2017年度8・19俳句記念日応募一覧
1雷鳴や父の叱責よびおこす
2芋殻火や門に雀を遊ばせて
3悪童に似しくちなはの通せんぼ
4暑気中の経口補水液恃む
5原爆忌不戦の祷り新たにす
6蝉時雨母の声かと目を覚ます
7蝸牛ズームアップでモンスター
8にごり酒もう一杯と夜は更けて
9誇らしげ水面に映す紅葉かな
10鴨渡り餌取る姿愛らしく
11鴨渡る兵たちに故郷あり
12紅葉追い北へ北へと百マイル
13にごり酒大根踊る音に酔う
14にごり酒小さな秘密そのままに
15迷い道見上げた空に鴨渡る
16若き日の学びの庭や照紅葉
17花びらを切り子に浮かべにごり酒
18鴨渡る待っていたよと声かける
19︎鴨渡る今年も会えた我が命
20鴨渡る一緒に飛びたい北の空
21濁り酒今でも残る君の声
22濁り酒農婦と語るみちのくで
23名を知らぬ子福桜に子等あそぶ
24長き夜を背で戯ける喜劇王
25ネクタイに着られし喉へ濁り酒
26音を外す道化のヴィオラ秋の声
27セメントの地をたしなめつ鴨渡る
28林檎来る津軽の風を閉じ込めて
29庭渡る風爽やかに野点かな
30竜胆や口開けて空を取り込む
31水澄むや産土神の手水かな
32電車から束の間見えし秋夕焼け
33飲み干してもう一杯を鱈に聞く
34冬至七種かみしめて明るい未来
35冬ざれの田んぼ小道の想い人
36初句会学びの中やひとひねり
37初句会吟じた後の楽しみよ
38雑踏に何かないかと初句会
39面白き事などなくとも初句会
40吟じれど化粧濃い目の初句会
41タイの姉お節料理を懐かしむ
42とし女春を迎えてまだ乙女
43誘われて口実探す年の暮れ
44静けさや中に音して雪の降る
45春一の便り聴きつつおろし蕎麦
46花莟風ゆるみ出す花粉症
47地のなげき木の芽の朝を呼び覚ます
48東風吹かばひと雨ごとの芽吹きあり
49東風吹かば勇魚(イサナ)はどこへ行ったかな
50東風強くビルの谷間で歩乱れる
51欄干に散る朝東風と橋渡る
52東風やさし傘もつ幼児の友となる
53花嫁にかんざしのごと彼岸桜
54マンが読む彼岸桜の昼下がり
55甲斐路行く彼岸桜に武田菱
56晩節を汚してもよい猫の恋
57母が問う彼岸桜のヒミツ場所
58東風吹くと顔出す我の花粉症
59花の咲く「カネノナルキ」がただ百円
60夕東風が帰りを急ぐ背中押し
61宵東風に弟の妻噺あり
62東風吹きてあちこち響くくしゃみかな
63この時と定めて咲き彼岸桜
64桜東風居ずまい正し潔く
65寺巡り彼岸桜が空に垂る
66香を添える彼岸桜や墓ひとつ
67春風が春の鼻風邪運びけり
68なつかしむ彼岸桜の散る夕べ
69梅の香や櫂にそよぐは渡し舟
70童心のでんぐり返し春支度
71東風過ぎて湖面に映る白き富士
72五輪だけ咲いた咲いたと花見かな
73来し方を桜の国に感謝かな
74花見酒呑みすぎ呂律らりるれろ
75花の下俳句詠む人写すひと
76宇野千代の思い宿せし老桜
77満開の近き薄墨桜かな
78咲く散るのときを知りたる桜かな
79死ぬるなら花の四月であればよし
80顔上げて鳥の声聞くフリージア
81雨空をぱっと赤らめ桜咲く
82城跡に見事散りたる椿かな
83音たてて殻の重なる浅蜊汁
84春霞飛行機雲の突きあがる
85猫撫での春風嬰児つつみけリ
86飯を食い歯磨きをして弥生尽
87春風に頬染める列無料風呂
88雪解けの雷水解は神応易
89寒さとの別れを踊る花吹雪
90雲間からこぼれる光は月明かり
91夕暮れにさわる秋風かすれた葉
92桜かな今の季節に望む花
93太陽の眩しさ見上げ思い出す
94神様へどうか今年に良い朝を
95曇り空晴れたらきっと夏模様
96小学生大きな手袋雪まみれ
97待っててねもうすぐそっちに帰ります
98渡された雪で滲んだプレゼント
99白い窓冷たさ感じる冬の朝
100雪が降る窓のそばにて母を待つ
101スイカ割りちらっと覗いて頬緩む
102雪積もり少し遊ぶか息抜きに
103ストレスに悩む大人にも春は来る
104花粉症どんな辛くとも春は好き
105窓の外届きそうに近い桜の木
106桜咲く同じクラスで笑顔さく
107帰れない秋の放課後鳴る雷
108春が来た私の心も花が咲く
109夏休み宿題俳句に悩む午後
110夏祭り今年こそはと浴衣着る
111こたつの中入ってきた足に猫逃げる
112帰る人見送る夜空朧月
113弟に兄背を越され子どもの日
114藤茶屋の水辺に薄ら浮かびをり
115新緑のベンチの二人愉快そう
116揺れる藤ほろほろこぼる観音寺
117雲低く白い山脈初夏の空
118五月闇音のこもれるハイヒール
119金魚いつ逝くとも知れず鉢の中
120初デート浴衣の柄は赤金魚
121ひとり旅不安をあおる五月闇
122五月闇スマホに頼る迷い道
123兵児帯の人垣泳ぐ金魚かな
124柴犬の光る目の先五月闇
125五月闇読経の重くたちこめて
126オンラインゲーム楽しや五月闇
127五月闇なれど新卒声響く
128闘いを挑む金魚に腕まくり
129金魚槽見ると覚ゆる実家かな
130にんげんは胃の腑の底に金魚生く
131鉢寄せに使うは古い金魚鉢
132バスの窓鏡代わりの五月闇
133リビングで貯金魚カラン親子かな
134吹いている平和な風の団扇かな
135父よりも長きを生きて盆支度
136露天風呂夏星一つ我ひとり
137ところてん隠しおおせぬ胸のうち
185こっそりと麦茶飲み干す夜半かな
186脱け殻に蝉の心根残りけり
187青葉光空ふるわせて赤子泣く
188ポケットの銭亀のぞく滑り台
189花菖蒲見る人撮る人描く人
190紫陽花の藍より深し我が想い
191水無月の家路を急ぐ傘の波
192水田に映る月影しんみりと
193十薬や抜き捨てなおも増え続く
194迷い子に話かけたる黒揚羽
195日傘よりはみ出す夫へ歩を揃へ
196中天に動かぬ蜘蛛や水鉄砲
197冷酒くむ薩摩切子の青と蒼
198丸太椅子ふたつ並べて夕端居
199せせらぎも絵になるやうに月見草
200陰影の鼓やはやき薪能
201初セミや2匹のカラスに声けされ
202うす白い雲のすき間にあおいそら
203クチナシの香りは雨に混じりけり
204おにヤンマ行きつ戻りつ捕まりぬ
205満月や大きな顔で団子みる
206蝉時雨命の音が鳴り響く
207この指にてんとう虫は登り翔ぶ
208夢のせて欲も背負わされ走る馬
209蜘蛛はただ生き抜くために巣をつくる
210一本の樹にも多くの命アリ
211前を行く車に映る鰯雲
212水無瀬川鴨は泳いで空蒼く
213あとひとつ誰が手を出す桜餅
214おそるおそる歩みつづけて虹二重
215峯の雲逝きし親父か母恋ふる
216うな丼にシワもほころぶ老夫婦
217幼児はクルクルギョロ目ラムネかな
218黒西瓜腹は優美にグラデーション
219喜寿越へて季寄せも濡らす熱帯夜
220父思う心万緑駆け巡る
221百均の風鈴さわり鳴らしみる
222竹落葉歩が進まぬ下校の子
223いつの間にバイトハンド蜘蛛の網
224少年の想い懐かしラムネ飲む
225孫娘メダカ飼育にはまりおり
226目覚しを無視して眠る梅雨の朝
227夏至の夜の暴走族や一号線
228一坪の野菜の園に夏の蝶
229工事場の重機にもたれ昼寝かな
230その昔五圓握ってかき氷
231風になるなりきっている揚羽蝶
232捕虫網立てかけてある大師像
233水黽う醸し出されて広がりぬ
234鬼灯の童女の笑み浮かぶランチ会
235パラソルや浴衣姿に夏化粧
236幼な子の金魚の尾びれ夜店歩く
237太極拳飲み放題の暑気払い
238夏風邪に大げさすぎる大マスク
239地下鉄の優先席にスマフォ寝る
240回覧板門扉に梅雨に濡れしまま
241ラムネ飲む玉をころころ懐かしみ
242この我に変身願望サングラス
243かき氷頭にツンと掛けのぼり
244仔犬泣く空にほわんと遠花火
245園児手に小さな笹や星祭
246炎天下鞭うつ如くバイク出す
247幼な子の金魚の尾びれ夜店歩く
248きみは上ぼくは下からかき氷
249かき氷あいだに手話の二人かな
250馴初めを聞かされ溶けるかき氷
251放たれてハリヨうれしき清水かな
252山清水口に含みて息継げり
253神主に訪ねて茅の輪くぐりけり
254英文に飽きてミスドのかき氷
255道々に蛍狩せし話など
256マネキンは夏をまといて四肢長く
257紫陽花やインク丸文字葉書来る
258太極拳終えて別人サングラス
259大の字や予報外れぬ熱帯夜
260クーラーや仏教講座修了書
261納涼川床花火大声禁じられ
262薬局の店のガラスに羽蟻わく
263ごみ袋除草の息にくもりけり
264のどけしや岩に親亀子亀乗せ
265みいちやんはやつとおんもへ春の来て
266咲くもよし散るもまたよし初桜
267卒業や矮鶏に別れの餌を遣りぬ
268なぞなぞの好きな三女や夏休
269髪洗ふ三年ぶりの人だから
270帰省して母の味噌汁堪能す
271賽銭の音に虫の音静まりぬ
272木木といふ木木に電飾冬めける
273白息のいつたりきたり立ち話
274捨つるには惜しき女優の古暦
275夾竹桃少し昭和の残る路地
276四万六千日運命線を握り締め
277靑鬼灯軽い約束ばかりして
278信楽の狸の誘ふ冷し酒
279湧水の縄文ロマン夏木立
280風やみて風鈴もまたまどろみぬ
281風鈴や風の便りを待ちわびて
282膝枕しながら風鈴聴きながら
283短冊の蕪村の句揺れ鉄風鈴
284風鈴や教会の鐘叩くごと
285汗したる何をするにもあ〜暑い
286我が燃ゆる想いを託す彼岸花
287アジサイの花に願いし片思い
288失業の夫の味噌汁いと美味し
289百日紅口蹄疫の空き牛舎
290大の字に寝て涼しさよ妻の故郷
291車椅子交互に押すやサングラス
292白鷺のはっと飛び立つ青田かな
293夏燕水に戯むる少女たち
294シシニクは美味しと返礼西瓜かな
295網戸ごしあまたの星の寝床かな
296ミミズどの急げや急げ陽が昇る
295九州の最大古墳夏の草
296水守りの義兄からもらう夏帽子
297遠花火よく聞き取れぬ日向弁
298子の写真孫の写真や蝿叩き
299送り火の想いがしみる涙かな
300小春日やタマに盗られし膝枕
301タマが伸びつられ私も小春日や
302梅雨の候見上げる空は眩しけれ
303暮れる陽の浅き眠りに虫の声
304黒西瓜腹は美味なるグラデーション
305夏の月水面にゆれて七変化
306チヌ釣りや引きは満月背に三ヶ月
307苦瓜や酒の友なれ三度まで
308二日だけ誰か金魚を預かつて
309西瓜のるバイクの音や里の兄
310月見草一両だけの夜汽車かな
311曲りたる釘そのままに金魚玉
312ねこじゃらしよちよち歩きの子をまねく
313かき氷二つのスプーン山崩し
314手にすくう清水ひとくち汗消える
315幼き手引いて屋台のかき氷
316かき氷遠い昔の父の声
317母の文字葉書の隅のかき氷
318匙の中赤青に溶けかき氷
319かき氷子ら並ぶ列に鴉鳴き
320手にすくい五臓六腑染み山清水
321初恋の甘く溶け消えかき氷
322恐竜の名前すらすら夏休み
323苦瓜や競う雄花の陰にあり
324浴衣着て帯を締められ背をただし
325新盆に西瓜供える静かな背
326送り火のとけゆく闇の気怠さよ
327鬼やらひ「そこにおわすか」闇深し
328バチカンに涙の渦や降誕祭
329おん祭春日の森に神笑う
330エベレストに心は飛んでかき氷
331「あと一周」脳裏によぎるかき氷
332静かなる清水の端に苔光
333山清水古銭の鈍く光ある
334清水汲む我と目の合う小さき蛇
335かき氷うすらいの分ほど残されて
336かき氷下駄の赤緒にひとしずく
337かき氷かき込みむせる浪人生
338かき氷タレ掛ける手をアゴで追い
339ペディキュアで神泉に踏み入りペロを出し
340宵祭り露店横目に拍を打つ
341軽トラで引く山車軽し子等何処
342塩飴と神輿往年ひいふうみい
343大神輿宮入拒み舞う鳳凰
344我が腹に似たり共寝の西瓜かな
345猛暑には並んでまでもかき氷
346早朝に犬と散歩に清水窪
347なつかしや青舌見せっこかき氷
348我が息子食後はいつもかき氷
349願かけてペットボトルで清水汲む
350青柚子を絞る袖から汗ひとつ
351庭仕事背中に刺さる蝉時雨
352母作るサマードレスの三姉妹
353父亡くし伝う涙や夏の庭
354この日から兵士と呼ばれず終戦日
355祖父からは語られぬまま終戦日
356土用波だんだんだんと押し寄せる
357思い出が溶けて無くなるかき氷
358生きること許されており終戦忌
359のうぜんかづら土の香恋しげに垂るる
360流れ星遠くの未来見つめてる
361夏の星すました横顔自分だけ
362夕焼けの中にいるから逢いに来て
363光速で測れる彼我よ星涼し
364優しく潰すゴキブリが君だったなら
365夏休み母も欲しいとせがまれる
366シャンパンの泡と消えたる夏休み
367甲子園テレビと話す老夫婦
368食べ慣れぬ冷製パスタ汗をかく
369打ち水や挨拶交わす石畳
370カラコロと下駄を鳴らして夏祭
371夏草やパンケーキ待つ店の前
372車から杖を下ろして展墓かな
373土用波バス待つ朝のBGM
374夏草や伝う緑の道しるべ
375白い山青いシロップおいしネ
376ドドドンとおなかにひびく花火たち
377海来たるビーチパラソルうばいあう
378朝焼けと青空の際輝きて
379瓜食めば疲れを忘る旅の宿
380梅雨寒に白髪の友は恙無し
381明日は明日今日はこの花日日草
382片陰を求めて道を横切りぬ
383積み上げし小枝を取りて登山杖
384道端のダリアは紅し日は高し
385炎天下水売りの鈴響きけり
386睡蓮の葉揺れて鯉の口開きぬ
387夏燕二羽顔を出す朝の風
388専用の匙で掬ひしメロンかな
389夏風邪や白熊のごと寝転がる
390網を振り蝉は翔びたちかかる水
391炎昼やプレイボールの声高く
392記念日はいくつかあるがトマトが赤い
393腹帯を舅が買うや赤トンボ
394友逝きて鉢に四葉のクローバー
395打ち水の溜まり水避け乳母車
396天焦がし地を舐め尽くし野火すすむ
397汽車黒く谷の緑に曼殊沙華
398残暑なり敷石の縁ミミズ這う
399孫の肩蝶がとまって皆が湧く
400空高く舞う風緩く夏はゆく
401聞こえたよ夏の足音君の声
402冷えきった店の片隅蝉が鳴く
403夢まくら夏の終わりに温かい
404放り込む初夏の香りの氷菓子
405陽に当たる影のない場所蝉の鳴く
406向日葵が日を欲しのびる凛として
407花ひらく夏の中ごろ町の中
408スニーカー青春飛沫夏のしみ
409猫じゃらしタマに負けじとポチが飛ぶ
410ない胸を少し尖らせ夏来たる
411流れ星あいつにドンと落ちてこい
412寂しさを埋めて五色の紙風船
413心地よき大きさのあり冷や奴
414仇討ちの刃一閃蝉時雨
415献詠の声高らかや菊日和
416空蝉の風通し良き背中かな
417枝豆を青々と茹で夫待つ
418夢の中いつも笑顔の亡き人よ
419絵筆持つ古稀の手習い雲の峰
420いい恋をして白靴の汚れざる
421鍵束に十字架一つ原爆忌
422終戦日父は黙って酒を飲む
423はじめての浴衣はじめての口づけ
424打ち水の被せ打ち水打つてゐる
425炎帝や各駅ごとに乗り込むな
426炎帝の乗り込む駅の一輌車
427水中花畳しままに立話
428ポニーテール揺れゐる夏は青きかな
429初伊勢や砂利踏みしめて老夫婦
430青空に噴煙高く初浅間
431年玉や子の柔らかき手の平に
432千両をかんざしのごとそっと挿し
433白梅や雪より白く光りよや
434雪深く山深く入る永平寺
435父の忌の豪雪便り鳥取より
456紅梅や紅さす君は明日嫁ぐ
457菜の花の黄色一列水鏡
458海からの微風さびしや磯菜摘む
459蝌蚪と遊びし校庭や今はなく
460花嫁にかんざしのごと糸桜
461雨はらり桜はらりやき君送る
462入学ズボンの折り目わくわくす
463待ちに待ち潔く舞う桜かな
464五輪だけさいたさいたと桜かな
465薄紅のほほふっくらと八重桜
466土と句と遊ぶ初心ぞ八重桜
467朧月そっと包んでお土産に
468君の夢天まで届け今年竹
469小満の息子の背中広くなり
470煙草とや青梅雨に靄り(もやり)咲く
471忍ぶ恋引き止めるよに白雨かな
472豊洲からビル抜ける風夜涼かな
473扇子から若き風燃ゆ将棋盤
474睦まじく嫁と一緒に盆支度
475日本画のにほひ流れて白日忌(渡邊水邑の忌)
476賑はひて茸尽くしの祝膳
477蕎麦の花列車を下に山に浮く
478一休みどこまで続く鰯雲
479枝が弦鳥たち奏でる秋うらら
480紅葉追いバークシャー山脈北へ北
481駆けぬけし学びの庭に照紅葉
482誇らかに水面に映す紅葉かな
483露寒や耳飾り瑠璃色に映ゆ(フェルメールの絵を観て)
484一山を一夜に燃やす紅葉かな
485木の葉髪白く光るや母の肩
486公園に落ち葉踏む音少女なり
487ほうき手に勿体ないと落ち葉道
488垣根越し焼き芋の香と子らの声
489木の匙で卵雑炊ふうふうふ
490直会のワインの涙冬の雨(夫の17回忌にて)
491迎え火を焚きて牛馬が空へ発つ
492渦巻の灰を捨てたる夏の朝
493油照り庭に水撒き虹かかる
494道熱く火傷させじと犬に靴
495星空にひらけ大輪夢花火
496ががんぼよちらちらみえるファンタジー
497漆黒の夜空に映える冠菊(かむろぎく)※花火の名前です。
498猫の墓碑夾竹桃の花たわわ
499横濱や夕焼け小焼け赤い靴
500サルビアの蜜吸う厚きくちびるの
501蒲焼きを食べつつ語る食べ合わせ
502夜明け君も見るだろうかががんぼよ
503縁側で祖父と見つけた蝉の殻