2024年度俳句の募集は7月19日で締め切りました!!!
【〆切7月19日】で俳句募集終了
8月19日の俳句記念日に開催の8・19俳句記念日大会にて各賞が発表されました。
<2025年度ご応募俳句一覧>
1思い出が好きと思わすぶどう狩り
2葡萄香に誘われ昼の泡一杯
3ダイエットそれでも夜は葡萄酒を
4教え子に話すが如く葡萄むく
5口も手も紫に染める山葡萄
6甲州か甲斐路か王は巨峰なり
7土より這い出し蚯蚓や干されをり
8電柱の硬き影ある西日中
9花ゴ-ヤあまたに咲きてほの匂ふ
10米不足減反政策九月尽
11泣き叫ぶガザのテレビや厄日かな
12瑞穂の国永久に平和や終戦日
13火葬場の1週間待ち穴惑い
14ゴーヤ熟れ真っ赤な種 被爆の地
15百才のリハビリ涼しきストレッチ
16電柱に硬き影ある猛残暑
17秋立ちて三種の果実朝の卓
18熱風の吹き込むかな冷房車
19友に似る雲の浮かびて秋彼岸
20月白や剃り跡青き修行僧
21月白や身震いしつつ夫(つま)送る
22空港へ始発バス待ち月白し
23月白や黄金の穂ゆれ鳥が立つ
24月白の川面ゆれ(かわも)大輪の銀(たいりんのぎん)
25ビルの谷(たに)月白の期待脚をとめ
26月白を眺めて帰る足早に
27沖浮かぶ船月白に星のよう
28ぼんやりと月白眺め旅の酒
29賑やかな我が誕生日ハロウィン
30ハチ公も目剥くコスプレハロウィン
31番台に魔女の置き物ハロウィン
32ハロウィン笑ふカボチャのそこかしこ
33買い物のタイミングよく時雨跡
34窓越しの時雨るる夜は酒のあて
35時雨空念のためにと傘を持つ
<2024年度ご応募作品一覧>
1文月の草畦道に束となり
2着信に耳塞ぎたる蝉時雨
3皆同じ猛暑の中の独り言
4夏バテの信号滲むセールスマン
5外回り梯子梯子の夏茶店
6悠久のロマン渦巻く夏銀河
7甲子園売子の首に冷タオル
8盆帰り同窓会の玉手箱
9夏だからビキニを着るためデトックス
10今年こそ二の腕出そうデトックス
11背中のハミ肉知っていたのに知らんぷり
12白百合が孫の花火に浮き上がり
13コロナ明け旅に出ようか銀河まで
14銀河群五つ輝くペガサス座
15星砂を散りばめたよな銀河空
16銀河見て星も会議と思う夜
17スマホ抱き裸足でベランダ恋銀河
18SLが煙を吐いたか銀河雲
19よるべなく銀河の車中ひとり逝く
20鄙宿(ひなやど)の空は広々銀河濃し
21急ぎ足見上げた銀河立ち止まる
22東京の灯りと銀河競い合う
23細うなじ銀河の下で上着貸す
24曇天や何処(いずこ)に流る天の川
25アフリカで甘藷にて継ぐ命の輪
26膝小僧泥んこになり甘藷掘り
27焼き芋を食らいつつ読む古新聞
28 おつかいの後の楽しみ蜜焼き芋
29懐にカイロ代わりの焼き芋を
30ほくほくと白湯気あげる焼き芋屋
31すかしっぺ仕方ないのよ甘薯のせい
32函館は坂多きとこ冬ざるる
33小春とは名のみか汗のひかぬ日々
34小春空あれは羊か綿菓子か
35張り切って掃除洗濯小春空
36北風をうっちゃり軍配小春日に
37オムライスケチャップで名前書く小春
38旧友と銀座でランチ小春凪
39小春日は脱げる厚着で出かけよう
40コスモスが揺れて川面の波光る
41小春日や信号に鳥共に鳴く
42小春日に見送る笑顔運動会
43待ち人の来ぬ時間も紅葉狩り
44昼休み外で味わう小春ひなた
45白鷺の孤影墨絵のごとくあり
46群れ離れ矢鴨も我も独りぼっち
47白鳥も驚く熱唱古希ユーミン
48 駆け足で浮かぶ水鳥横目にし
49池ぽちゃで避けて羽ばたく浮寝鳥
50鴨夫婦波紋二すじ並び交(か)う
51七種や祖母と摘みし日畝(うね)や土手
52七種を誦(そら)んじる子の自慢顔
53七種の粥を差し出すひとに惚れ
54まだ死ねぬ七種粥をひとすすり
55七日粥ポチっとすればすぐ届き
56大晦日アイドル男子影薄く
57仕事終え並ぶ七草母懐かしき
58七草粥食べず作らず五十路過ぐ
59更地なる実家の跡や梅真白
60ダイエット梅の香で食む(はむ)煮大根
61キャンパスの白梅の蕾まだ固し
62山歩き案内人は梅が香に
63梅が香や紅映える空の青
64梅香る二重跳び五回あらできた
65梅が香をたどりて歩く古鎌倉
66梅が香が揺れるたもとに滑り込む
67退社して名刺を捨てる梅真白
68梅が香にむせぶお祭り笑の神
69葛湯吹く母におねだり三温糖
70新嘗拝塩米酒とあめつちに
71紅淡く(べにあわく)桃花(とうか)ゆれるは巣立つ(すだつ)朝
72何着よう桃の花色探してる
73災いを避けよと願う桃の花
74ぽかぽかと散歩日和や桃の花
75控えめな新妻のごと桃の花
76折り紙の雛がたくさん眠る箱
77車窓より富士の裾野の桃の花
78まとめ髪卒業袴に桃の花
79桜餅喰う塩葉の茎歯茎へ
80死を招く蜂の一刺し油断すな
81密を吸ふはたらき蜂の尻まろし
82夜の更けて蜂の巣除く業者かな
83蜂の毒おのがいばりで中和せむ
84巣の出入り頻りなりけり蜂四月
85蜜蜂も三労四休寒戻る
86蜜蜂や足先は黄と橙の花粉かな
87梅の香はあるようで無き季節病
88北向きの塀沿いに遅く梅の花
89三春には梅もひっそり役を待つ
90孫の手で蜂を追い出す夫の居て
91産月の娘に蜜蜂の二三匹
92バス停に吾独り待つ余寒かな
93麻酔より覚めて窓辺に山笑う
94蜜蜂や子のさす指に止まりおり
95蜂来たり潜るしょっぱき露天風呂
96剣抜かず老ゆる蜜蜂我も又
97咲き競ふ雛の口々山笑ふ
98蜂の巣や煮えくり返る腑の如く
99浮かぶ蜂じりり近づくハイヌーン
100ポットよりコーヒーを汲む梅見かな
101夫ときし梅園の空仰ぎゆく
102梅林や夫と分けあふ梅ソフト
103花の雨廻るレストラン閉店と
104満開の桜の下の運動会
105戸袋に吸い込まれゆく蜂の群
106蜜蜂の仕事疲れて戻る箱
107日一日色を重ねて山笑う
108石仏の肩まで埋めて山笑う
109茶処に湯気立ち込めて梅日和
110来世もと言う君染める桜かな
111陽だまりや菜の花震え蜂飛べる
112春の海会えること無き人想う
113黄砂舞う街を見下ろす生駒かな
114知らぬ街尋ねる家に梅白し
115蜜蜂や琥珀のひかりまき散らす
116山笑ふスタンプだけのLINEかな
117蜂蜜や春光集め黄金色
118キャンディを包むセロハン山笑ふ
119山笑ふ六千尺の露天風呂
120梅一輪花瓶の中の故郷かな
121足踏みし窯出し待てば山笑ふ
122リハビリの一歩一歩や山笑う
123山笑う孫の乳歯見つけたり
124道真を偲びて開く梅の花
125咲き満ちて此の香此の色梅の花
126補聴器に風渡る音春立ちぬ
127ゆづりあい田浦の里の梅日和
128外つ国にゐて待ちどほし梅便り
129白梅の庭冴え渡り三回忌
130ポップコーン弾けるごとく梅開き
131猟船の賑わうあたり初茜
132今年また開花早まる梅便り
133離れ家に点る白梅星の影
134蒼天や冬の桜木時を待つ
135梅の香と一気に上へエレベーター
136梅林に人影絶えて夜の風
137四阿に座れば四方の山笑う
138娘の握るおにぎり二つ山笑う
139梅園に笑う老若あんこ餅
140蜜蜂の花粉まみれで巣に戻る
141麓行く巡回バスや山笑ふ
142安曇野の堰の飛沫や山笑ふ
143縁側で刈られし白髪山笑ふ
144運命や働き蜂と女王蜂
145通勤のひとあしお先春コート
146門入れば白梅の香に迎えられ
147捨て仔犬初めて振る尾山笑ふ
148梅の花もの無き畑に色点じ
149ホットティー今日か明日かと梅の花
150東雲に星消え忘れ山笑ふ
151LINEにて梅の咲き様尋ねけり
152それぞれの蕾萌えそむ梅月夜
153支笏湖の水のきらめき山笑ふ
154莟からいつしか香る梅の里
155旅立ちの悲喜こもごもに山笑う
156女子旅やるんるん気分弥生尽
157山笑う宿場めぐりの中山道
158春風や湖畔の清き水なごむ
159箱根路はモザイク模様山笑う
160辛夷作突き進むよな青空へ
161好物のぼた餅添えて墓参り
162山笑う野の花つんで墓参り
163もち米を包む笹の葉祖母の指
164新調のコート揺らめき山笑う
165炊き上がるほのかな香り嫁菜飯
166春コートAI暖かいと言ったのに
167草笛で「ふるさと」を吹く老人会
168石垣のこんなすき間にすみれ草
169ここはどこ曲がりそこねて山笑う
170球春や鼓動高鳴りさあ勝負
171山笑う靴に小石の朝さんぽ
172春風の海側譲る地元っ子
173春コート甘味処へ歩も軽く
174あんず咲き豊かに香る木々の朝
175天守閣登る歩軽し桜待つ
176土の中栄養貯めて春野菜
177読み聞かせのパパの寝言山笑う
178山笑う踊り子号の英姿かな
179強羅公園ミツマタの花花盛り
180蜂みつけそっと逃げる子かくれる子
181テラス席紅茶カップにとまる蜂
182蜂集う野原一面黄にピンク
183鞍馬寺離れの風呂の迷い蜂
184誘われて花粉遠くへ配ぶ蜂
185おにぎりほおばる笑顔に桜舞う
186木の上には手鞠のような八重桜
187葉脈は輝き浴びて風光る
188初桜すりきずほどの傷心も
189道の駅つばめの巣だと子らの声
190木漏れ日や裏参道の蜂の羽音
191振るほどにミツバチの群れ押し寄せる
192初桜くぐり今年の記念とす
193蜜蜂やじいじと吾子の庭いじり
194花見酒夜半の嵐で散る前に
195南禅寺水路流るる水温む
196お花見は散歩嬉とはしゃぐ猫
197医院訪う多くのひとの初桜
198初桜つまらぬ地にも嬉しきかな
199蜂の巣や西向きの父母亡き生家
200春爛漫弾ける笑顔永遠にあれ
201無我夢中千葉の空地でよもぎつみ
202後悔の断酒宣言若竹煮
203ビル屋上銀座の蜂が密運ぶ
204桜道くもり空でも胸踊る
205ふるさとの豊後水道春の虹
206風そよぎ水面きらめき花筏
207土筆摘み空に大きく夢をかく
208満開の花びらひらり花曇り
209われ二度目母には初の桜かな
210水鏡逆さ桜が波に揺れ
211夕桜見ながら今日も帰る道
212大仏の手のひらの中蜂が飛ぶ
213うつむいて妖精みたい咲くカタコ
214菜種梅雨おニューの傘で気分上げ
215出でる芽も勢いもらう穀雨かな
216直ぐ食べる男料理の蕨かな
217ここからと順番通り田水引く
218金瘡小草いわれを聞けば愉快なり
219打ち寄せて樹影宿して花筏
220雲海に乗りて旅路の紅葉狩り
221エベレスト如きそり立つ入道雲
222真白にぞ流るる雲と雪見酒
223こんなにも好きになつたの俳句の日
224「不可能」はつかはぬと決め俳句の日
225胸を張る百寿の翁俳句の日
226明易や歳時記広げ小半時
227ひとり旅ひと駅ごとの俳句の日
228春風に綿毛飛び立つ口の端
229もう5時かねんねの時間チューリップ
230ふわふわと伸びた摘まれぬアスパラガス
231子の肌も畑も鮮やか五月晴れ
232月の顔ちょっと怖いとしがみつき
233青信号園児の列に風薫る
234緑陰に柏手響く神の杜
235緑陰の参道ビストロに行列
236吟行のゆるり新樹の陰たどり
237祝着(のしめ)の子泣き新緑の宮参り
238新緑や山野辺の道朝散歩
239撮り鉄や煙と汽笛大井川
240雲のごと花桃咲いて人つどう
241草屋根や向井潤吉アトリエ館
242夏の夕盆地一望みたまの湯
243田植え後夕日映して風揺れる
244古へと藤棚越しの巫女の舞
245ゆび栞うつらうるらの五月晴れ
246ダンゴ虫じっと見つめる吾子の汗
247朧月夕食一緒にいかがです?
248晴れてなお松陰神社新樹光
249松陰の墓所に吹き抜く若葉風
250かりそめの心に残る新樹光
251百八本プロポーズには赤いバラ
252五月闇目を凝らす先行き止まり
253新樹の松陰の墓寛やかに
254新樹にたわぬれる鳥武家屋敷
255神社参り手水にうつる新樹光
256よみがえれ松蔭の意気新樹光
257松陰神社記念写真の新樹晴
258五月雨傘ぐるぐると一年生
259梅雨じめりソファー片すみ昼寝夫(つま)
260バスを待つ傘に連弾五月雨
261梅雨晴れにとびきり高いパフェオーダー
262雑草に追われる日々の草むしり
263吊り橋を渡っておいでと新樹光
264春霖にのらりくらりの昼寝夫(つま)
265梅雨晴れにスキップしようよ手をつなぎ
266紫陽花の笑顔の先に傘の花
267雨の中凛と艶増すカキツバタ
268五月雨に暗譜して弾くドビッシー
269深山のあじさいや楊貴妃観音
270夏来るシフォンケーキが膨らんだ 271梅雨に入る将棋部の息子と山崩し
272足踏みの亡母のミシンや濃紫陽花
273同窓会めくるアルバム紙魚隠れ
274断捨離し本棚の紙魚逃げ惑う
275美術館ゆるり鑑賞梅雨最中
276登山電車あじさい並木窓近く
277路線バス梅雨の箱根路走り抜け
278古文書を開けて見つめる紙魚のあと
279五月雨水に張られる苗の列
280祇園坂三味の音のせて梅雨葵
281紫陽花や名刹の庭別座敷
282虹色に浮かぶ紫陽花手水(ちょうず)鉢
283おろしたて花柄シャツに風薫る
284風薫る週末どこへ行こうかな
285初出勤風薫る道深呼吸
286森いぶき風薫る丘さんぽみち
287薫風に推しの歌声響きおり
288待ち合わせ風薫る街まだかしら
289風薫る炭火も香る河川敷
290風の香に誘われズック買いにゆき
291ブランコを踏む背でそよと風薫る
292風薫る谷中銀座の人だかり
293カフェよりもベンチで待って風薫る
294鈴蘭を揺らして音を確かめた
295ベルフラワーうつむきながらもリンとして
296すずらんはペダルの風に揺れており
297葉に隠れ恥ずかしそうに白鈴蘭
298鈴蘭のふくらみにある香と毒と
299鈴蘭香音色のように溢れくる
300円背(えんぱい)の母の顔(かんばせ)白鈴蘭
301すずらんのブラウスピアノ発表会
302鈴蘭に目を細めてはゆらゆらと
303鈴蘭の香りの案内(あない)笑みの祖母
304風の中踊る鈴蘭香る道
305尾瀬沼の鈴蘭の香や深呼吸
306すずらんのブラウスピアノ発表会
307日溜まりへ雀舞来る小正月
308沖をゆく船も染めたり初茜
309日溜まりへ雀舞来る小正月
310出不精の父の背押す祭笛
311新勝寺日永に煙る常香炉
312風止んで山ふところや夏霞
313母親へ無口な父のカーネーション
314限界の村に一竿鯉幟
315春泥は犬も苦手か遠回り
316目刺し焼く煙も馳走台所
317佐保姫の優しき霞に夢に入る
318赤子抱くマリアの笑みに合歓の花
319龍田姫 移ろう色もまた美し
320嬰児の曇りなき眼に母と花
321美しき四季の変化に酔いとまらず
322子の帰り待つ短夜の長さかな
323六月の雲垂れこめる川面かな
324ガラス越し山々ゆがむ走り梅雨
325人の絶え墓石にぎわす苔の花
326限界の村一竿の鯉幟
327新色の紅ひく妻や初鏡
328薄氷踏む怖怖と踏むそろと踏む
329夕星のひときはきらら寒の入
330楽しみな未来書き入れ初暦
331三寒にうづき四温になごむ膝
332屠蘇祝ふ酌ははたちの孫娘
333七種の青き湯気立つ厨かな
334雪解けて棚田下り来る濁り水
335丁寧に猫顔洗ふ二月かな
336猫屋根に陣とるバレンタインの日
337鳥雲に故国へ帰る宣教師
338畏みて卒業証書以下同文
339春なれや旅のパンフを拾ひ読む
340孫はたち雛もはたちに段飾り
341親と子の春闘妥結千円増
342おたがひのうそ笑ひあふ四月馬鹿
343あいさつにはなまる三つ一年生
344ジパングは少子化社会子どもの日
345母の日も母はいつもの母なりき
346鈍色の空ゆくヘリや梅雨曇り
347餌を欲しと軒の子つばめ四重奏
348江ノ電へ触るる近さに七変化
349ほたる掌に妻の瞳のいとけなし
350蠅の所作一茶になりて見てゐたり
351妻のメモ扉にぺたぺたと冷蔵庫
352朝焼や潮騒とどく旅枕
353灯台をかもめ群れ飛ぶ夏岬
354噴水や昼を商ふキッチンカー
355叩かれて西瓜応へる熟れ具合
356あした逢ふあなたのために髪洗ふ
357潮鳴りと潮の香耳鼻にハンモック
358風鈴を鳴かせてゆけり通り風
359ででむしにつかずはなれず猫パンチ
360意のままに鵜縄さばくや式部職
361星見つめ友を悼むや夕端居
362岩絵具筆に画の柿実ろうぞ
363ぬぐうには縁無き涙時雨かな
364梅の実の黄ばむや病みて呑めずかな
365優しさの折れぬ樹氷に子は徹す
366大丈夫と宣う花や木の根元
377絵手紙のスイカ熟れたころに着く
378偽物と知りつつ愛でる夏茶碗
379山荘の夏炉を囲む夫婦かな
380虹の根を見たくて吾子が走り出す
381山鉾の喚声先に届きけり
382ムクドリはなんでもいつもあるいてる
383自傷かの句作せるひと梅雨晴間
384迎え鐘生住異滅機嫌よし
385八・一九自句灯籠にして流す
386美術展目指せる絵よりパレットが
387紫陽花の 横にちょこんと アマガエル
388携帯と 時計はスマート 俺ぽっちゃり
389マスク取れ 君の笑顔に ひと目惚れ
390就活の 孫を横目に 終活を
391ネット社会 紙にパスワード 覚え書き
392「残ったの」無花果一個 道の駅
393雛壇の ノンアルコール 舐める吾子
394露草や 野路に瑠璃色 目を見張る
395塩むすび 母の手作り 今年米
396向日葵の ポスター破れ 無人駅
397早苗饗のお神酒戴く農機かな
398マロニエの日影に入りてバスを待つ
399三溪園音符のごとく舞う蛍
400紫陽花の色濃く深く裏通り
401春の旅青磁白磁を手に取りて
402サイゴンや誇り高けり蓮の花
403夏服の白まぶしいばかりナース帽
404植田風棚田次々駆け上がる
405ふる里の大地にかくも枇杷うるる
406病葉やいのち輝き読みかえる
407畑打の馬齢のままに独りごと
408ラムネ飲む昭和の音をころがして
409母の後見よう見真似の盆踊り
410雷神の怒り凄まじ天を切る
411揉め事を腹に納めて心太
412一徹に生きし祖父の忌冷や奴
413放牧の牛の反芻青葉風
414筆圧の強き絵日記一年生
415夕焼けの背にチャリ急ぐ夏足袋や
416粒揃ひ種のデパート衣更
417泥土を跨ぎ入る家水芭蕉
418ペン走る提出前の青蛙
419五等分頬ばるパンの夏祭
420梅雨空をもろとも磨くビル掃除
421三つ編みの少女クリームソーダ水
422天底の風をくすぐる百日紅
423山桜桃無風無音の畑の端
424再度見る二度見三度見胡瓜捥ぐ
425父母の永代供養新茶汲む
426浄土への近道はなし瑠璃蜥蜴
427軽トラの窓に足おく三尺寝
428青葉光川面に映る橋の裏
429筆談具あり単線の駅薄暑
430必着とあり父の日のプレゼント
431このバスに乗らねば遅刻燕の子
432動物のやうに息詰め金魚追ふ
433夏服やつばひろ帽子取り出せり
434擦れ違ふ二の腕まぶし街薄暑
435小流れの群れて渦巻く走り梅雨
436みまかりし友は直葬風青し
437足爪の紅き色かな夏立ちぬ
438虎が雨何も告げずに友の逝く
439孫抱くじじの目細き七五三
440冬流星数えし君の横顔を
441雨あとやまばたき惜しむ虹の彩
442衰えど無事之貴人母米寿
443熱燗とスルメイカありゃ他要らぬ
444渡月橋インバウンドで軋む音
445マスク減りオーバツーリングもう結構
446ぐぅたらもんさぁ〜さぁ〜さぁーと片付かづ
447暑い梅雨かえるはどこで雨やどり
448祭りあと背中に響く花の音
449健康に注意をしても知識なし
450城跡に山百合そっと首をのべ
451花南天失敗したぞ写真展示
452お化けかな烏瓜だよ白い花
453初姫か一番バッター桃出来る
454甘草や次の出番と身構える
455紫陽花がお帰りなさいと梅雨うれし
456お洒落して訛り隠して春上京
457猛勉強夢の東大サクラサク
458散りてなお路地を賑わす花吹雪
459桜蕊十二単衣を纏い咲く
460百度咲き散りては咲いて桜蕊
461高層の風雨に負けぬサルビアや
462満貫のトマトどうして食らおうか
463渋滞や紅白の葵順繰りに
464朝焼けにブーゲンビリア背を向けて
465夏風邪や陽射し睨んで立ち尽くす
465夏風邪や陽射し睨んで立ち尽くす
466黒南風に五分待ってと息切らす
467日帰りのいで湯にまったり梅雨晴れ間
468袖なしのワンピース着る梅雨晴れ間
469腰痛で知る梅雨時の空模様
470炎天下配車アプリの返事待ち
471新樹蔭(かげ)病の癒えて深呼吸
472水温む飛沫(しぶき)とばして洗う顔
473よちよちと小雀一羽駐車場
474囲碁教本父の書き込み紙魚(しみ)の跡
475五月雨てどこに忘れたジャンプ傘
476梅雨晴れの鳥声いずれ伝話なる
477塵は塵いうや黒南風鳶は鳶
478朝は降り梅雨晴れ間来てごろごろす
479黒南風のとき閉じて出る日記帳
480目的地コンビニだけの梅雨晴間
481こんな日も夕方がある五月晴
482五月晴やっと厚手のニット干す
483雨どいの一雫落ち五月晴
484編みぐるみ一緒にお出かけ五月晴れ
485五月晴むつかしいことあとまわし
486上がりできた視線は夏空へ
487内灘(うちなだ)やアカシア香る銀世界
488能登の船復航進まぬ春嵐
489紅一点粗野にたたずむ寒椿
490大花火浴衣美人と生ビール
491旅立ちの発車のベルよ花鈴蘭
492窓枠の絵画のごとし夏座敷
493蝿叩き宿屋の主人の仕事なり
494卒寿なる母の寝息や夏暖簾
495幼子の扇風機の前陣取って
49610年過ぎ氷の出来ぬ冷蔵庫
497世田谷線窓の近くに釣り忍
498水着のままラーメンすする海の家
499水中花泡一つたち開きをり
500長年の投薬減りて新樹光
501曇りても心は常に新樹光
502山里を訪ねし視界新樹光
503県境越えて注ぐは新樹光
504ショパン聴き眼を閉じ見える新樹光
505葉のしずく新樹煌めく雨あがり
506ロープウェイ新樹見下ろし空を飛ぶ
507新樹光鳥のさえずり響く朝
508濡れてなお紫陽花の色深く映え
509雨あがり新樹の先の空と雲
510花だったブランコの上いま新樹
511真緑の服して新樹潜りけり
512父と眺むる新樹は我に寛大で
513新樹行くBGMの宇多田など
514公園に赤ちゃん新樹これからね
515木々の葉に揺れる光の新樹光
516花嫁や祝う門出の新樹光
517雨蛙 鳴き声消して色変えて
518花菖蒲水路スイスイ 渡し舟
519泥濘に 泥んこまじり 田植え歌
520庭椅子を右にずらして新樹光
521六月や遺影の友は晴れおんな
522郵便車新樹の道を曲がりゆく
523濃紫陽花開国のペリーロードよ
524新樹の香ぬり絵にはまる母米寿
525父祖の地を守り抜く母新樹光
526断捨離で空きし引き出し新樹光
527蘇る父の一言茄子の花
528タイムカード捺して夜明けの新樹光
529川上に揺れる新樹の奥吉野
530坂道を駆けておいでと新樹光
531父の日に父の思い出語る母
532新樹光いつの間にやらゆび栞
533星空と新樹の下で待ち合わせ
534墓参して父母の声聞く新樹晴
535新樹光子らの歓声跳ね返せ
536若き者新樹の下でボール蹴る
537ふわふわの海月見つめて無の境地
538短夜や積もる話の姉妹旅
539茶を点てる友の手元に薔薇の菓子
540見上げれば新樹のフレーム空一面
541藤の蔓我が家に向かって手を伸ばす
542夏至の雲あかねの空にまだ遊ぶ
543文迷うかぐわしきは八重の百合
544ため息も吹きこみ青きシャボン玉
545春愁の守り袋を結直す
546蟇穴を出て歪みたる鏡かな
547軒先に猫が住みつく菜種梅雨
548水温むをのこもすなる厨ごと
549五月雨や龍と目が合ふ天井画
550五月雨やいまだ客無き古本屋
551五月雨や茶房の時はゆるやかに
552五月雨や散歩の犬に合羽着せ
553五月雨や速度増したる舟下り
554古文書を開けば紙魚の食みこぼし
555紙魚走る国語辞典の裏表紙
556いにしえの手帳に走る紙魚の跡
557宿の窓開けて目にしむ新樹光
558免許証返上すれば五月雨るる
559五月雨や豆ふっくりと芽をかかぐ
560新緑の道産子のひづめ響かせて
561ダリヤ植え退院の日を思いをり
562五月雨やきゅうりの苗を植え直す
563道産子の十勝野を引く麦の秋
564湧き水に命与えて新樹光
565五月雨や歩道流るる傘の花
566新樹光産院の灯の消えし朝
567五月雨を拒む渇きしビルの森
568墓標なる新樹の光宙に満つ
569雨粒の柔らかきこと皐月雨
570幼子の背をすっぽりと新樹蔭
571店先に傘並ぶ日や五月雨るる
572韓ドラを観る夜や紙魚の走る夜
573五月雨にステッキ傘の紳士かな
574あかあおみどりの下駄一列や夏館
575隣卓は三回転目五月雨るる
576蒸気立つ工事現場や五月雨
577新樹晴れ川崎宿の芭蕉の碑
578天に星地に酢漿のありにけり
579五月雨を眺る猫の背や哀し
580風薫る母子うとうと肌着揺れ
581在りし日の面影探す新緑寺
582五月雨にひねもす烟り法隆寺
583五月雨に濡るるてるてるばうずかな
584五月雨のいつやむとなく墨田川
585五月雨やオランダ坂の石畳
586赴任地の駅前通りさみだるる
587父の日や父と息子のコップ酒
588さうめんを洗ふ水音楽しげに
589駄菓子屋の前に積まれしソーダ水
590洗ひ髪乾く間もなく人に会ふ
591五月雨に暗譜して弾くドビッシー
592深山のあじさいや楊貴妃観音
593夏来るシフォンケーキが膨らんだ
594梅雨に入る将棋部の息子と山崩し
595足踏みの亡母のミシンや濃紫陽花
596同窓会めくるアルバム紙魚隠れ
597断捨離し本棚の紙魚逃げ惑う
598美術館ゆるり鑑賞梅雨最中
599登山電車あじさい並木窓近く
600路線バス梅雨の箱根路走り抜け
601古文書を開けて見つめる紙魚のあと
602五月雨水に張られる苗の列
603祇園坂三味の音のせて梅雨葵
604紫陽花や名刹の庭別座敷
605虹色に浮かぶ紫陽花手水鉢
606五月雨傘くるくると一年生
607梅雨じめりソファー片すみ昼寝夫(つま)
608バスを待つ傘に連弾五月雨
609梅雨晴れにとびきり高いパフェオーダー
610雑草に追われる日々の草むしり
611吊り橋を渡っておいでと新樹光
612春霖にのらりくらりの昼寝夫(つま)
613梅雨晴れにスキップしようよ手をつなぎ
614紫陽花の笑顔の先に傘の花
615雨の中凛と艶増すカキツバタ
616紫陽花の根元にそっと置く墓石
617長電話奥で微かに蛙鳴く
618梅雨曇忘れた傘をまた忘れ
619窓越しに滲む紫陽花水彩画
620洗濯の都合待たずに梅雨来る
621 夏風にとなりで笑う金魚草
622光る道頂上めざす夏の富士
623富士登山人々つなぐ日本一
624日焼けしてニコリと笑う息子たち
625ひんやりと地下水プール皆笑顔
626タイル踏む昼の湯浴みの秋めけり
627色変えぬ松の空あり通学路
628和に憩う星の片隅夏深し
629此の夏も過ぎてまぼろしかなかなや
630月までは届かぬかほり金木犀
631街作る鳶の跳ねたり金風来
632秋澄むや自転車のベルはね返る
633早朝の明かりの深し大和鈴虫
634山の日や小さな丘をのぼってみる
635紫御殿釈迦の家柄高貴たり
636天は気まぐれ風蝶草を過ぎて雨
637百日紅貰い受けたき花々よ
638空白み待宵草の夜が終わる
639境内のマリーゴールドにも祈り
640早起きの徳の三文凌霄花
641親子旅初日の雲海夢のよう
642なまはげや肩叩かれて倒れる娘
643広大な海と灯台緯度の石
644かもめ群三本杉岩澄んだ海
645地獄谷地肌の凄さ谷底も
646おさな娘の掴みとりたいつるし雛
647蜂ふきげん総力戦で疲弊気味
648末っ娘の黒いパンプス新社員
649桜まじセーラー服も母手製
650鯉のぼり上の子の推しはおとうと
651日傘さすメリーポピンズ温暖化
652海は和ぎよみがえる珠州二重虹
653終点と始発の下田帰省かな
654還暦のはじまる秋に詩仙堂
655秋朝や還暦の旬はこれから
656千年の古都を語るや星月夜
657出しそびれ残暑見舞いの片思い
658「かっ飛ばせ」メガホン叩き暑気払い
659手花火の落ちて笑窪の残りけり
660音無の湖面に咲くや夏花火
661夏帽子垣根で主を待ちわびぬ
662夏雲や大河の旅を予約済み
663梅雨入りの琵琶湖の旅情狭くなり
664鮎釣りの達人集う吉野川
665吾子の髪初めて洗う手の震え
666散る紅葉滝壺の中鮮やかに
667海釣りの子の息白し釣れたかな
668メディカツを見れないツタチャンで
669月涼し欠けは地球が食べちゃった
670白旗を春夢のくにの旗とせり
671キライまで嫌わぬで良し日輪草
672ひまわりや無縁のひとに献花せり
673奪わるるとなれば惜しや蓮の飯
674夏休み姪と向日葵背くらべ
675ビオトープに今年も来たトノサマガエル
676来年も元気に参加できるかな
677来年も詠めるといいな生きていよう
678無季俳句自由に詠めと言われても
679こんばんはちょっと遅れたごめんなさい
680突然のゲリラ豪雨にバカヤロー
681もうだめだ梅雨明け前に夏バテだ
682俳句の日考えすぎて頭ハゲ
68310周年誠に誠におめでとう
684梅雨明けを待てずに孫の初プール
685月見草空のゲージにお供えし
686十周年本当に本当におめでとう
687あと10日 Chat GPT駆使して HAIKUの日
688東に富士西にスカイツリーキャロットタワー
689ヒッチハイクで行きたいパリ五輪
690笑顔同封向日葵のギフトシール天に届け
691炎天下ミストシャワーよ夏のオアシス
692夏化粧膝小僧は素のままで
693二羽降りる一羽半身のうしろから
694露乃夜の虫音や草履邪魔ござる
695五月晴やっと厚手のニット干す
696五月晴むつかしいことあとまわし
697こんな日も夕方がある五月晴
698雨どいの一雫落ち五月晴
699五月晴むつかしいことあとまわし
700一年生制服の袖手を隠す
701房総の潮風うける花見酒
702旅先の水温む朝ししおどし
703手を合わすお地蔵様の顔に蜂
704ため息も吹きこみ青きシャボン玉
705願かける音羽の滝の水温む
706平穏な日々に感謝の花見酒
707水温む飛沫(しぶき)とばして洗う顔
708銀閣寺侘び寂びの中さくら色
709よちよちと小雀一羽駐車場
710囲碁教本父の書き込み紙魚(しみ)の跡
711軒先に猫が住みつく菜種梅雨
712草萌ゆる復興祈るコンサート
713水温むをのこもすなる厨ごと
714五月雨てどこに忘れたジャンプ傘
715春愁の守り袋を結直す
716蟇穴を出て歪みたる鏡かな
717まぁだだよ今年の桜かくれんぼ
718黒南風に五分待ってと息切らす
719日帰りのいで湯にまったり梅雨晴れ間
720袖なしのワンピース着る梅雨晴れ間
721腰痛で知る梅雨時の空模様
722炎天下配車アプリの返事待ち
723梅雨晴れの鳥声いずれ伝話なる
724塵は塵いうや黒南風鳶は鳶
725朝は降り梅雨晴れ間来てごろごろす
726黒南風のとき閉じて出る日記帳
727目的地コンビニだけの梅雨晴間
728初桜ひとつ前の停留所
729初桜待ちくたびれて開く宴
730初桜見るたび思う過ぎし日々
731みどり児の光さす方初桜
732初桜歩みも時もフリーズして
733年いちど逢えるのかしら天の川
734しんしんと澄み渡る宇宙(そら)オリオン座
735空に咲けズシンと響く五尺玉
736菜の花にふり注ぐかな朧月
737ひと夏の陽炎のよう消えた恋
738日傘てふ影の一つを持ち歩く
739ポストまで借りる息子の夏帽子
740サングラス尾崎豊の「ILOVEYOU」
741皿に乗るただひと匙の夏料理
742夏服や大胆にしてシンプルに
743夏サウナ1ラウンドケーオーの巻
744初鰹足にまとわる猫を蹴る
745夕立やずぶ濡れ客がハッハ笑う
746涼風の通りで猫が長くなり
747里シネマ大きいハコにひとりぼち
748わっしょい!仕事忘れて一夜酒
749呑み重ね麦酒から冷酒愚俳
750ベランダに妻丹精の新樹かな
751銀輪の動きに揺れる新樹光
752ジャカルタの常なる新樹朝日降る
753瓦礫舞う戦火の街の新樹かな
754右の風強まる世事に新樹建て
755解表したる掛軸に紙魚走る
756紙魚の住む伝承されし山水画
757五月雨や行商人の能登訛り
758五月雨や人なきコインランドリー
759五月雨や町家格子の花街かな
760古書店の手にとる辞書や紙魚の痕
761過去帳を干して気づくや紙魚の穴
762紙魚走る六法全書昭和版
763板垣の百円紙魚に喰はれをり
764用済みの母子手帳食むきららかな
765買い替のメガネよく見え新樹光
766トンネルの先に届けり新樹光
767本棚は読まぬ書籍の紙魚の宿
768父の古書開けばどれも紙魚の跡
769無人駅見送る友や五月雨るる
770開拓の村新緑をたどりゆく
771草刈れば草飛び香りひろがれる
772菊挿して入院の準備終はりけり
773父の日や笑ふ遺影に缶ビール
774豆飯の湯気香る中母ゐます
775五月雨に我待つヒュッテの灯が滲み
776五月雨を押し開け救援船が発つ
777弦音鳴る矢道に溢る新樹光
778五月雨や泥に流さる竹の碧
779五月雨やもうすぐ友は友の妻
780紙魚とても触らぬ神の漢和辞書
781新樹蔭の移る方へと車停め
782新樹風独り歩きの友となり
783五月雨のやまずぬかるむ家路かな
784新樹風アッピア街道静まりて
785鳩もまた平和を傘に五月雨るる
786平和とふ傘が重たい五月雨るる
787かろうじてすずめ隠れている新樹
788市役所の夜間窓口額の花
789この街の謎解きごっこサングラス
790五月雨を眺る猫の背や哀し
791風薫る母子うとうと肌着揺れ
792在りし日の面影探す新緑寺
793村と村つなぐ吊り橋新樹光
794古文書を開けば紙魚の食みこぼし
795紙魚走る国語辞典の裏表紙
796いにしえの手帳に走る紙魚の跡
797五月雨や速度増したる舟下り
798五月雨やオランダ坂の石畳
799赴任地の駅前通りさみだるる
800目鼻さえ区別なき地蔵新樹光
8015バーツの籠いっぱいのバナナかな
802五月雨にひねもす烟り法隆寺
803ヒロインの涙を齧り紙魚きらり
804雨上がり新樹まぶしき建長寺
805夫眠り書斎に紙魚の走る音
806新樹風抜くる谷中の築地塀
807峡谷のトロッコ列車新樹風
808熊野古道翳りの中の新樹かな
809湧き水に命与えて新樹光
810五月雨を眺る猫の背や哀し
811五月雨や龍と目が合ふ天井画
812五月雨や豆ふっくりと芽をかかぐ
813幼子の背をすっぽりと新樹蔭
814新樹晴れ川崎宿の芭蕉の碑
815五月雨や茶房の時はゆるやかに
816定まらぬ嬰の眼や新樹光
817徒歩き新樹にもらふ生気かな
818五月雨やしんがりを行くランドセル
819五月雨に句点打つよな赤き傘
820木洩れ日に緑いやます新樹かな
821道産子の葦毛三つ編み緑さす
822爆弾のやうなおむすび新樹光
823銀輪をつらね少年新樹風
824放牧の牛の反芻青葉風
825筆圧の強き絵日記一年生
826赤青緑鼻緒一列夏館
827フリージア二丁目はもう未知じゃない
828山桃やピザに意外と合う不思議
829山桃や粒揃いではなかりけり
830銀杏や落ちこぼれても粒揃い
831渾身の空振り三振風光る
832雀の子それでも囀る炎天下
833雷の演奏しきり日の暮れに
834不器用で泳げなかった恋の川
835ロボットの冷たい肌に安堵する
836雨雫地球の涙かも知れぬ
837妻たちは今乾杯をしてるころ
838レシートに今日の夕餉を嗤われる
839“売家"立つ主人なき庭草いきれ
840悲しみを堪え見上げる天の川
841自然災害人は悲しき草の花
842被災地に今日も無情の五月雨
843酷暑の日コンビニ寄って一休み
844噴水の向こうにひかる君笑顔
845噴水を一緒にくぐろうヨーイドン
846明日への希望が見えた大花火
847夏が来るヨサコイソーラン大漁旗
848かっ飛ばせ酷暑に負けぬホームラン
849ハイシリイ!今日の天気は?酷暑です
850アイヌ古潭ムックリの音色新樹光
851夕立か?イエイエ未だ梅雨最中
852プックリと丸くゴロゴロ梅酒漬け
853浴衣着て踊る笑顔にインバウンド
854意に背き悪なりし日の暑さ負け
855洗い去る家居の雨や夏の夜
856中秋節まるというよりぺたんこだ
857美女柳似非にはじまる才の在り
858月読の要らぬ月夜をただ眠る
859朝はまだ涼し麦茶2回沸かす
860新発売子と飲み比ぶ缶ビール
861仏桑花朱(あか)し少女の涙色
862ケチャダンスハイビスカスも紅く揺れ
863ウブドゥの夜ハイビスカスは火の如く
864紙魚の染み凍時と見て親身りと
865句会にて見たことの無き紙魚を知る
866五月雨も豪雨となりて句となりぬ
867五月雨にテニスボールの音鈍く
868育休や浴衣も映える里帰り
869タープ張りビール焼き肉夏の雲
870花火あと静寂と闇より深く
871たまにはね酷暑の谷間夕涼み
872潮干狩り誰が一番家族の日
873ケーブルカー新樹光浴び一直線
874雨上がり青空映して薄暑光
875野や山に生命みなぎる新樹光
876茄子きゅうり精霊馬で父母迎え
877鍋蓋の蓋を開けたか酷暑の日
878ポンと咲き四日午前だけ蓮の花
879ホタル狩り日本風情にインバウンド
880行李あけたとう紙ほどく紙魚のあと
881アイヌ古潭精霊宿る新樹森
882帰り道コンビニ寄って涼もらう
883灯り消す夕餉の部屋てホタル舞う
884辛夷咲く悔悟の拳解くように
885土を揉む燕軽々返す谷
886島唄や眠る浅蜊に陽は戦ぎ
887五月雨や光籠りし竹の径
888五月雨に我待つヒュッテの灯が滲み
889新樹光溢るる矢道弦音鳴る
890梅雨晴れや自分探しの地図開く
891草笛や傷癒ゆ戦士帰任の途
892葉桜下友の留学便り読む
893葉桜や射手の踏み出す足袋真白
894アリア発つ野外オペラに銀河燃え
895暗がりで繋いだ手と手蛍狩り
896ばかやろー恋忘れ草涙雲
897恋成就五七五で絵馬に描き
898水たまり長靴の音子がはしゃぐ
899うつむけど水面眩しき朧月
900鴬のどこにいるやら山桜
901兎の子放ちて追うて浜は鳶
902夏かおる月の朧
903カメラが具合悪い真夏の砂浜
904シャツひろげている浜の二人
905大仏を背にして帰る
906磯の猫がすばやい島の小路
907墓の丸い背に苔
908傘振って帰る軒の風鈴
909藁傘いただいている雪の地蔵
910暑い暑いと笑う女に団扇あげる
911まいにちまいにち朝顔が咲く
912いつしかは誰に触る指赤い傘
913蟹がいる蟹がいるよと妻に汐風
914料理人の差し出した濡れた釣銭
915夫婦で洗っている冬の魚屋
916話はずんでいるなめくじ
917おしゃべりが坂道下る夏の暮れ
918穴掘りを見ている
919木瓜の花に恋したみたい朝の露
920坊主の子と野道ゆく母の黒髪
921若ければ摘んでいくかな春黄色
922朝燕三人みている
923屋根が壊れている海苔屋のおすすめ
924根の苔もともに齢の大銀杏
925打たれっぱでいるかよ滝にハイキック
926昼長しさりとて夜長もつれけり
927走馬灯廻っただろか原爆忌
928触れるなら冷たし黄泉の金世界
929すがる虫まるで自分のやうになく
930稜線や朝日を背なに風薫る
931ラベンダー甘い香りに雨そそぐ
932隅田川煌めく波の薄暑光
933夜勤明け疲労困憊髪洗う
934昭和歌流る有線身にしむや
935初めてのプールにはしゃぐ孫可愛い
936生ビール今日の疲れも泡と消え
937五月雨て乳の香の立つ襁褓かな
938たんぽぽや停泊舟に人の声
939もうないよお汁粉の妻餅のばし
940短めの尻尾も小春不動尊
941捕物帳が捨られている十文字
942潰れては仕方ないのよ寒の月
943書初めのひとりだけ小さな字雪わり草
944幼子の背となり齢春雨や
945スナックに丁寧にある春のふた株
946裏口からボウルで水やる夜巻髪
947路の端手の荷ゆらして春娘
948鳴き稽古うす陽のつつむ竹こもり
949二人連れの背中もみるか占師
950魚屋のせがれが親父に似ている
951猫が戦っている知らん顔の夜空
952来た道が曲がっていた
953牛をみにきて蝿がたくさん
954フラガールハイビスカスを髪にさし
955カヤックを漕ぐ子の背(せな)や仏桑花
956自転車で扶桑花ゆれる島一周
957仏桑花朱(あか)し少女の涙色
958ケチャダンスハイビスカスも紅く揺れ
959ウブドゥの夜ハイビスカスは火の如く
960薫風や音のころがる募金箱
961父の忌やちょっと酸っぱい夏蜜柑
962身体中痒さがますや梅雨の空
963十薬や笑顔にまさる薬なし
964気分よき朝一番の二重虹
965磯の香りを皿に添えたる夏若布
966気まぐれに原宿あるく衣更
967ジャズ響く銀座の夜のメロンかな
968水戸藩のはなしを聞けり柿若葉
969単帯してやかましき千代田線
970いちはやく逃げるが勝ちと青蜥蜴
971夏負けて栄養剤を飲み足せり
972麦秋や多忙の日々の夜ご飯
973西日差す新宿駅のロータリー
974クリーニングのお店の列へと南吹く
974クリーニングのお店の列へと南吹く
975曲がった腰が掃く肉屋の二十時
976校舎裏煙草の教員運動会
977片耳のピアス拾って考えている
978雨音に寝る
979母も日傘畳みて波と子と
980どこに居る浜に鶯
981砂を知り波知り帰る少年の夏
982鳴かない蝉を見ている
983明日此処を発つ夜の盆の蟋蟀
984風鈴の在り処わからず秋の風
985路地灯り仲居が出てくる
986秋灯り虫音のつつむ川鏡
987草茂る銅像が裸
988浜波を知ることになり犬の今宵は
989北行きのくつろぐ素足掻く娘
990安シャツに縫子の日々や糸始末
991一羽行く五羽でも広し茜空
992夕焼けの鴉帰りて何語る
993終いには桜で鳴くか秋の蝉
994その鴉あの鴉今度教えてお山の巣
995その髪に櫛はいれたか赤鞄
996路地裏のホテルに入る脚の刺青
997切れながの目で高校に行く
998昼までと駅員にあずけ竹箒
999秋に揺れ子の黒髪は母の髪
1000女四人の話尽きない上着落つ
1001親鯉につきず離れず十五の子
1002鴨は池枝の鴉や犬かえる
1003北面と弁当である苔桜
1004冬の午後二人連れ行く裏渋谷
1005三羽目が来たる朝の屋上
1006丸い背が風呂敷まるく菊の道
1007蟹が食べに来てという冬の広告
1008請う猫に木戸が開くなり赤提灯
1009覚えなきレシート一枚ある財布
1010朝の髪女刃をもつ大白菜
1011青鷺夕べの雨を川できく
1012末席で熱燗来ずにオヒラキヨ
1013逢えた日の〆はすすきの夜道たる
1014人形が居て猫が居て留守番している
1015学校の裏からまわるひとりの子
1016風去りてゆびであれこれ折れ水仙
1017毛糸帽どこまで桃色伏せ目ゆく
1018干物に流儀もありて冬朝日
1019たれた酒をなめる
1020風去りてゆびであれこれ折れ水仙
1021初日道ひと足先の鶏の鳴く
1022よせる波かえす波もな浜千鳥
1023届けもの春をみつばち
1024煮干し分けあって猫と正月
1025逢えぬひと星の下にてどの姿
1026甘いもの左手に持つ今スマホ
1027冷えますね石屋西向き觀音像
1028日の差して今日の窓辺はフリルあり
1029寒夜空昼は何見た校舎の木
1030弁当の肉食べてしまった猫まなこ
1031たんぽぽ川の淵です小正月
1032小豆のはなし茶をいれる
1033尾のあるものと居る烏龍茶
1034短めの尻尾も小春不動尊
1035初釜や茶杓の銘は自灯明
1036梅の花二浪を決めた子のいびき
1037星涼し龍宮窟を弾く波
1038星涼し龍宮窟の静淑よ
1039朝茶の湯祖母の単衣を譲りうけ
1040短冊に七色で書く『祈復興』
1041献上と書かれし和紙に紙魚の跡
1042復興の架け橋かけよ天の川
1043灯り消え夕餉の部屋にホタルの灯
1044夏の海沈む夕日を追いかけて
1045カーテン越し夏の朝陽がつきささる
1046去年の今日赤い金魚は我が家へと
1047鍵付きの日記開けば紙魚の跡
1048夏草についつい愚痴をかたりかけ
1049この和紙は何を包んだ?紙魚の跡
1050八重桜葉っぱ衣に花隠す
1051竹柵に枯れた牡丹が顎を置き
1052薫風で袖口ひんやりほろ酔い路
1053あちこちに指差し確認カシワバアジサイ
1054雨濡れ犬ドライヤ片手においかけこ
1055仏桑花朝にけ浮立つ休暇前
1056鮮やかなハイビスカスと小町女子
1057うだる気を飛ばし彩る仏桑
1058紅型の暖簾にゆれる仏桑花
1059儚きは一日花の仏桑花
1060南国の艶と彩り仏桑花
1061紫陽花や我が人生を良しとして
1062梅雨空に合羽姿の得意顔
1063墓参り返事はなくて夏の蝶
1064指差喚呼響くバリトン春列車
1065旧友の輪に手花火の菊が散り
1066蜜豆や十四の慕情匙に乗る
1067父の背を越えて寂しきシャボン玉
1068白日傘我らがチューター瀬を渡り
1069 葉桜のベンチ句帖へパンのくず
1070五月闇立ち漕ぎのまま通り抜け
1071白板の「あしたはカレー」夕薄暑
1072仙人掌の花くつ下が揃わない
1073あさがをやハシビロコウのたまご色
1074街頭のミュージシャン弦と汗弾く
1075左手にアイスカフェラテ炎天下
1076二才半ばあばきれいねお正月
1077マネキンの足大胆にニュー浴衣
1078向日葵や隣家九人の四世代
1079軽トラの窓に足おく三尺寝
1080一本のばらのくずるる夏の暁
1081夏の月かすめウルトラマン帰る
1082飛び退いて(とびのいて)青大将と睨み合い
1083びしょびしょやん打水裾も葉も土も
1084下からの噴水に子ら逃げ浴びて
1085黒南風や墓前の燭花また開き
1086砂城に立てし四つ葉の傾きて
1087長々と潜る海鵜や夕運河
1088蜜豆やマチ子先生ようわろた
1089祭り日(び)の花火音響く孫の声
1090神輿より熱い語り部酒の友
1091お囃子の鐘の音(ね)しみる夏の夜
1092暮れてなお溽暑なる夜に旅に出る
1093沸かせどもたちまち尽きる麦茶かな
1094ずんだ餅いつも甘めねお盆味
1095エプロンを前掛けという昭和母
1096新色のルージュを買って春を待つ
1097光吸い新緑の樹々匂い立つ
1098坂道を母と歩みて汗にじむ
1099藤棚の甘き香をまとい子は遊ぶ
1100風光る鈍行の窓に碧き海
1101月あかり菜の花畑に君と僕
1102紅牡丹見知らぬ人もスマホ向け
1103講義終えミストのごとき蝉しぐれ
1104ガツガツとアイゼン刻む夏の山
1105磯の香のやさしく満つる旅の宿
1106蜘蛛の巣に真珠のごとき雫とまる
1107手伝いも進む明日から夏休み
1108日傘でも止まず伝わるジリジリと
1109母と子の気持ちが違う夏休み
1110山間で濃く咲く旅の紫陽花路
1111小手毬や遊ぶをひとつみつけましょ
1112ひと絵とす絲みえざるや唱蛙
1113姫女苑まっすぐみられていけずかな
1114日や春な若き蜥蜴のすべり鉢
1115葉の中の遅れてひとつ片端木瓜
1116雀らの追うや鳴くやのひとの屋根
1117ケバブ売り揚げ芋器はみだして
1118皐月傘小蟻もかえす柄の曲がり
1119揚羽蝶夏よと語り追いませぬ
1120組む脚もほどかぬ細爪七分袖
1121けけろけろけろろころころ雲ながれ
1122げに蛙水に魔をはるすくみ足
1123蝿惑いそこは大窓嵌め殺し
1124地の蛙飛行機幾つの夜を載せて
1125あさがおもたねのころはね五日前
1126紫陽花や我が人生を良しとして
1127梅雨空に合羽姿の得意顔
1128合掌し友の思い出夏の蝶