2018年8・19俳句記念日応募句一覧
1ところてんにがてだけれど食べたいな
2歩くたびしぼうがへるがはらもへる
3ねむたいなねむるときけん雪山だ
4スマホ見る大事なものを見失う
5親孝行とトイレはしたい時にはないものだ
6フライドポテト時間がたったらただの棒
7冬渚遠く近くに人ひとり
8冷たしや出始めの水朝シャワー
10食ひきれぬ餅を食ひ切れ年の市
11シャッターを押す手凍える冬銀河
12離れても地球はひとつ冬銀河
13冬銀河不寝番の目は冴へり
14小さき足跡に柊の花散る
15クリスマス柊の葉のリース編む
16砂丘を埋めるがごとく冬銀河
17柊のようにチクチク母小言
18嗚呼ビバノン冬至湯浸かり鳴く娘
19タロジロの遠吠えの先冬銀河
20葬列の思いそれぞれ冬の星
21柊の花こぼれて白く香り
22玄関に柊の花幸を呼ぶ
23カーテンにたっぷり夜長託しけり
24入浴に花柊の香り挿す
25古本を読書の秋と買っては売る
26頑張れよ駅まで送る寒稽古
27泣き止まぬ我が子背追って冬銀河
28春高前夜頬刺すような冬銀河
29新聞追い来て冬の宵を越す
30かじかむ手合わせて拝む冬銀河
31厨ひとりため息ひとつ晦日蕎麦
32宝くじ当選夢み冬銀河
33日の照らす産屋の前に柊咲く
34独り身に籠れるイヴの抱き枕
35元旦夢あと一歩なら叶うらし
36臨む荒星ヤケ喰いしても逃げても
37凍月や一と日の空を張り尽きる
38黒蝶の死地となりけり仙人掌
39初鶏へ馬は嘶き返しけり
40桜蘂散る満願の札所かな
41富有柿の出荷そろそろおらが町
4225日ポインセチアは大セール
43傘さして行列の先おでんかな
44大掃除たまに手を止め日向ぼっこ
45カレンダーどれがいいかな年の暮
46我が褒美年に一度の河豚と酒
47正月の顔して来たり孫五人
48初富士へ逆立ちする子支へる子
49遠富士の嶺の白さよ大旦
50初芝居袖に出を待つ仁左衛門
51初電話取れば娘の彼氏かな
53正月や年に一度の鎮守様
54初日の出真白き畑や赤々と
55琴線の波打ち光る春の海
56新調の枕みつちり三が日
57初詣で笹を燻らす御神楽や
58初雀行き愛(は)し帰りかまびすし
59平成も終はりが近し初薬師
60再生の悲願散り交ふ春の濤
61東風の捲く付箋だらけの芸術論
62学食の野菜タンメン春の色
63菜種梅雨乱歩の作に手の伸びる
64眠れども眠りの底へ菜種梅雨
65種袋さらさら鳴らし子ら走る
66引越しの荷物急かして菜種梅雨
67菜種梅雨クローゼットで迷う朝
68歩幅すこし東風に吹かれて直しけり
69強東風に鵞(がちょう)の声の荒(すさ)びけり
70琴の音の匂うようなり菜種梅雨
71強東風が雲塊残し静寂(しじま)かな
72土筆摘む爪まっ黒に母と孫
73線香の煙消されて菜種梅雨
74夕東風や魂ままに湯浴みする
75朝東風の別れの紙テープ断つ
76けふまた母と二人をり菜種梅雨
77東風に乗り届く小荷物祖母の味噌
78暮れかけて子らの呼び合い東風に乗る
79カピバラの毛並散らせる東風
80菜種梅雨ひとり明滅するBYE
81栄転に海髪をつまに妻と酌む
82菜種梅雨のせいにして家事放棄
83金盞花息切れしそうな浜の風
84夜を往くトラックの先初茜
85天神の山へ逃げよと豆を撒き
86深酒やカーテン越しに初茜
87その角を曲がれば香る夏みかん
88幸はひの色惜しみなく福寿草
89抱きたる三方重し副の豆
90初茜二礼二拍手一礼す
91春遠し野鳥の灯台アンコ見ゆ
92つくばねの嶺より生るる初茜
93福寿草追いかけ追いかけここはどこ?
94POPにも福福しさよ福寿草
95福寿草なんと芽出度きなまへかな
96警蹕(けいひつ)の声聞こえたり初茜
97朝散歩靴の底にもヨモギの香(か)
98箱の中溢れる想いチョコ並べ
99両親の長寿を願い福寿草
100拝む手に希望を照らす初茜
101庭先で金柑摘んで母笑う
102三方抱き四方に撒きし節分祭
103めがねして光まばゆし福寿草
104大いなる志へと踏み出す大旦
105初場所や粋すじ座る砂かぶり
106大見得の海老蔵にわく初芝居
107小上がりに梅一枝のさりげなく
108おでかけの心弾むや春コート
109辛夷咲き故郷恋ふる千昌夫
110くつろぎの女三人さくら餅
111遠足の列にふさがれ通り道
112万緑にいだかれおはす皇居かな
113海の日の海よりとどく海の幸
114落成のプールに子らの歓喜かな
115夏休兄弟喧嘩両成敗
116その中に音閉じ込めて滝凍つる
117夜の更けて虫の集会始まれり
118恙なく来て古稀なりや十月尽
119こわもても相好くずす七五三
120伸びをして猫も出かける小春かな
121くるくると水面に踊る落葉かな
122閑職の窓辺に落葉しぐれかな
123白菜の高値に妻の嘆きかな
124オムレツのふわつと焼けり寒卵
125妻の留守月下美人とねんごろに
126どことなく妻機嫌よしボーナス日
127ここだけの話と夜咄盛り上がり
128花種を蒔き外国に赴任せり
129樹木医のポンと打ちたる老桜
130囀や四国巡りのひとり旅
131駅前のコンビニで涼む夏の午後
132夏の味そっと溶け込む並木道
133花束と土産を持って帰ります
134夢いっぱい宿題いっぱい暇いっぱい
135久々の半袖シャツに手を通す
136宿題の紙束飛ばす扇風機
137逃げ出した私を照らす天の川
138帽子脱ぎ一片散らす花疲れ
139赤や黄の帆の滑り行く薄暑かな
140風車風通し良き角の店
141来し方を妻とふりむく昭和の日
142父母も祖父母もゐたり昭和の日
143たばこ屋に看板娘昭和の日
144図書館に暇をつぶせる生身魂
145図書館の席をあまねき受験生
146今日明日は畳を友に花疲れ
147インスタのいいね見届け花疲れ
148風車の祈り託すや地蔵尊
149ブランコや街を踏み切り空へ跳ぶ
150春ショール笑む口元を隠しつつ
151青い目の覗く交番花の下
152交番を出でて日傘を差しにけり
153フェリーよりゆつくり降りる黒日傘
154日傘より影の跳び出す帽子かな
155春の陽を乗せて路線バスが来る
156夕涼みバラに魅かれて黒揚羽
157懐かしい顔が揃ってバラ香る
158さわやかな風バラの香りと黒揚羽
159薔薇香る癒しのサロンライフビジュー
160時を超え対馬藩跡ひとつばたご
161たかんなやあちこち立ちて真竹なる
162遥かまで異国の見えるじゃがらんだ
163たんぽぽの絮どこまでも吹かれ行く
164一雨の力となり手若葉萌ゆ
165買えること忘れて遊ぶ日永かな
166若さとはバラの香りと笑い声
167エイサーの声がふくらむ映画街
168イギリスの地ビール飲むやパブの昼
169異国見え展望台のなんじゃもんじゃ
170石屋根の対馬だけ見る初夏の旅
171薔薇園の皇后の名あり明鏡かな
172断捨離と呟きながら頃も更衣
173名水に新茶もろとも頑張れる
174遠来の客のもてなし新茶汲む
175孫になら騙されてやる四月馬鹿
176山一つなんじゃもんじゃに白く染め
177青梅の葉隠の闇二つ三つ
178石屋根の対馬のみ見る初夏の旅
179自生地のひとつばたごの白い路
180下駄ならし石段上の薄暑かな
181断捨離とつぶやきつつも更衣
182束の間の甘き香りやパイナップル
183貧しくも楽しき夕餉麦の飯
184衣替新しき風通り抜け
185尼蛙じっと見つめて侍りおり
186目の前を3段跳びの雨かえる
187ないしょ話を聞いているよな雨カエル
188いつみても光ってをりし雨蛙
189枝に葉に保護色活かし雨がへる
190雨蛙鳴くまい明日はゴルフゆえ
191鈴蘭や少女は長い脚を折り
192梅雨晴れの喜寿の祝いにスマホデビュー
193水打ちて庭生き返る夕べかな
195お茶菓子の切込み深し濃あじさい
196あじさいの何色なるか決まる日よ
197夢にまで浸入したる梅雨の入り
198戸締まりをしあぐねている梅雨夕焼
199梅雨寒やハートを描くバスの窓
200蜘蛛の糸 雨を捉えて 輝けり
201梅雨晴れ間ここに緋めだか藻花かな
202不揃ひも美味てふ枇杷を貰ひけり
203{九国博}睡蓮モネ画人集まり
204梅ちぎり何に加工か思案中
205まほろばの道ふみしめる夏薊
206土塊も夕に青田となりにけり
207梅雨の夜月命日の仏の灯
208道ふさぐほどの山桃こぼれをり
209平成の終わりとなるや夏落葉
210黒南風に天井の龍睨みけり
211高きよりここに居るよと雨蛙
212手も服も染めゆすらうめ食むる子ら
213ハンケチのなまえひらがな色焦する
214まいまいと雨の輪が淋しさ誘ふ
215黒南風に秀でたる眉そよぐ夕
216黒南風や歯医者の予約忘れたい
217沖見やる若き水夫(かこ)を打つ黒南風
218黒南風ですぐに錆びたる三輪車
219原宿や店の軒㟨(のきば)に雨蛙
220黒南風や水疱瘡に藥塗る
221黒南風の忍び入る築五十年
222雨蛙葉にしがみつく腕っぷし
223黒南風や真暗な部屋で影になる
224雨蛙信号無視のど根性
225一人っ子の留守居の友や雨蛙
226雨上がりひょこひょこ飛ぶは雨蛙
227黒南風や柏手二つ金毘羅宮
228黒南風やウオーキングデットが家にいる
229野良猫の驚き斯くや雨蛙
230ずんずんと迫る黒南風ホラーかな
231伏す犬の鼻過る雨蛙
232レインボー眺め寝そべり雨蛙
233黒南風に袖ふくらまし帰路急ぐ
234お見舞へ庭の紫陽花手折る母
235重陽を 重ねてすでに 八十路過ぐ
236紅をさす 老女華やか 手毬ばな
237応援歌 北の国へと 八咫烏(ヤタガラス)
238八咫烏 北の国から 吉報を
239夕飯にすいかかぶりつくつわりの日
240インバウンド浴衣だけでスター気分
241浴衣美人銀座の街に涼をよぶ
242浴衣着て素足もいいね夕涼み
243思い出す種を飛ばした西瓜の日
244冷やし西瓜ひたいの汗も心地良い
245華やいでおさななじみと着る浴衣
246打ち上がる切った西瓜と似た花火
247縁側で種とばしした遠い日よ
248夕暮れにすいかの赤が映える浴衣の君
249えりあしの白さ際立つ浴衣美人
250青空に届けてみようスイカ種
251真夏日に学ぶ浴衣がうるわしい
252縁側で皆でワイワイすいか食べ
253熱中症西瓜食べて温度下げ
254暑い夏浴衣姿が涼さそう
255匂いたつ後姿の浴衣かな
256あそんだら早く食べたいスイカ割り
257花火より浴衣の色が美しい
258浴衣着てスイカを食べてお肌ツルツル
259西伊豆の夜咲く花火浴衣着て
260つぎつぎとたね飛ばした先に蟬しぐれ
261夏休みあっという間に食べるスイカ
262浴衣用事実家に取り感じる糊付け愛
263上品に決めた浴衣が西瓜負け
264浴衣着てほおずき市にまぎれこむ
265みどりごの手にあふるるや西瓜食む
266おくれ毛や浴衣姿の夕涼み
267風起こす浴衣姿の夏の君
268雨降れば甘露の極み花つつじ
269新緑や上ばかり見て歩む辻
270洗濯物にミストはらりと若葉雨
271夏めいてジーパンの裾折り返す
272水浴びの象の砂絵の睦まじき
273葉桜の 枝から落ちる 毛虫かな
274愛犬と 葉桜眺め ひと休み
275母日課 ミルで古茶挽く 父の為
276夫説く 葉桜指して わびとさび
277古茶新茶 違いわかるは 夫のみ
278枝に葉に保護色活かし雨がへる
279雨蛙鳴くまい明日はゴルフゆえ
280黒南風の立ちて烏の騒ぎける
281雲現れて黒南風わたる鳰の湖
282黒南風に高き波立つ浜辺かな
283人影も露店もまばら花は葉に
284葉桜の道を押し行く車椅子
285葉桜の葉のみずみずし朝の道
286香りよりこくある古茶のよかりけし
287古茶淹れて旧知の友と句の談義
288バスを待つ肩にふわりと八重の舞
289急行は駅を飛び飛び緑濃く
290真鶴や丘に風吹き豆の花
291小田原を守る店主に見送られ
292お土産はバッグの中で香る草
293朝日浴び反射反転かざぐるま
294かざぐるまおとぎの国へ風と共
295唄ひ舞ふ君に酔い痴れ花疲れ
296庭祠守るがごとく落椿
297風光る校章光り門開く
298きらきらと白無垢を祝ぐ花吹雪
299花びらの肩から落ちる夕まぐれ
300どの駅の桜カバンに忍び込む
301飛花落花散るいずれもの桜色
302鯉のぼり数多色めくアーケード
303小心な男と茶屋に心太
304心太君が蜜なら僕は酢に
305雷鳴へ犬は遠吠え返しけり
306日雷ビルの谷間を斬り裂けり
307雷は神の怒りや臍かくす
308三月を開けてハミングしたくなり
309日出づる国卑弥呼も雛を飾りしか
310日の差すも春まだ浅き余呉の湖
311四人ゐて一人居眠る春炬燵
312春場所や贔屓の力士けふも負け
313あをによし奈良の都の孕鹿
314息子にも合格通知春届く
315きのふ見し山並みけふは花曇
316宇野千代の思ひ宿せし老桜
317春昼や伊根の舟屋は網干せり
318詰襟をスーツに替へて新社員
319義士の日や香煙空へ絶え間なく
320図書館を満席にして受験生
321囀りをお腹に聞かす妊婦かな
322なにもかもセピア色なり昭和の日
323青竹や五月の空をつらぬきて
323幇間の舞ゐては鵜飼開きかな
324寂庵に始むる法話若葉風
325薫風を入れて大の字四畳半
326試着室香水仄と匂ひけり
327あとつぎの無きか空家に草茂る
328母の日や母ありし日の小言なし
329素人に生らぬものかや茄子胡瓜
330あかあかと天守を染めて夏入日
331丁髷が降り立つ駅や夏巡業
332野仏を容赦なく打つ白雨かな
333またしても間違い電話蒸暑し
334燃え盛る火のあかあかと大文字
335三十九度今年も猛暑岐阜多治見
336神木の一樹に群れて蝉しぐれ
337赤子泣き一瞬止みぬ蝉時雨
338靖国へ卒寿の母と終戦日
339法名となりし上司を送る朱夏
340ふるさとや空にまあるく盆の月
341客船のビル動くごと処暑の海
342列島を虎視眈々と大台風
343倒れざるものまで倒し野分過ぐ
344スイッチョと鳴いて気を引くすいとかな
345古希の子が白寿の父と敬老日
346工場の夜業の灯煌々と
347八百万の神は出雲へ時雨月
348願いごとしても叶わぬ神の留守
349霜月や喪中はがきの続けざま
350空港に休める翼冬夕焼
351とりどりの色を変へきて山眠る
352満天に星さんざめく夜半の冬
353山川も草木も里も冬ざるる
354深閑と雪の降りけり無人駅
355終電の娘待つ駅北吹ける
356整列の子の息白し運動場
357魚へんなのに鯨は哺乳類
358良きことも悪しきも去りぬ年忘
359除夜の鐘聞きつ今年の日記果つ
360豪雪に古民家埋もる白川郷
361野ざらしの地蔵に着せたきちやんちやんこ
362チョコレートもてはやさるる二月かな
363宅急便去年の日付の初荷かな
364初夢に見たしフジヤマ鷹なすび
365初暦まづ句会日に丸じるし
366かるた取り猫に上座を乗つ取られ
367旗振りて皇居参賀の人あまた
368電線に揃ひ来てをり初雀
369成人式竹馬の友も集ひたり
370鬼百合のそぼ濡れる香や蕊真っ赤
371水遊び眩し嬉しやはしゃぐ孫
372初なりのきゅうりなすび笑顔咲く
373孫の動きに亡き君を見る運動会
374カーネーションすべり込みセーフに胸熱く
375断捨離詰め梅雨入り前に枕洗う
376桜舞う暖かな風川に流れる
377夏至過ぎて命日思い心乱れる
378生きざまはほどほどでよし薄暑なり
379友逝きて七十五年の幕降りぬ
380都鳥東橋よりお參りに
381一言を胸に治めて秋扇
382雨土のなだれる町や夏薊
383東屋にいつかの遠き砧の音
384幽霊の白々出そう喫茶店
385常夏や50リットル象の尿(しと)
386いつの間に入道雲や刺繍さす
387窓の陽に足をなげうつ裸かな
388蜻蛉の去りてなんでもない小石
389梅雨晴れに東の空の明らめり
390雨の園だれもしらない薔薇落ちる
391しとしと雨あじさい浮かべ泉澄む
392物干して白粉の花触れにけり
393枯れ紫陽花慕いし母や傘寿かな
394菜の花を活けし花入れ風宿る
395風鈴の音が誘うや喫茶店
396青楓映す水面や友泉亭
397足の爪切りつつ聞いてる遠花火
398明(あき)の慧(さと)徒然なるも宵の風
399鎌倉の咲く紫陽花の切り通し
400お隣の子らに教はる水鉄砲
401二杯目はモカと決めてや男梅雨
402網戸立つ光と闇のあはひにて
403昏るるともいまだ閉ぢざる花木槿
404黄金虫張り付く網戸檻のごと
405風に舞ひ風に踊るや夏帽子
406底紅の地にあるときは左巻き
407人生は永久(とわ)に続くジグソーパズル
408出会いとは奇跡の連続尊いもの
409減っていく財布の中身スッカスカ
410世の中をひよいひよい渡るあめんぼう
411海の日や色とりどりの帆の祝ふ
412打水を次々踏みし神楽坂
413風鈴の祭り辞苑に観光バス
414指入れて引っかかり玉のラムネ飲む
415甲子園めざす球児の汗染まる
416鎮魂の被災地の雨夏の山
417這い出る蝉の姿のいじらしさ
418西瓜買う三度叩いて決めにけり
419夏帽子被りてオペラ観賞す
420田園を1直線へ夏つばめ
421切り分けた西瓜がみんな笑ってる
422灼熱の陽を跳ね返す球児たち
423炎天下耐えて対峙し命尊ぶ
424夏の午後浴衣に映える珠美肌
425西日本受け取るすいかに涙する
426涼を呼ぶアコギの響き風宿し
427ボクは見たキミも見ている夕焼けや
428サブレより八幡の風海香
429青楓水面に映る池の端
430枯れ紫陽花慕いし母の傘寿かな
431バリに波打つ遠雷と魚の肌
432ところてん海に生まれて山育ち
433手術明けの朝ところてん食み瞑目す
434神鳴に眼光らすハクビシン
435硝煙の匂い混ざれるシカゴの雷
436雷(いかずち)を纏ひて唸る阿吽像
437ところてん今日は甘いか酸っぱいか
438遠雷やショートホープをもう一本
439夫婦喧嘩喰わぬで逃げようところてん
440遠雷が人の気を消し野球場
441女形(おやま)の香させる男や心太
442ドタキャンも仕方がないね日雷
443リビングに母の雷子ら静か
444失恋をするりと抜けて心太
445無慈悲にも日の本駆けるはたた神
446雪浴びて梅一輪空を向く
447碧い海はらはら注ぐ花の雨
448光吸い新緑の樹々匂い立つ
449まどろみの朝に名残りの蝉の聲
450荷の中の桃の香りのほとばしる
451初雪やうろこ模様の屋根瓦
452雨の路 仏世界に オニヤンマ
453煙(けむ)の中秋刀魚焼けたと母の声
454子らの声湧くや名月雲を出づ
455十六夜けふも送れる君を待つ
456風吹けばどんぐりの雨リス出でむ
457橡の実の転がる先を見果てけり
458流れゆく木の葉追うても追ひつかず
459渦巻いて集ひ別るる落葉かな
460手袋をはづして握手せし別れ
461見え隠れ障子の穴に小さき目
462藷を焼く子らとの笑顔にほかほか
463負けるなよ駅まで送る寒稽古
464厨一人ため息一つ晦日蕎麦
465葬列の思ひそれぞれ冬の星
466沖に出でだんだん畑みかんみかん
467雪降るやペンギンのごと列をなし
468栄転や海髪(うご)をつまにし妻と酌む
469強東風が雲海残し去りにけり
470花の兄一番乗りと枝遊ぶ
471土筆摘む爪まつ黒に小さき手
472若草やお國訛りの四姉妹
473庭祠守るがごとし落椿
474忍び音の忍び逢ひかなほととぎす
475尾をふりて学べ遊べと鯉幟
476若竹や手水に垂れてなほ青く
477吾を守りたる家守をる石の燈
478濡るる紫陽花の見送る無人駅
479手も服も染めゆすらうめ食む子
480黒南風や天井の龍睨みをり
481ハンケチのなまえひらがな 色あすり
482五月雨の池に垂るる枝朦朧と
483梅雨の星子らと探してひいふうみ
484洗い髪ほのかに匂ひあねいもと
485籐椅子に本とじたまま夢の中
486花茣蓙や大の字にをり憂さ消ゆる
487入口の暖簾を変えて夏を待つ
488紫陽花をゆっくり避けて車椅子
489静けさに請われ酒つぐ老いの初夏
490石畳敷石沿いに夏の草
491盆踊りかすかに聞こえるお囃子が
492重陽を重ねてすでに八十路過ぐ
493紅をさす老女華やか手毬ばな
494バナナもぐ人を思ひて夜食摂る
495花火上ぐ遠く居て明日死ぬる人
496墓に花手向ける骨の髄涼し
497毎日の誰か命日墓洗ふ
498赤白黄つぼむ花々夕涼み
499夏木立ふり返りつも陽向へと
500鎌倉の花火大会音で知る
501遠花火音止み闇を取り戻し
502蝉しぐれじっと立ってる赤ポスト
503ぐったりと寝て日を過ごす大暑哉
504バスケットじいと二人の夏休
505夕涼み夫婦ともどもだらしなく
506酷暑なりメール途絶えて二週間
507ペチュニアの七十ポット地区センター
508炎昼や時間が歪む交差点
509雲の峰個人面談可能性
510身構えてゐます貴方にかまきりも
511下戸の我にも届くや銘酒夏の月
512父母は生涯正直半夏生
513涼風やハガキ揮毫の無為自然
514晩年は少し真面目に時計草
515寅の名や屋台に掬った金魚愛で
516香り良し長蛇の列の夜店なり
517三月ぶり固まる硯洗いけり
518老鶯や阿夫利の山に雨を呼ぶ
519緑蔭や見知らぬ人と挨拶を
520昼寝覚めいつかの夢がまた夢に
521兼題をはるかに超える暑さかな
522この頃の流行り恐ろし熱中症
523語り継ぐ重い口調や雲の峰
524留守録に恩師の声や蝉時雨
525涼風と揮毫少し隷書風
526麗しく月光浮め田水張る
527蝉生る出ずる姿のいとほき
528凄じき暑さに人は黙となる
529田園を一直線に夏つばめ
530吉野ヶ里古代蓮のきらびやか
531母作る梅干しの味世界一
532多摩川の風に踊るやしゃぼん玉
533夏風を受けるママチャリたくましき
534麦わらで白髪隠してフェスへ行く
535ひとりカフェこれぞ至福の夏時間
536薔薇咲いていつか行きたいニューヨーク
537祖母ひとり何を思うか鳳仙花
538貴船にて川床料理夏の贅(ぜい)
539友を待つ駅の向かいに花水木
540祇園さん我も人生辻回し
541お中元だけで繋がる叔父夫婦
542夕焼けは一期一会の旅模様
543葉山からトンネル抜けて夏が来た
544鶴を折る皺も重なる広島忌
545玉音や正座の膝に落ちる汗
546焼き肉を取り合う姉妹夏の陣
547宿題をツクツクボウシに急かされる
548棒アイス当たりが出たとはしゃぐ母
549ネガティブをポジティブに変え夏のフェス
550やくそくはひだりのこゆび遠はなび
551かけつこにただかけつこに風光る
552熱中症ビール飲み過ぎ脱水症
553愛犬の散歩に四季をめぐる日々
554待ち遠しい孫に会える夏休み
555歳のせい蝉の声すら愛おしいかな
556芸術にときめく熱さと夏も揺る
557台風が去りては共に新たな風
558夏休みワクワク見つけ学してる
559燃え盛る舞ドリームに命燃ゆる
561浴衣着て下駄でぶらぶら深大寺
562坂の上ブルーベリーと出会いけり
564すべからく食べて判断熟れトマト
565旱星不可逆的な間柄
566朝顔の鉢抱き歩む一年生
567問題集終わらぬままに法師蝉
568丸文字の短冊ゆれる七夕の駅
569香水や今日からアタシ自由なの
570夏草やB29の音遠し
571ビヤホール出てジャズ口ずさむ夕べ
572千歳飴の袋の長し女(め)の童(わらべ)
573ぼろ市の素通りできぬその風情
574暑中見舞牛乳パックの葉書届く
575露台にてニューヨーク時間を想う
576風光る古希の我立つ空青し
577靑蔦の主旅立ちし三回忌
578つゆ空や団子さげつつ家路ゆく
579麺恋し泰山木の花うつわ
580未央柳のあざやかに勇気生まるる
581野馬追や復興の音高らかに
582隅田川一夜遅れの花開く
583単線駅待ち疲れたる土用凪
584被災地の難を偲ぶや夏台風
585台風の一過ののちの静けさや
586夕涼み博多のまちのそよ風や
587台風のあとの空には雲が湧き
588台風のすぎし夜中に犬散歩
589台風の掃除のあとや空の澄む
590ところてん食物繊維ダイエット
591犬風呂に着るためだけに水着買う
592朝散歩顔をかくして夏帽子
593カサカサ音衣装ケースのカブト虫
594819古箪笥から夏衣
595熱中症予防にグビリグビリ哉
596ひとさらにひと足早くさんま乗せ
597息子から新茶の土産湯を沸かす
598誘われて祇園祭のこんちきちん
599空は青紅葉は緑深大寺
600ゆく夏や素足の下駄も足袋重ね
601寒の雨もぐる布団であと5分
602手水舎(てみずしゃ)に湧水たたえ深大寺
603インスタで夕立ち来ると教えられ
604遊歩道やがて実をつけ花水木
605夏空やチャリ通勤は10年目
606木綿麻ガーゼハンカチ旅鞄
607灼熱の大地夾竹桃の紅
608寺苑いま風鈴吊るし人を呼ぶ
609リュック背に夢いっぱいの夏休み
610甲子園めざす球児の玉の汗
611短夜や息子と話す裏社会
612ガラス戸に守宮の親子張り付いて
613鰻丼を食べた美味しい写メールが
614夏休みあったあの日が懐かしき
615ロンバケは20年前ララララブ
616真っ黒に日焼けし子等の夏休み
617高尾山 裏の地蔵は汗知らず
618五月晴れブルースカイに秀樹逝く
619すれ違う人の笑顔や高尾山
620あと少し頭キンキンかき氷
621自転車に夕陽集めてペダル漕ぐ
622新緑のトンネル抜けて新車来る
623七夕よ遠いきみのもとに文届け
624二日酔い睡魔がおそう冷酒よ
625あの頃もはじける蓮に笑顔かな
626宵山を今年もひとりそぞろ歩き
627夏の夜はいつもの店で暑気払い
628水替へて華やぎ戻る水中花
629水の中ルビイに光る新小豆
631薫風に皿のミントもふわり揺れ