべ
591紫陽花の葉脈著し土を練る
592花むくげ散る身仕舞いの慎ましさ
593つくり滝宴会場より子らの声
594海の日の海にもアスファルトにも雨
595炎天をカキーンと砕くホームラン
596はつなつの会話みとれている素肌
597追憶をしばし休みて造り滝
598ミシン踏む音の産み出すアッパッパ
599作り滝マイナスイオン浴びるビル
600久々の炎天ゴッホの青に澄む
601炎天や信号待ちの老夫婦
602炎天のセルフィ―渋谷交差点
603めらめらと地面が滾る炎天下
604人影に鯉の集まるつくり滝
605緑陰を統ぶ紅白の鯉ゆるり
606赤銅の顔に父想う炎天
607電飾の静かホテルのつくり滝
608スカートの揺れに飛び付く梅雨の泥
609隠沼に宝珠のゆるる蓮花
610角に触れ殻に隠れし蝸牛
611鵜飼舟鵜縄をさばく巧みさよ
612見はるかす男滝女滝の飛沫かな
613百歳を祝いし令和天の川
614恍惚の母と仰ぎし天の川
615七夕の竹のしな垂れほどの願
616梅雨あけて雨傘干してビール飲む
617渇れた声カチワリ舐めて旗を降る
618夏終えて涙も洗う洗濯機
619かき氷かくこつ覚え得意顔
620風鈴の音色に乗って夏の涼
621ペディキュアに込めた私の恋心
622カブトムシアバンチュールな夏の夜
623冷や麦の茗荷きざみて香り立つ
624物干しに色とりどりの子らのシヤツ
625夏の季語思い巡らし五七五
626夕立ち去り束の間かかる虹の橋
627青空のわた飴つまむ入道雲
628夕焼け雲切れまに覗いた一番星
629船行かば/水平かすみ/夏かもめ
630夏の海/船より速く/かもめ飛ぶ
631雲の白/かもめの白さ/ふわり浮く
632梅雨寒や決まらぬままに夕支度
633夏のれん千住大橋もつ煮込み
634酔芙蓉紅色のこし夜迎ふ
635五月晴白鷺休む米どころ
636宿浴衣主婦の日常今日だけは
637土星の環くっきりと在る夏の果て
638四阿の元息絶えし黄金虫
639クーラーや太鼓の聞こえくる半畳
640ペンキ塗り蝉鳴き終えて今朝の汗
641七夕は空の川水 溢れ雨
642立ち尽くす夏の夕焼け 燃える赤
643山手線すいか団扇で 涼む人
644かき氷お喋りな口舐めている
645片蔭を譲りて少年駆けだせり
646指先にみなぎる力夏の朝
647献血の出来ぬ体質原爆忌
648頂上の誓いの言葉雲の峯
649短夜のバルト海行く船の旅
650海風に幟はためく氷水
651柔らかき緑溢れるフィヨールド
652ナイロビの夜を赤々と夏暖炉
653帰省して先ず井戸水に近づきぬ
654旅人をもてなす宿の岩清水
655なつやすみ今いる駅が大きな字
656「電車くる」アナウンスからが長い夏
657それぞれに携帯のぞき合う青春
658秋暑しラインで送られる遺影
659待合室コロンきつめの老紳士
660驟雨いま私の好きな人走らす
661にわか雨ものともしない作り滝
662百均の「とけない氷」までカラフル
663うわさ聞き舐めて冷たいハッカ飴
664夏を詠む「俳句記念日」季語にして
665梅雨明けて暑さ凌いで冷和なり
666炎天の吸い殻入れに蛍族
667桃二つ綺麗に切れて絵文字打つ
668胡瓜噛む背中に感じる生命音
669ひとりでも 大丈夫だよ 天の川
670強がりは庭の向日葵 だけが知り
671来年は宅地に変わる ナス畑
672ひとりごと増えた気がする 夏の朝
673新盆は笑顔で過ごす 供養なり
674ペイペイで 金を触らず 夏涼し
675かき氷天然水の アートかな
676太古から糺ノ森(ただすのもり)の 星涼し
677台風の進路リロード 旅の前
678蔦消えて 今は昔の 甲子園
679淡い恋 梅雨雲うすく セピア色
680夕焼けに染みゆく背中 夢のあと
681足かばう母を支えて蝉時雨